劔岳 点の記のレビュー・感想・評価
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山は美しい、そして怖い。 この手の映画はその恐怖を存分に見せつけて...
山は美しい、そして怖い。
この手の映画はその恐怖を存分に見せつけてくれるはずだ。
いつ来るんだ?とうとう来たか、いやまだまだこれからだな。えっ、これ下見の話?
今からが本番か、ようし、こっからやな、来たか?あれ?
期待は儚くも…
宮崎あおいがいい、ほんと着物が板につく女優さんですね。無駄に使っちまったな。
仲間たち
日本地図完成の為、未踏の地・劔岳の測量に挑んだ男たちを描いた、名カメラマン・木村大作の初監督作。
公開時からCG一切ナシの本物の映像や苦行とまで言われた過酷な撮影話ばかり注目されがちだが、自分はこの作品を見る度にそれら以上に満たされたものを感じる。
人への敬意。謙虚さ。誠実さ。
ライバルは居る。達成した時は称え合う。
一つの偉業を成し遂げるのではない。やり遂げる。その誇り。
本作で描かれる“本物”は映像だけじゃない。その結束力だ。
本作で映し出される“美しさ”も映像だけじゃない。日本人の姿だ。
育まれた絆は役柄も演者もスタッフも超え、大黒柱を絶対的に信頼して身を任せているのを感じる。
エンドクレジットの唯一の肩書き“仲間たち”がその証。
ただ黙々と山中を歩くだけ
総合:60点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
実際に測量と登山をするならばそれほど派手な場面ばかりあるわけではなく、作品中の言葉を借りれば「黙々と作業を進めていく」ということになるのだろう。だがひたすら山の中を黙々と歩く場面だけが続くと抑揚が乏しい。危険なことも起きるし山岳会との競争や陸軍内部での事情と描くことはあるのだが、それでもこの演出はどうにも盛り上がりに欠けていた。登場人物の描き方もたいした葛藤も無く任務にひたすら忠実で人間味が少ない。
ただ実際に山に行って撮影したであろう映像はなかなかのもの。この監督は目に見えるものは良く撮影できても、感情や人間関係や責任感といった目に見えないものを描くのが下手だったのかな。
厳しさの中にある美しさ
木村大作による監督・脚本・キャメラマンの映画だ。
雪山での一つ一つのカットにこだわりを持っていることが伝わる。
壮大で、時には歯を向く厳しい自然こそ、美しいと感じる。
そこへ挑む人間はちっぽけだ。
しかし、厳しい挑戦をする彼らは美しい。
その厳しさの中で、本当の絆が生まれる。
監督に影響されてか、撮影現場の大自然に影響されてか、一人一人の役者の演技が素晴らしい。
言葉は少ないが、伝えたいことが心に響いてくる。中々の良作だ。
映像は綺麗
映像はとにかく綺麗。
ただ、登山道などの当時にはあるはずがなかったモノが映りこんでいるのは、このくらいはCGで処理してよ、と思った。
見てる人には判らない、と思ったのだろうけど、そして事実99%の人には判らないだろうけど、剱岳を知っている人には判ってしまう。
それと明治期と今では山の植生なんかも少しは変化しているのだけど、撮ったままの映像なので、山が「明治の立山・剱」に見えず、現代の山に見えてしまう。
話は原作を「適当に改変した」って感じ。
地図作製のための測量は、あくまで軍の職務だったのに、いかにも現代の甘ったれたサラリーマンの苦悩を持ち込まれても・・・
長治郎と息子の関係、生田のエピソードなど、原作になく映画独自に挿入した要素は全て現代的な甘ったれたものなので、映画全体に明治を感じない。明治の衣装を着たコスプレに見えてしまう。
逆になぜ測量隊が登頂に成功し、山岳会は登頂できなかったのか、というエピソードはばっさり削られてしまった。
なので、測量隊を見送る山岳会がアホに見えてしまう。
木村大作はカメラマンとしては素晴らしい腕を持ってるけど、監督は無理かな、というところかな。
映像だけで鑑賞の価値はあると思うけど・・・
山岳映画と時代映画のミックス
ただひたすら登頂を目指して山を登るということ
それがしっかりドラマになっていて
CGも使わないのにこれほど美しい映像になる
火薬、CGを多用したアクション娯楽作品が巷にあふれる中
山岳映画というものの素晴らしさを思い知った作品だった。
男たちが互いを支えあって山を登る。
争ったもの同士もお互いを認め合う。
それだけにラストの描写はなんだろうか、
なぜわざわざあんな終わり方にしたのだろうか
そこだけが惜しまれる。
だが素晴らしい作品
苦しいだけじゃエンターテインメントとしては疑問符です
レビューの評価がえらく高いですが、僕は個人的には「惜しい」低評価です。
まず、この作品がドキュメントなのか、エンターテインメントなのか。
スタッフや役者さんたちの苦労は解るのだが、僕は(客は?)、出演者たちの荒行が観たくて映画を観ているわけじゃあない。
「ハッピーフライト」のレビューでも書きましたが、苦労をこれでもか、これでもかと繰り出してくる作品ってのは魅力無いんですよ、残念ながら。
「これだけ、頑張りましたよ」と前面に出されると引いてしまう。
あくまでさりげなく、スパイスとして、ファインプレーをファインプレーに見せないのが真のプロフェショナル。
そういう意味では、熱いんだけど、面白くないこの作品。
僕が言いたいのは苦労は苦労として認めますが、映画としての完成度はそれではとてもじゃないが不完全だろうということです。
題材、素材は良かっただけにもっと面白くできたんじゃないのと思う、惜しい作品となりました。
山岳映画 日本人の根っこを描く映画
有名役者達があの険しい山に自力で登り、本物の雪山に泊まり込んで撮影をしている、ということだけでも驚きの作品。こんなことを役者に要求する監督も、それに応えた役者達も、重い撮影機材を山頂に担ぎ上げたスタッフ達もすさまじい。
現在のような優秀な装備も、近代的な登山技術も、確立された登山路もない状況で、冒険としてではなく測量という仕事のために、人を寄せ付けない険しい岩山に挑む測量士達の姿に引きつけられてしまう。未踏峰に登るために様々なルートを試したり、雪で失われた道を探りながら歩くことがこんなにも危険なことなのかと思い知りました。
大げさに感情を表現することなく、功を焦ることもなく、職業人として淡々と、しかし強烈な責任感を秘めて果敢に劔岳に挑む柴崎に、日本人の根っこを感じます。山を知り尽くした地元の山岳ガイド宇治長次郎の謙虚で実直な人柄も、失ってはならない日本人らしさを感じます。ラストの山頂で発見される意外な物によって、自然と一体化した日本人の根源的な宗教心も感じます。
この映画には、派手な演出も、劇的な死も、ドラマ作法としての激しい対立関係もありません。淡々とした演出と抑えた演技で構成されています。しかし、だからこそ山の厳しさが浮かび上がり、その厳しい山に挑む男達の内に秘めた強さが浮き彫りになります。
役者達の演技も、山岳風景も、人間ドラマも、何から何まで素晴らしい。
本当の映画
現在のCGを多用する映画とは一線を画す、映像とはこういうもんだという監督の思いが詰まった作品です。
明治時代に日本地図を完成させるために劔岳に挑むのですが、当初の思いとは別の初登頂という軍部のプライドに、翻弄され動かされる測量隊の様を描いています。
自然の荒々しい映像とは対照的に、人と人の会話や生活は、とても穏やかで、その対比がとても心地よく感じられます。
「本当に大事なのは何をしたかではなく、何のためにそれをしたか」
監督自身がこの言葉を胸にこの大変な作品を作り上げたのではないでしょうか?
素晴らしい作品です。ぜひ映画館でみることをお薦めします。
もう一度、みたいですね
原作は読んでいないので、比較はできませんが、淡々と進んでいく話の中に、人物達の言葉ではない心の通じ合いが描かれてとても感動的した。
写真をやっているものにとって、山の映像は、とてもすてきで、こんな写真を撮りたいと思わせてくれます。
今の日本人にかけているような、昔の人間関係をすばらしく、表現されていたような気がします。
是非、一度みてみるといいと思います。
剣岳
とにかく、映像はすごかったですね。
夕日が実にすばらしい。
暴風雨の映像も、雪崩の映像も、大雨の映像も、
やっぱり、ほんものはすごい。
役者たちも、こんな過酷な自然のなかでよく演技できたな。
と驚嘆する・・・。
でもですよ。
それが何度も、何度も、流されると、う~ん、またか。
となってしまったんです。
それに、決定的なのは出演者がみんないい人だってこと。
木村監督は言っていた。
「この映画には悪い奴は出てこない。
勧進帳悪にはしたくなかったんだ」
それはそれでいいんだけど、決定的に悪い奴はいないにしても、
気分が乗ってないやつ、バイオリズムがどうも合わない奴は
いるでしょう。
こんな過酷な自然に対して、人間の側ももっと、
過酷であっていいと思うんです。
その掘り下げ方が弱いんな~と思うんです。
浅野にしても、香川にしても、もっと深めようとすれば、
個性が出てくるはずの役者なのに。
なんかサラと終わってしまった。でも、時間だけは経っていた、
そんな感じの映画でしたね・・・僕の感想では。
木村監督・・・こんどは自然だけでなく、人間の心の紆余曲折
もカメラに修めてほしいですね。(ちょっと、辛口ですね)
自然の美しさと怖さ
まずCGを使わずに作られているという話を聞いていたので、見ながらどのように撮影されているのかが気になりました。
美しい景色、でも山や自然の怖さも感じました。
撮影はとても過酷なものだったと思います。
・・・なぜにA評価?
ホンモノの大自然の中でやっているというのはリアリティでいいんだけど、あまりに過酷で逆に俳優ってスゴイ!あんな細身で体力あるだのよく飛ばされないな~だの余計なことばっかり考えて集中できなかった。ここまで大自然の中で過酷だと(もちろんそれが現実なんだけど)逆にいつも別の映画で見てる俳優がその中でまさにちっぽけに見えるというかわざとらしく見えるというか・・・。超現実とつくりもののギャップを見せつけられた感あり。大自然にここまでこだわったのだから中身にもっとこだわらなければせっかくの苦労がだいなしな気がする。折しも中高年の山ブーム、つくりものの方より大自然のドキュメンタリー性の方が勝って20万人突破の映画かなという気がする。私には残念ながらC評価。浅野忠信は喋り過ぎ、香川照之はウマいと思うけど善人なだけではつまらない。映画のキャラだから仕方ないのは分かっている上で。
スクリーンでなければ味わえない壮大な映像美、しかし致命的な欠陥も...
久々にスクリーンで映画を見る醍醐味が味わえた作品だ。画面の中で、立山連峰や日本アルプスの山々の四季が、昨今のCGでは到底不可能な映像美で表現されているのが何より素晴らしかった。中でも、立山連峰から一年にそう何度も見られない富士山の眺望は、スクリーン上とはいえ、大いに感激した。
しかし、それほどの美しい自然美あふれる映画の中で語られる、人間たちの描き方はとても貧弱だ。「こんな大自然の中で人間の存在はちっぽけなもの」と、出演した役者さんや演出スタッフの言葉にもあったが、そのちっぽけな人間がどのように大自然と対峙するのか、という点が致命的な欠陥による演出によって描ききれなていなかったのは不満が残る部分だ。「この作品は自然が中心、人間はその次」と言うのなら、最初からドキュメンタリーを撮ればいいことである。
この映画の致命的な欠陥とは、ナレーションの使い方だ。最初はほとんどないように作られているのか、と思いきや、突然、主演の浅野忠信のナレーションが入ってくると、たいして必要のない、非常に中途半端なタイミングでナレーションが入ってきたのには困惑するばかりだった。
実は、この作品においてナレーション説明というのは重要なファクターになるはずだった。それが顕著なのは、いよいよ剣岳山頂に登るときの雪渓を登山隊が行くシーンだ。この場面、とても緊張感があるはずなのに、あまり説明もなく淡々と登るので、大変さが観客に伝わらない。しかし、たとえばヒマラヤの登頂難攻の山では雪渓のクレパスに落ちるかもしれない、という危険と背中合わせなのだから、当然、剣岳でも同じ危険がある。だから、ナレーションで「思わぬ割れ目に落ちて命を落とすかもしれない。だから、我々はそっと雪渓に足を下ろしながら歩いた」などのような説明があれば、観ている側にも怖さが伝わっていたと思う。観客の大多数は、屈強な登山家などではないのだから、登山の危険性や装備の違い(民間の登山隊と測量隊との装備の違いも説明不足)などナレーション説明が必要な箇所はいっぱいあったのに、それをせず、観客に剣岳の真実を伝えきれていないのは、この作品の欠陥というしかない。
しかしながら、撮影スタッフの苦労はいかばかりだったか、それは尊敬するばかりだ。エンディング・タイトルに役割名をつけず、名前だけを列記していったのには、役割で苦労の区別などつけられないという、監督のスタッフに対するねぎらいの情が感じられた。私はこの作品、もっと脚本に神経をつかっていれば、とてもいい出来に仕上がっていたと思う。だから、木村大作氏の失敗作とは思っていない。今度は、もっといい脚本で映画製作にもう一度、挑戦してほしいと願うばかりだ。
自然界の過酷さと美しい景色、それが全て・・・
劔岳、憧れの山である。穂先だけの槍ヶ岳や、大きな岩山の奥穂高の比ではない。そのギザギザした山容、尖った登山道、百名山の中でも屈指の難しい山だ。生半可な技術では登れない。物語は明治の話で、まだ登山道も整備されていなければ、装備も近代的でなく、古臭い。でも、登山のきつさ、つらさ、こわさと共に素晴らしさ、感動、眺望の美しさが描けていたと思う。CGではたぶん描けなかっただろう。また、山の登り口を探すというのも、興味深い過程だった。主眼は三角点を立てることかもしれないが、はじめて登るということはこういうことなのかと思った。雪渓は道がわかならくなるし、裂けると怖いので、そこから登っていくのはかなり勇気がいると思う。残念なのは、人物描写で物足りなさを感じた。類型的で、そこからの飛躍がなかった。主演の二人は文句はないが、軍部や家族など周辺の人物があの雄大な景色に負けていたと思う。
素晴らしい!映像、日本の美しさ!
富山県人のわたしにとって、まさに誇れる
いや、日本人としてこの国に生まれて良かったと思える映画です。
映像の美しさは言うまでもなく、日本人の心とは?を今まさに問い直す人間ドラマでもある。
浅野忠信は淡々としていながら、内に秘める使命、仲間たちに心から信頼される男。
香川照之のあくまでも脇役に徹し、柴崎の使命を支える男。
出演時間は短いが、宮崎あおいの使命に挑む柴崎をこころから支える優しい妻。
とくに宇治長次郎を演じる香川には監督の映画人生を投影しているようだ。
まさに真の自然の美とは、死と隣り合わせの場所でしか観られないのかもしれないのです。
そんな絶景を擬似体験できるだけでも観る価値はあるのではないでしょうか?
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