スカイ・クロラ The Sky Crawlersのレビュー・感想・評価
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映像や登場人物の死生観に見るべきものはあるが、設定と物語がわかり辛い
総合:65点
ストーリー: 40
キャスト: 65
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 80
絵は全体に綺麗だし空中戦の動きは面白いが、CGと思われる飛行機の絵がアニメと融合しきれていない部分がある。音楽は寂しくて美しい。
一番わからないのは物語。前知識なしで見たが、設定からしてどうなっているのかさっぱりわからない。
イギリスかどこかの欧州の風景に日本人がたくさんいて、時々白人が出てきて彼らとは英語を喋りながら、どこか日常の社会活動の余裕でゲームのような空中戦をしている。国ではなくて会社単位での戦争らしい。第二次世界大戦に登場する日本海軍の試作戦闘機「震電」やドイツのメッサーシュミットのようなプロペラ機が登場するが、陸では戦後ずっと後に出てきたナロー・ポルシェやアメ車のコンバーチブルが走っている。登場人物らは特殊な人間で、どうやら歳をとらないらしく、基本的に戦闘でしか死なないらしい。そんなに長生きする彼らだけが何故戦闘に参加するのだろうか。
そういうことを作品の途中で自分で読み取らなければならなくて、ちょっといくらなんでも設定の説明を省き過ぎではないだろうか。謎を残したといえば恰好がいいが、悪く言えば手抜きしただけ。
結局戦闘をしながら日々生き延びている彼らなのだが、自分を見失っていて生きる目標もなくただ時を過ごしているような、何か感情を失いかけた刹那的な生きる半屍のような登場人物が冷めた心のまま登場する。これだけ特異な世界の設定をしてその中で戦争をしながらも、死ぬまで戦闘を続けなければならない特殊な彼らの死生観を中心に描いているのだろうか。戦闘が嫌なら会社を辞めればいいだけのような気もするのだが、それに関する説明もない。
彷徨う彼らの冷えた魂を表す厭世的で閉塞的な雰囲気はいいし、押井監督は以前に手がけた「攻殻機動隊」でもこのような冷めた哲学的な主題を取り入れていたが、本作では雰囲気重視でとにかく設定や物語が置いてきぼりになった印象を受ける。これで俺の高尚な哲学的思想と世界観を理解しろよ、と製作者側(特に押井監督)が自己満足しているだけなのではないか。それで押井監督教の熱狂的信者が支持し、そうじゃない一般の視聴者は取り残される。
だからわずか7億円と興行収入も伸びないし(ウィキペディアによる)、これでは製作費の回収も出来ていないのではないか。全体として駄作とは思わなかったけれど、あまり高い評価も出せない。
三ツ矢碧役の栗山千明が、主人公に感情をぶつけたりする難しい役柄をうまくやっていた。苦悩したり怒ったりしながら喋るのはすぐにわざとらしいものになりそうだが、上手にこなしていた彼女の力量を見られた。
どこまでも青く虚しい空
救いのない感じの後味
何回か観ないと分らない作品です
2008年日本映画。121分。今年23本目の作品。本作が公開された時に滅多にAをつけない日経新聞が本作にAをつけていました。それだけで観たので、ファンには失礼ですが押井守監督というお方のことは何一つ知りませんでした。
内容は;
よく分りません。
物語の前設定の仕込みが深すぎ、解説が全く施されていないので、映画が始まってからずっと「?」でした。それは、まるで隣人に気むずかしいおじさんがいて、なにやらすごく大切なことを話しているのだけれど、いつもしかめっ面なので近づきがたい、といった感じです。
本作は押井ファンに捧げられた作品だと想像します。
よって一般大衆向けの作品ではありません。そして、わたくしは今後、この監督さんの作品は観ないと思います。あまりにも監督さんの個人的な世界観が強すぎます。そして、それが観てて「上から目線」に感じました。
大切なテーマがあることくらいは分ります。
でも、自分からそれを理解しようと努力する気にはならないのです。
沈黙の意味を読め
いつもの押井守作品の様に多くは語らない。
アニメといえど映画らしい映画だった。
賛否両論、批難ゴーゴーなのは、多分、原作:森博嗣 主題歌:絢香で、「ポニョのライバル」みたいな扱われ方で、割とマニアックな押井作品を宮崎駿層が観たからごたごた言われてるのでしょう。
いつもの押井作品に比べてみれば解りやすいけど、それでも確かに難解です。
この監督の作品は毎回詳細な設定をするのに本編ではあまり多く語らないからね、「感じろ」ってものでしょう。
描写の方は3Dと2Dを巧みに駆使し、手描きの温かさとCGの冷たさが混じって、独特の世界を見せつけられる。
ジャパニメーションの未来が詰まっている。
空の上の「動」と、地上の「静」の対比が生きる意味を謡う。
んー、難解。
DVDでたら見直します。
それまで解説ムックやファンサイトみて色々嗜好してみます。
多分こういうスクリーンの前だけでなく、色々と巻き込まれるのがこの作品の楽しさなのか!?と開き直ってみる。
作り込みが凄いなぁ
押井守監督作。
この人の作る作品って、やったら世界が作り込まれてますよね。細かい設定たくさん散りばめるから、よく付いていけなくなっちゃうんですよ。今回も観ていてなんだか置いてけぼり喰らった感覚ありました。パンフレット読んでやっと理解できましたよ。ホントにこの創造性は凄い、尊敬の念を抱きます。こんな世界があったら、ホントにこんな事態が起こってこんな現実が存在してるだろうって説得力が確かにあります。
パンフ読んだらもう一回観たくなった・・・。
けどさ、それをなんとか映画の中で解らせて下さいよ。だからって説明臭いセリフを並べられても困るけど・・・ほら、あなたの世界観に影響を受けたっつー人たちが『マトリックス』なんて素晴らしい仮想世界の映画を撮ったんだから。
愛は、かくも悲しいものなのか?
茨の空。命の空。
やっぱり押井作品
自分は押井さんの作品結構好きなんで、大体観てます。
『パトレイバー』シリーズも『攻殻機動隊』も『イノセンス』も好きです。押井さん特有の映像表現やキャラ設定の巧みさはさることながら、その根底にある哲学や、セリフの言い回しに至るまで、毎回舌を巻きます。
で、今回も楽しみにしてたんで、鑑賞しました。
やっぱり映像表現は凄いですね。空中戦の映像は圧巻の一言です。
…ん~、ただ、何だろう?
押井さん本人が仰ってた『若者に伝えたいこと』が本当にあれで伝わるのかな?
と思いました。いつもの押井節を押さえて、かなり噛み砕いて表現されてるとは思うんです。でも、やっぱり…『アヴァロン』の時も思ったんですけど、押井さんはジャンル変えても押井さんなんですよね…大仰なセリフを極力押さえてはいるんですけどねえ…やっぱりギミック好きですね、監督…
僕の言いたい事、分かります??
ストーリーより世界観
ストーリーも人物も劇的な展開や引き込まれる要素はないです。
何が凄いかというと飛行機による戦闘シーンが実写のようでした。
ヒストリーチャンネルとかで戦争の映像が資料で放映されたりするのを
見ている私にとっては、それとほぼ一緒に見えました。
押井守作品は難解な言葉の羅列が多いですが、今回はそのようなこともなく
普通の言い回しですが、そのセリフにこめられた意味は深いと思います。
それと効果音にかなり気を使っているような気がした。
パイロットが履いてるブーツの感じとか、椅子がきしむ音とか
日常に生活しているときと同じような感覚の音造りがされてました。
(変にBGMを流しっぱなしにしないし、セリフがないからといって無音ではない)
人によっては「つまらない」と感じる映画かもしれません。
セリフや世界観に目を向けて見てもらえれば変わるかも。
永遠に変わらない苦しみを描いた本作の本質ははっきり言って地獄です!
隣に座っていた試写会の観客から、終了時にマジきつかったと言わしめた本作は、完全に脚本が破綻した問題作です。
まぁ見どころとしては、CGによる実写と見まごう空中戦シーンぐらい。むしろ飛行機ゲームマニアが嵩じて映画作ったらこうなったと言うべきおたっきーな作品といえます。 それだけ地上の人間ドラマは。ドラマとして成立していないと断言します。
一部台詞の棒読みシーンが指摘されていますが、それは菊地凛子のせいではなく、脚本が悪いからだと思います。
なぜ戦争をするのか、なぜ年をとらないかという重要な設定を凛子が担当する草薙に3分間も長々と淡々と語られば、どんな声優だってそりゃあ棒読みに聞こえてきますよ。だいたい重要な設定を台詞一発で片付けてしまうところが、もう駄目ですね。
主人公函南たちが闘っている戦争は、函南たちキルドレを支配する人間たちが、自分たちの平和である証を実感するためだけに作られた「ショーとしての戦争」なんだということを台詞でなく、ドラマの展開で見せなければ、何を言っているのか全く感情移入できなくなります。だいたい会場で配られた公式ガイドブックを見てやっとどんなスジだったのか納得するようでは、プロ失格ではありませんか。
まだまだ突っ込みどころはあります。
時代設定として、プロペラ機というのは第二次大戦の頃のはずですが、作品の描かれる文明レベルでは、液晶テレビがあり、高性能なLRTが路面を走る現代と変わらない水準です。なのに戦闘機だけどうしてプロペラ機のままなのでしょうか。
また舞台設定は、欧州のドーバー海峡間が仮想されているようですが、登場する戦闘員はなぜか日本人ばかり。そして基地で読まれている新聞は製作した日本テレビの親会社である読売新聞なのです。さては渡辺会長にごまをすったのでしょうか。
無国籍でバーチャルな世界での出来事であれば納得しますが、変に日本もどきなのが気にかかりました。
そしてストーリーにもも文句を言っておきます。
ネタバレに関わることですが、永遠に変わらない苦しみを描いた本作の本質ははっきり言って地獄です。
人間によって、同じ個性を持った人物として復活しても、またまた戦闘ロボットとして「消費」される人生。またそれを必然とさせる絶対に倒せない敵としてのティーチャーの存在。それはどこか成仏できずに地獄に堕ちた魂がたどる軌跡に酷似しています。特に自殺した魂は、何度も本作のような体験を飽きるまで味わうことになります。
その点、永遠の愛と安らぎを描いた『西の魔女が死んだ』と好対照でしょう。
公式ガイドブックで、宮崎吾郎監督は興味深いコメントを残しています。
永遠に繰り返される戦闘の場で、
永遠に殺し合いを繰り返し、
死んでは生きることを繰り返している。
空と地表の境で、生きているふりをしながら。
永遠の生命を生きることは、すでに死んでいることに
他ならないでしょうか?
そんな考えが頭をよぎった。
もし彼らが繰り返される状況に
終止符を打とうとするならば、
それは本当の死を迎えることを意味している。
宮崎監督が、本作を作り直したらきっとキルドレの魂にも、
苦しみ(四苦八苦)を乗り越える安楽な死(=生)が与えられることでしょう。
追伸
この作品は映画としてみるのでなく、ゲームとして見るのが正解だと思います。ただプレーヤーたちは自分の頭のなかでシナリオを独自に構成していく想像力が求められるので、映画を期待する人にとっては苦痛でしょう。
スカイクロラの世界では、すべてのことにおいて現実感がセーブされています。
鮮やかだけれどどこか彩度を抑えられた色調。仏頂面のキャラたち、笑いもしません。抑揚された台詞回し。それらの演出が意味するものは、すべてキルドレたちの感覚ではないでしょうか。
殺しあうことがゲーム化されたなかで、殺されるためだけに再生されるキルドレたち。その刹那な転生を繰り返させられるなかで、台詞の棒読みのように語るキャラになっていったのかも知れません。
戦闘シーンは良かった
残念ながら、、、
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