劇場公開日 2009年6月20日

「測量官が挑んだ「劒岳山頂」」劔岳 点の記 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0測量官が挑んだ「劒岳山頂」

2022年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2009年。監督:撮影:木村大作。原作:新田次郎。
1906年(明治39年)軍の測量官・柴崎芳太郎(浅野忠信)らに、
未踏峰とされていた剣岳への登頂と測量の命令が下った。

この映画で剣岳の山頂を見ました。
ガレ場だらけの山。
ガレ場?聞きなれない言葉ですが、数センチ大の岩屑や小石、砂を撒いたような場所。
山頂を見て驚いたのは煎餅状の大きな平たい石を積み重ねたような形状をしてるのですね。
(如何にも崩れ落ちそうです)

剣岳(標高2,999メートル)初登頂の記録が残るのは1907年であるが、
(山頂で柴崎は愕然とする事実を知る。)
この事実が意外性があり、この映画の面白さ、深みを感じるのですが、
是非とも本編でお確かめください。

富士山(標高3,776メートル)の登頂記録は、
奈良時代から平安時代に遡るのです。
富士山で修行する修行僧が登ってたらしいのです。
高さでは剣岳の2,999メートルは日本の山で22位に過ぎません。

2位が南アルプスの北岳(標高3,193メートル)
初登頂は1871年(名取直江)

3位が奥穂高岳(標高3,190メートル)
初登頂は1907年(明治39年)測量官の阿部郡治となってい
やはり剣岳と同じ軍の司令。
定点観測をして日本地図最後の空白地帯を埋める作業だったのです。

それにしてもこの映画、空撮もCGも使わず、ロングショットを主とする実景撮影だと
聞くと本当に、驚きます。
これは撮影ではなく『行』・・・との言葉に頷くのみです。
キャストは9時間歩き続けた日もある。
寒さも夜間マイナス40度になったとか・・・。
事故なく完成したのが奇跡ですね。
山の美しさ気高さ、中腹から見る雲海が朝日に映えて素晴らしいです。
BGMはオーケストラのクラシックが全編で流れます。
映像のクライマックスと微妙にズレてたりがご愛嬌ですが、荘厳な山に
マッチして崇高感を感じました。

明治の測量官と案内人。
あの装備でよくぞ登攀に成功ましたね!!
ブラボー!!

琥珀糖
NOBUさんのコメント
2022年12月12日

今晩は。
 日本の高山の殆んどは、霊山であり修験者により1000年以上前に登られていた、という本を数冊読んだことがあります。
 今作は、仰る通り当時の登山スタイルで(長次郎たちはアイゼンすら装着していない。)撮影したと資料に有りますが、”どうやって、撮影したんだ!”と言うシーンが幾つかあり、驚きました。新田次郎の小説は読んでいましたが、あれを映画化した木村大作の元々は撮影技師でもあるアングルの巧さにも驚いた作品でしたね。では。返信は不要ですよ。

NOBU