劇場公開日 2007年8月25日

「監督の才能となによりもメディアの人間としての良心と矜持を改めて高く評価する」シッコ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0監督の才能となによりもメディアの人間としての良心と矜持を改めて高く評価する

2018年10月10日
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問題点を多面的に取り上げて、他国との比較の上でどうなのかと問う
第三者の視点でなく当事者を登場させることで、観る者に自身の問題として考えるように構成してある
もちろんマイケルムーア監督の考える方向性で結論付けられてはいるが、決して独り善がりな自説に付き合わされる凡百の同種のものとは一線を画す
ウィットを効かせたシーンと皮肉を織り交ぜ退屈させない仕掛けのバランスも絶妙だ

果たして日本で同じレベルでドキュメンタリーを作れるだろうかと思うと暗澹たる気分になる
ムーア監督には作家性がある
自身の批判サイトさえ応援できる余裕すらある
日本の今のメディアはどうか?
メディア自身が記者匿名のまま隠れて騙すことしかやっていない
ニュースで劇団員に仕込み原稿をインタビューとして自らの主義主張を言わせるなんてのは序ノ口だ
もっとひどいフェイクを仕込む悪辣な手口は高度化して、もはや何もかも信じられなくなってしまっているのだ

だからこそ、この監督の才能となによりもメディアの人間としての良心と矜持を改めて高く評価したい

あき240