劔岳 点の記のレビュー・感想・評価
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何もかもが本物。それに尽きる
初見は公開年度なので、2009年。その後、飽きることなく複数回、鑑賞。
これだけ豪華なキャスト陣を引き連れて、実際に山へ向かったのだから、何をかいわんや。
これを大スクリーンで鑑賞できた人は、今思えばとても幸福な映画体験だったはず。
それにしても、メガホンもとったキャメラマン・木村大作の撮る画たるや、恍惚とさせられる。
思いをつなぐ映画
私は都会っ子のままおじさんになって本物の自然や山行の奥深さなど殆ど体験せずに生きているためか、この映画の基底にある未踏の自然への畏怖やそれに立ち向かう山男たちへの思いを十分に読み取れない自分がもどかしいが、それを何となく感じさせてくれる、全編に透徹する静かな力強さを持った佳作であり労作と思う。
格好つけたレビューのタイトルになってしまったが、作品のつくりもストーリーも冒険や記録達成自体が主眼ではなく、険しい山へ行く者、測量の網を地の果てまでかけようとする者たちの思いを自然描写とともに静かに語っている。
そんな良い鑑賞後感の割に評点が低いのは、所々物語進行の緻密さやテンポが鈍くなる感があるからで、これは偉そうに言うと日本映画に伝統的にありがちな脚本・セリフ取捨、撮影・配光の甘さのような気がする。ただそれをあくまで日本映画的な作風だと捉えられれば、あと星一つくらい増やしても良いかも。
私事ながらこの映画はその数ヶ月に亡くなった母の退院後初、人生最後の劇場映画鑑賞となった作品。予定ではそれからも映画を銀幕で見ようと話していたが果たせなかった。予感はあったので当時掛かっていた映画の中から親子で慎重に選び、本来洋画好きの母は「なかなか良かった」と言っていた。その点でこの映画と製作者、映画館に深く感謝している。
登山家には堪らない作品
我が家の奥さんが登山が好きで、一緒に見ました。
劔岳の素晴らしさや難しさが満喫出来ます。
やっぱりリアルはCG・VFXを越えますよね。
登山が苦手な私から見たら、演者さんやスタッフさんを尊敬したくなる作品です。
皆様、お疲れ様でした。
時代考証が甘い
少し前に見たショーン・ペン監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」という作品はよかった。
なにより、雄大なアラスカの自然がうつくしく雄大で、星野道夫の写真をみているみたいだった。
そして、それに劣らない日本の山の神々しさと清澄感の魅力をたっぷり堪能させてくれたのが、この作品である。
ヘリやCGなどを使わず、スタッフ・キャストと実際に機材とともに登山して2年かけて撮影されたというのだからこれはさぞかしたいへんだったろう。しかし見ごたえある映像でありました。
ふだん何気なくみている地図も、このような苦労の歴史があってこそできたのだなあとなんだか感無量です。
浅野忠信は、若いころの小林薫を思わせるたたずまい。いい役者さんに育っていってほしいです。
なんとなく、力作のわりに印象が軽い。細かい時代考証を日本映画はもっとすべきではないかと思う。たとえば、浅野演じる柴崎の話し方。腰が軽い人なのだということはわかるんだけど、あの当時の軍の役人が
民間の案内人にむかって「天幕(テント)はっといてもらっていいですか?」なんて言い方するかな?
あと、柴崎を駅まで迎えにきた妻(宮崎あおい)。いくら進歩的でも、あの時代妻が夫の前にでて歩くなんてことは考えにくい。
なんかそういうちょっとしたことで、もっと明治の雰囲気をだしてくれれば、ドラマにはいりこめるし、映画の重厚感も増すと思うんだよなぁ。昔は男尊女卑だったし階級差別もおおっぴらにあった。でもそれが史実であり私たちの歴史である。
都合のいいようにアレンジしてはいけない。
でもまぁ最近の日本映画にはめずらしく堂々と映像で勝負している作品で、真夏劇場でみるのにふさわしいです
【”何をしたかではなく、何のためにそれをしたかが大事”明治時代の劔岳登頂を映画化したモノだと感服した作品。どのように撮影したのだろうか、と思ったシーンの数々に圧倒された山岳ヒューマンドラマでもある。】
ー 私事で恐縮であるが、学生時代から結婚し子供が出来るまで、登山にのめり込んでいた。北アルプス、南アルプス、中央アルプスの2500m級の山は全山登頂している。
但し、時期は初夏から初秋であり、手には国土地理院の2万5千分1の地図とコンパスを持ってである。(今作でも描かれている通り、4月~5月の北アルプスは、天候によっては厳しい冬に変貌する。GWに北アルプスに登った際に、何度も経験している。)
それでも、劔岳登頂時には、一週間以上のテント泊であったため、30Kを越える荷を担いでいたとはいえ、カニのタテバイとヨコバイを含め、十二分な恐怖を味わったモノである。
当時、地図を作るために地図なしで劔岳に登頂した、陸地測量部の柴崎(浅野忠信)や案内人の長次郎(香川照之)達の苦労が偲ばれる。
更に言えば、今作を制作した映画スタッフと俳優陣にも尊崇の念を抱いた作品である。ー
◆感想
・世間や愚かしき陸地測量部の上層部からのプレッシャーを感じつつ、偉業を成し遂げた陸地測量部が苦労しながらも、極地法の様に劔岳に挑み、三角点を設置する過程をCGに頼ることなく描いている事に、驚く。
・実際に映画スタッフや俳優陣達は、劔岳を含めた立山周辺で、撮影を敢行している。
・表層雪崩のシーンは、どの様に撮影したのだろう。ノブ(松田龍平)が助け出されるシーン。
ー 実際に雪崩の後に行けば分かるが、ビーコンを装着していないと雪に埋もれた者を見つける事さえ難しいのに・・。ー
・雪面を滑落するシーンや、またもノブが岩壁をから落下するシーンも、如何に撮影したのだろう・・。
・柴崎達がホワイトアウトの中、道を失ったシーンでの長次郎が一人歩んで行き、雷鳥の声で場所を確認するシーンも凄い。
ー ホワイトアウトの恐ろしさ。
地図とコンパスはあれど、周囲が雪と霧で視界0になるため、焦ってリングワンダリングに陥り、疲労凍死してしまう・・。-
・柴崎達が、長次郎が見つけた雪渓(その後、長次郎谷と命名されている。)を詰め、山頂を目前にした際に、長次郎が柴崎に道を譲るシーン。
ー あくまで、山岳ガイドに徹する長次郎の人間性が、伺える。ー
■白眉のシーン
・漸く登頂した劔岳の山頂に残されていた、修験者の錫杖。1000年以上も前に、修験者は劔岳に登っていた凄さを感じると共に、前半の修験者(夏八木勲)を描いたシーンの意味が良く分かる。
・そして、世間や陸地測量部の上層部から、批判的に見られていた(初登頂ではなかった、という理由だけで・・。)に対し、その後登頂した日本山岳会の小島(仲村トオル)達が、山頂から手旗信号で賛辞を贈るシーンは、心に響く。
<今作は、現地での撮影方法を含め困窮を極めたと思われるが、”国の為にではなく、そこで生きる民の為に”空白の地域に地図を作った男達の、崇高な姿を描いた作品である。
”仲間たち”と書かれたエンドロールも素晴らしい・・。>
測量官が挑んだ「劒岳山頂」
2009年。監督:撮影:木村大作。原作:新田次郎。
1906年(明治39年)軍の測量官・柴崎芳太郎(浅野忠信)らに、
未踏峰とされていた剣岳への登頂と測量の命令が下った。
この映画で剣岳の山頂を見ました。
ガレ場だらけの山。
ガレ場?聞きなれない言葉ですが、数センチ大の岩屑や小石、砂を撒いたような場所。
山頂を見て驚いたのは煎餅状の大きな平たい石を積み重ねたような形状をしてるのですね。
(如何にも崩れ落ちそうです)
剣岳(標高2,999メートル)初登頂の記録が残るのは1907年であるが、
(山頂で柴崎は愕然とする事実を知る。)
この事実が意外性があり、この映画の面白さ、深みを感じるのですが、
是非とも本編でお確かめください。
富士山(標高3,776メートル)の登頂記録は、
奈良時代から平安時代に遡るのです。
富士山で修行する修行僧が登ってたらしいのです。
高さでは剣岳の2,999メートルは日本の山で22位に過ぎません。
2位が南アルプスの北岳(標高3,193メートル)
初登頂は1871年(名取直江)
3位が奥穂高岳(標高3,190メートル)
初登頂は1907年(明治39年)測量官の阿部郡治となってい
やはり剣岳と同じ軍の司令。
定点観測をして日本地図最後の空白地帯を埋める作業だったのです。
それにしてもこの映画、空撮もCGも使わず、ロングショットを主とする実景撮影だと
聞くと本当に、驚きます。
これは撮影ではなく『行』・・・との言葉に頷くのみです。
キャストは9時間歩き続けた日もある。
寒さも夜間マイナス40度になったとか・・・。
事故なく完成したのが奇跡ですね。
山の美しさ気高さ、中腹から見る雲海が朝日に映えて素晴らしいです。
BGMはオーケストラのクラシックが全編で流れます。
映像のクライマックスと微妙にズレてたりがご愛嬌ですが、荘厳な山に
マッチして崇高感を感じました。
明治の測量官と案内人。
あの装備でよくぞ登攀に成功ましたね!!
ブラボー!!
当時のことを時代背景を考え観てみると、人間の足で一歩一歩歩き、日本...
当時のことを時代背景を考え観てみると、人間の足で一歩一歩歩き、日本地図をつくった人たちがいた。しかもいちばん厳しいとされる劔岳の登頂。そう思うと、とても感慨深いものがある。
本物にこだわる木村大作らしく気迫に満ちた山々の映像は素晴らしく、壮大で、厳か。
脚本やストーリーは盛り上がりに欠けるが、キャストも良いし、地味だけどいい映画だと思う。
山を撮る
映画がどうやって作られて行くのか分からないのだけど、
この作品に関しては、
本物の山を撮る!と言うところから
始まったんじゃなかろうかと思うほど、
山の美しさ厳しさ、自然に対しての人間のちっぽけさ
が写しだされてたように思う。
映画館で観たらよほど壮大で凄かったろうと思います。
ただ、山が主人公過ぎて、肝心のストーリーや
人間の描写は希薄だったように思う。
もっとキャラを立てて対立構造を作ったり
派手にも出来たんじゃないだろうか?とは
思ってしまいました。
山が主人公だからそんなもんいらないんだよ!
と言われそうな気もしますが…
ハリウッド映画ばかり観てる弊害か、
おっ!死亡フラグが立ったぞ!なんだ、違うのか…
なんて事が多々ありました。
しかし、先人の途方もない努力と歴史の上に
生きてるのだと言う感謝の気持ちが湧く映画でした。
スクリーンで見たからこその迫力があった
映画館でまず視聴、後にVODで視聴した。
映画館での視聴の際は、その山の美しさと厳しさ、つまり映像美に酔いしれた。
役者さんの命懸けのシーンがあるのだが(どのようなシーンなのかは言及はあえて避けておく)、このシーンは、大きくそびえた山に対して、人間がどれだけ小さなものなのかを思い知らされる。
劔岳という山の測量をしながら頂上を目指す、日本での旧来の装備でのチームと、西洋の登山道具を備えたチームとの、山頂につくのがどちらが早いかというレースじみたことをやってもいたのだが、最後は…という感じで、このあたりは史実に基づく内容らしい。
後にオンラインサービスにてこの映画を閲覧したのだが、やはり大画面で見るがゆえの映像の迫力だったのだが、だからこそ小さな画面で見るから山の情景に圧倒されてしまって、かえって印象が薄かった(失礼)役者さん達の演技を堪能することができた。
なお、エンドロールに見られる山の美しさもさることながら、そのスタッフを「仲間たち」と表現していたのが、いかにも「山男」らしいと感じた。
史実(に近い)ならば、香川照之・浅野忠信の演じた人達が、正当な評価を受けていて欲しい・・・。
映像の迫力すごい上に、さらに、香川照之・浅野忠信の演技が素晴らしい。2人の演技で、ぐいぐいと物語の中に引き込まれていく。他の方が指摘されていたように、音楽についてはベタなクラシックだけど、まあ、そこはご愛敬。明治40年という時代背景が、一歩間違えれば古臭くて(汚く感じて)食えない映像になる印象だけど、まったくその印象は受けなかった。
最後の手旗で感動!いい映画でした。
山に挑む人間達と山という自然そのものの厳しさと美しさ
安易なお涙頂戴的な人物描写を避け、登頂を競う学生山岳隊も含め、山に挑む人間達と山という自然そのものの厳しさと美しさに焦点を当てていて潔い。学生達との手旗エール交換による互いの敬意が、胸を打った。
絶景を撮り切った作品
カメラマン出身の監督さんだからか、映像にかける執念のようなものが伝わってくる
よくまあこれ撮ったなあと思うシーンがいっぱい。雪崩のシーンでは実際に俳優さん達を雪に埋めたそうで撮られる方も大変だったろうなあ。
ストーリーはベタ。実際には無かった山岳部との初登頂競争を入れてメリハリをつけているが、陳腐になった感は否めない。
まあ、これが無ければただのドキュメンタリー映画になってしまうから仕方無し。
また、ここでも旧日本軍は悪役だ(笑
地図作成にとって登山は手段であり目的ではないのだから、初登頂かどうかを軍が気にするとも思えんが。
映像で安っぽいなと思ったのは、生田信が転落する際の見え見えのワイヤーアクション。あれは無かった方が良かった。
あとは他の方も言及してるが何日も風呂に入らず山登りをしているのに皆んな綺麗さっぱりとした顔をしてるんだよな。実際に山の中を何時間も歩き回って撮影したのだから、ドロドロベタベタのまま撮れば良かったのに。
とは言え、それらを差し引いても映像はすごい。この映画を観るなら、65インチの大画面でもやっぱり魅力は半減。銀幕で見たらさぞ素晴らしいだろうと思う。
撮影ご苦労様です!
撮影が大変そう。どうやって撮ったんだろう、そればっかりハラハラ^^;
でもすごい山撮れたねー
役者の根性、試されるよね
音楽はなんでこんなベタなクラシックの名曲ばかり?選曲が安直で笑った
山、もう登れそうもないのでありがとうございました!
沁みます
これぞ、素晴らしき日本映画。
景色が綺麗で、
人が濃くて、
執念と、気合いと、愛情で作られた映画。
日本映画の中で、好きな作品トップ3には入るなぁ。
そして、香川照之って天才。
彼の演技あってこその映画。
そんなに盛り上がらないかな。
松田龍平見たさに見ました。キャスト陣は豪華です。時代背景も明治で、たた監督が木村大作ということで、どこか懐かしいカメラワークでした。彼らの情熱、仲間としてのチームワークの大切さが垣間見られましたが、物語としてはドキドキするような山場があまりなく、眠たくなるひともでてくるかも。でも、劒岳の景色は素晴らしいです!
途中までしか見なかった
期待していたが、失礼ながら映画の途中で笑ってしまった。映像はこの時代としては美しい部類には入らない。役者は額に汗ひとつかかず、衣類には汗ジミや汚れひとつなく、演技は真に迫るものがない。秋(10月初旬)の剱山荘裏からのやさしいルートでもさえも、首に巻いた手拭いがぐっしょりとなる程なのに。
皆さんの評価を見ると賞賛の声も結構あるが、私の感覚がおかしいのかとさえ思えてくる。批判の為の誇張はしたくないのだが、数十年間数々の映画を見てきた私としては、本当に申し訳ないが、駄作としか思えないのである。木村氏ってこの程度なのだろう。新田次郎氏に失礼だとさえ思えてくる。
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