劇場公開日 2009年6月20日

「自然界の過酷さと美しい景色、それが全て・・・」劔岳 点の記 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自然界の過酷さと美しい景色、それが全て・・・

2009年8月4日
鑑賞方法:映画館

単純

知的

劔岳、憧れの山である。穂先だけの槍ヶ岳や、大きな岩山の奥穂高の比ではない。そのギザギザした山容、尖った登山道、百名山の中でも屈指の難しい山だ。生半可な技術では登れない。物語は明治の話で、まだ登山道も整備されていなければ、装備も近代的でなく、古臭い。でも、登山のきつさ、つらさ、こわさと共に素晴らしさ、感動、眺望の美しさが描けていたと思う。CGではたぶん描けなかっただろう。また、山の登り口を探すというのも、興味深い過程だった。主眼は三角点を立てることかもしれないが、はじめて登るということはこういうことなのかと思った。雪渓は道がわかならくなるし、裂けると怖いので、そこから登っていくのはかなり勇気がいると思う。残念なのは、人物描写で物足りなさを感じた。類型的で、そこからの飛躍がなかった。主演の二人は文句はないが、軍部や家族など周辺の人物があの雄大な景色に負けていたと思う。

瑞