スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ : 映画評論・批評
2007年9月4日更新
2007年9月15日より渋谷東急ほかにてロードショー
驚くほどマジメに、“マカロニ魂”をリスペクト
始まるや否や、“孫悟空”ご一行相手に、タランティーノが驚異の早撃ちプレイ! さらに、オールスター・キャスト入り乱れてのバイオレンスの饗宴が展開。サブちゃんのこぶし唸るエンドロールまで、すき焼きどころか寄せ鍋だ!!
これまで、風呂敷を広げすぎたあまり、収拾つかないこともあった三池作品。だが、今回は驚くほどマジメに、“マカロニ魂”をリスペクト。十字架に、棺桶、墓場、ガトリング銃といった、「続・荒野の用心棒(原題:ジャンゴ)」アイテムを登場させるほか、「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」などのオマージュの応酬。それだけに、「ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け」や「EAST MEETS WEST」が子ども騙しにみえる、マカロニ独特のカタルシスを感じさせてくれる。じつはリアルタイムなマカロニ世代じゃない監督だが、本作に対する真っ直ぐな姿勢は、リアルなラス・メイヤー世代じゃないタランティーノの「デス・プルーフ」に対する姿勢と同じ。その結果、現代の日本映画界でもまだまだグラインドハウス映画ができることを実証した。しかし、同時に見られる“桃井かおりリスペクト”だが、彼女の流暢な発音ゆえ、全編英語というギミックのひとつが空回りしたことは否めないだろう。
(くれい響)