「オシイズム全開」スカイ・クロラ The Sky Crawlers dobubobaさんの映画レビュー(感想・評価)
オシイズム全開
やばいです。この映画。
期待していなかったんですが、まじで感動しました。エンドロール始まってもテレビから離れられず、最後までスクリーンに釘付けです。(おかげでエンドロール後の映像も見ることができました。押井作品は大好きでほぼ全作品見ていますが、敢えて台詞を押さえ、押井的な空気を楽しませるオシイズムが全開のこの作品。ファンじゃないヒトには受けないのでしょう。低興行収入、低評価なのもそういう意味では仕方ないのかもしれません。それでも、この映画のメッセージは心にずんと響くし、登場人物の苦悩もダイレクトに伝わってきます。
奇しくも彼の代表作の攻殻機動隊の草薙素子と、ビジュアルも名前もかぶる草薙水素。(スカイクロラの原作者は特に意識したわけではないようです。)その内面での共通性も彼の作品の中では普遍的に思われます。自身の存在意義に苦悩する水素=素子。菊池凛子の演技もぐっと来ます。俳優陣でいえば、主人公の函南優一役の加瀬亮の演技も淡々としていますが、個人的にはかなりよかったです。
原作は読んでいませんが、スカイウォーカー(skaywalker=空を歩くヒト)をもじったと思われるスカイクロラ(Crawler=空を這うヒトorはいはい歩きをするヒト)の意味がエンディングで理解できます。ちなみに最後の出撃時に函南は字幕で「ティーチャーを撃墜する」と言っていますが、実際の台詞では英語で別のことを言っています。注意して聞いてみてください。
評価が低くて、公開からかなりたって鑑賞したこの作品ですが、個人的には日本のアニメ界にとっては金字塔となる作品と思います。多くの人に見てもらいたい作品です。(もっと評価上がってほしい映画です。)