「手旗は、口をききたくない奴とも話が出来るから」劔岳 点の記 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
手旗は、口をききたくない奴とも話が出来るから
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映画「劔岳 点の記」(木村大作監督)から。
明治40年、陸軍陸地測量部と創立間もない日本山岳会が、
剣岳(つるぎたけ)初登頂を目指して、争っていた。
物語の途中、この2つのグループが、途中でばったり出会う。
その時、相手の荷物に「手旗」をみつけ、
「手旗信号」を情報伝達に利用していることを確認した。
陸軍陸地測量部の「手旗を利用するのか?」の問いに、
日本山岳会のひとりがこう答える。
「手旗は、口をききたくない奴とも話が出来るから」
へぇ〜、面白い発想だな、と軽くメモをとった。
しかし、物語の最後、この台詞が輝いてくる。
裏を返せば、こう解釈できるからだ。
「手旗は、遠く離れていても、気持ちを伝えたい相手に、
しっかり伝えられる道具」なんだと・・。
実は、昔、ボーイスカウトに入隊していた同級生から
「手旗信号」なるものを教わり、必死に覚えた頃がある。
たしかカタカナが基本だったが、相手から見えるように、
鏡に映したような逆のカタカナを体全体で、表現する手旗信号。
現在では、携帯電話や無線で簡単に会話できてしまうが、
1文字ずつ、確実に伝え、確実に読み取るだけの「手旗」のシーンに、
ちょっぴり涙腺がゆるんだ。
作品全体を思い出すには、日本山岳会のリーダーが口にした
「我々は登ることが目的だ。あなたたちは、登ってからが仕事だ」。
これに尽きる。是非、ご覧あれ。
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