「作品の意図を考えていくと夜が明けてしまいそう」スカイ・クロラ The Sky Crawlers 鯨さんの映画レビュー(感想・評価)
作品の意図を考えていくと夜が明けてしまいそう
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わたしはなにをみたんだろう
どういった内容だった?どうだった?おもしろかった?と聞かれて
なかなか言葉に詰まる作品も少ない。
おもしろい か おもしろくない か
基本的どちらかに所属するものだから。
この作品はどちらにもならない。
好きか嫌いかで言えば、好き。
面白いかと言われると、それは微妙かもしれない。
戦闘機から見える空の青さと、
アニメとは思えない動き、
その割にはキャラクターの喜怒哀楽が見えにくくて、
淡々と進んでいくから気持ちを測りにくい。
説明がされない分、自分での理解が必須になるけれど、
マッチを折る仕草や新聞のたたみ方で
なるほどと思う伏線は張ってあった。
戦うために作られて、ぼんやりとした記憶しか持たない彼らを
いつも歩いている道は同じでも
そこにある景色は違う。それではダメなのかと問う。
それは生きるということではないのかと。
それでも、それを言いながらも
何かが変わるまでこの地獄で生きろと言う。
絶対に倒せないと分かっていても
そこにむかっていく彼の気持ちを、
彼女のまえにまた現れる、違う彼を
待っていたと告げる彼女の顔は以前とは全然違っていた。
エンドロールが終わるまで考えて考えても
結局答えの出ない質問を投げかけられたような気がする。
心の中になにか棘を残していくような、
静かでかなしい、明日への物語。
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