プレステージのレビュー・感想・評価
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マジックの裏側にあるものは…⁉️
こんな上質なミステリー作品を見逃していたとは…。
19世紀末のロンドンを舞台に、当時の娯楽マジックの世界に生きる者達が、互いに鎬を削り、また、足を引っ張り合い、表舞台へのし上がろうとする人間模様が描かれている。また、後半には、マジックの中にSF的な要素も盛り込んでいる。
ライバル関係にあるマジシャン、アンジェーをヒュー・ジャックマンが、ボーデンをクリスチャン・ベール演ずる。マジシャンとしての意地とプライドの張り合いが、様々な人々を巻き込み,悲劇と不幸を撒き散らしていく。
どんな結末が待つのか、最後までハラハラ、ドキドキ。二転三転して最後に見えてきたものは、あまりに意外で、驚愕の真実だった。2人が命を引き換えにしてまで、守ってきたものは、アンジェーとボーデンのマジックの裏の裏に隠された秘密だった。
クリストファー・ノーラン監督が、ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベールのW主演に、ベテランのマイケル・ケイン、そして、スカーレット・ヨハンソンまでも起用して作り上げた極上の作品。この豪華俳優陣の演技を楽しむだけでも、観る価値あり。
マジックをテーマにしてるだけあり、ノーラン監督が、観る者の裏の裏までかいて、練ったトリックで、騙そうとする本気度が伺える。
この世には、真実を知ることより、ありのままだけを見て、騙されている事の方が幸せな場合もあるのだろうと思える内容。久しぶりに、クオリティーの高いミステリーを堪能した。
観客に突きつける謎解きへの挑戦状、観客を驚かせ魅了することに取り憑かれた人間像
映像の時間系列が入り乱れ、種明かしはキチンとなされているが、見ている者にはすぐには分からず、観客に謎解きの挑戦状を突きつける、まさにノーラン監督らしい傑作。自分も1回目には良く分からず、2回目でようやく全体像がクリアになった。
原作が有るということだが、双子が瞬間移動マジック舞台だけでなく私生活でもしょっちゅう入れ替わってるというアイデアと映像化に拍手。ヒントは幾つかあったが、ラストまで全く推測出来なかった。愛する女性は彼らの中ではきっちり区分けされているが、彼女らにとっては、愛ある日と無い日があることからの悲劇となる展開も上手い。
そしてなんと言っても、離れた場所にコピーを作るテスラ氏によるマシーンには驚愕。加えて、冒頭の数多くの帽子の映像、転送に失敗と思わせておいてネコ2匹の声と姿でどんでん返し・コピー誕生を匂わす展開が上手い。そして、銃を傍らに置きマシーンに自らを置く偉大なるダントンことヒュー・ジャックマンの姿。ラストの方で、銃でコピーを撃ち殺す映像、ラストのショッキングな映像に繋げていく映像アイデアが素晴らしい。
そして、小鳥が消えてまたプレステージとして別の場所から現れる映像、この残酷な種が明かされ、これがダントンの瞬間移動芸のモチーフになっているのもお見事。
教授ことクリスチャン・ベールの片側による鳥カゴ破壊やネタバラシによるダントン舞台潰しの嫌らしさ、刑務所での看守への手錠かけの腹いせ、因果応報なのかあっさり無実なのに絞首刑になってしまう展開も、興味深い(英国で19世紀末とは言え証拠無しで死刑には、説得力あまり感じなかったが)。
教授の瞬間移動の謎を執念深く探り部屋荒らしの犯罪的行為まで手を染めるマジシャン・偉大なるダントン、観客の驚く顔見たさに発明家に財産を注ぎ込み、大きな犠牲を払って人気を獲得も、最後に教授の生き残った側により撃ち殺される顛末。狂おしいまでに観客の喝采を求める姿に、常に新しいことを行い観客を驚かせ魅了し続けるクルストファー・ノーラン監督、自分自身の自画像を重ねている様に感じた。
マジックは時に人を生かし、時に人を殺す
19世紀末のロンドンが舞台のマジシャン対決。
マジシャン対決といっても、そんなぬるいモンじゃありません。
指2本失くすわ、人前でハト殺させるわ、ショーを台無しにして赤っ恥かかせるわ。
やられたらやり返す、妻を失ったアンジャーの壮大な復讐劇の行方とは…?
ノーランらしい、難解で想像以上に深い歴史SF(と呼んで良いのか分かりませんが)でした。
(静かな)暴力映画だと思うんですが、妻や娘への愛を入れてくるあたりも実に彼らしい。
とにかく初見ではストーリーを追うのに一苦労でした。
この手の映画はもう一回観て、伏線とか探しながら味わいたい。
そして、テスラ(まさかのデヴィッド・ボウイ)VSエジソンが絡んで来ることで一気に増す現実感。
物語のキーとなる例の機械のファンタジー要素で賛否が分かれそうですが、私は好きです。
マジックには三段階。
プレッジ(確認)、ターン(展開)、プレステージ(偉業)。
プレッジでなんでもないものを見せ、ターンでそのなんでもないものを使って凄いことをしてみせる。
そしてプレステージが肝心で、ここにより観客の拍手が起きる。
この映画自体も重要なシーンは全て前半冒頭にまとまっていた。
我々観客はそれに気づかず、次々と起きていく事件を見せられ、あっと言わされるラストでの種明かし。
この映画こそがマジック。
満足できる充実した130分。
前後する時間軸の中で、一体なんだったのか、そんな“なんでもない”ことだったのか、と喪失感に襲われる手品的映画。
もはや泥仕合
ノーラン節の正体とは何か?
ノーラン監督の第5作
前作は大抜擢されて巨額の予算をかけた「バットマン ビギンズ」だった
それはまずまずのヒットを記録した
内容も期待以上の作品に仕上げてみせた
映画会社の上層部が心配したであろう独りよがりな演出はない
リブート企画を立ち上げる意味を良く理解してシリーズとして続けられる内容の大切な部分をしっかりと守った
それでいて彼独特の雰囲気を保っている
むしろ得難い才能の監督を得たという評価だろう
こうして英国でもハリウッドでもそこそこの信用が得られるようになっただろう
エキセントリックな映画しか撮れない男ではない
高い技量を持つプロフェッショナルだと
そうなればもちろん資金が集まる
だが他人の資金だけでは雇われ監督に過ぎない
自分のやりたいことを貫けない
ならばと、本作では製作者に監督自身と妻のエマ・トーマスの名前がある
幸い前作の収入で小金は入っていたのだ
脚本には弟のジョナサン・ノーランが加わった
つまりノーラン節を目一杯投入した映画を撮るぞという体制だ
本作の主な舞台はビクトリア朝ロンドン
なぜこの時代を選んだのかはテスラというモチーフが必要だったことは、もちろんある
しかし日本でいうなら時代劇ものでも撮れますよという意味のようにも感じる
まだまだ自分の才能の伸びしろはタップリある
もっともっと自分に投資してくれ
歴史物、戦争もの、SFもの
何でも撮れますよ
むしろ喜んでやります
他の監督とは一味も二味も違う、新味のある作品をお見せしますよ
そのような野心が匂っている気がする
観客は本当の事を見ようとしない、見たいものをみるのだ
マジックと映画はその意味でとても似ている
それがノーラン節だ
娯楽映画を観たくて映画館に足を運ぶ観客は、娯楽にしか興味はない
くそ難しい理屈や監督のメッセージなぞどうでもいいのだ
プレステージというべき、クライマックスでびっくり仰天させたなら喜んで帰っていくのだ
出来が良ければ、もう一回、友達もつれてまた観にくるかも知れない
それで興行は大成功間違いなしなのだ
そこが付け目だ
ノーラン監督はその娯楽映画にトリックを仕込む
ああ面白かったと帰っていく観客にトリックを仕込んでいるのだ
監督のメッセージをこっそりと仕込まれて映画を観終わった観客はそんなことには全く気付かずに内容を反芻しながら帰り道を急ぐ
なんとなく新しい物事の見方が出来ていることには気がつかない
まるで自分が考えたように思っているのだ
そうして寄り道したバーでその考えをさも自分の考えのようにベラベラ話し出す
それがノーラン監督のやりたいこと
すなわちノーラン節の正体だ
本作はその種明かしだったのだ
このようにこれからも映画を撮りたい
どんどん娯楽大作を俺に任せてくれ
それを使って大きなマジックをやってみせよう
そのプレステージを観たくはないかい?
そのような監督の声が聞こえるはずだ
私達はもう何度もそれを観た
その後の彼の作品がそれだ
ダークナイト
インセプション
ダークナイト ライジング
インターステラー
ダンケルク
TENET テネット
彼の作品を観たあと何かが変わる
マインドセット
パースペクティブ
なんと例えるべきか
そのようなものだ
ノーラン監督の作品を観れば見るほどそれが変わるのだ
真のノーラン節とはそれを指すのだ
ノーラン監督は007映画を撮りたいと念願しているという
当然だ
映画業界最大の娯楽大作、世界中の何十億という人間が公開されてからも何十年も観続ける映画なのだ
そこにトリックを仕掛ける
世界中の観客がただの娯楽大作だと思って観る
しかしそこには監督のメッセージが隠されて、こっそりと頭の中に仕込まれてしまう
まるで自分が考えたことのように
誰もが娯楽作品と思い込んでいるほど効果が上がるのだ
そんな一世一代のマジックショーのプレステージを自分は切に観てみたい
その日がいつか来ることが本当に待ち遠しい
【序盤から”確認に次ぐ確認”をしないと”展開”の面白さと”偉業”のカタルシスに辿り着けないCN監督の”映画作りの面白さ”を堪能する作品。】
ー 19世紀末の倫敦が、舞台。
奇術師アンジャー(ヒュー・ジャックマン)と、同じく奇術師のアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベール)の確執を、
CN監督お得意の二人の日記を駆使して、現在・過去を往還し、叙述トリックも取り入れた、
”私のトリックが見破れるかい?”と言う、高笑いが聞こえてきそうな作品。ー
■感想
・”二人”の奇術師の、観客を驚かせるために考え出す、数々のトリックの面白さ。
ー ”水槽脱出トリック””人間瞬間移動””弾丸摑み取り・・”ー
・二人と関係性を持つ、奇術師アンジャーの助手、オリヴィア(スカヨハ)の妖艶な姿、不可解な行動。
・アンジャーの妻でアシスタントでもあったジュリアのボーデンも”関わった”死と、ボーデンに”翻弄”(優しくされたり、冷たくされたり・・)された妻サラ(レベッカ・ホール)の縊死との相関性。
・実在の人物、ニコラ・テスラ(デヴィッド・ボウイ)が奇術師アンジャーに授けた装置。そして、焼け焦げた多くのシルクハット。
・アンジャーとボーデンに、奇術のトリックや小道具考案で関わっていた、カッター(マイケル・ケイン)。暴走するアンジャーへの警告・・。そして、最後に彼はどちら側に付いたのか。
<初見時は、?の部分が少しだけあったが、2度観ると、スッキリ理解。
CN監督が、今作を”映画作りについての作品”と語った意味が良く分かる作品でもある。
世間を偽り、自分を複製するような輩は、世の中の記憶には残らないのである。(暗喩)>
<2010年頃、別媒体にて鑑賞>
<2021年6月20日 別媒体にて再鑑賞>
【登場人物のいずれにも共感させない面白さ】
・2016年公開のアメリカのサスペンス映画。
・19世紀にロンドンで、2人のマジシャンが競い合う、という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・ボーデンのトリックが最後まで気になる
・題材がマジシャンですが、しっかりしたサスペンス要素があり良い裏切り
・「一瞬も見落とすな」的な宣伝文句に惹かれます
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
[物語]
・時系列をバラバラにして物語を進めていきます。序盤は、「え?理解できていないのは自分だけ??」と思ってしまいますが、大丈夫です、だんだんとピースがつながってきて理解できます。こういう「一旦、観客を混乱させつつも、スムースに理解させる」物語構成はすごいなぁと思いました。
[演出]
・ヒュージャックマンさんが演じるアンジャー、クリスチャンベールさんが演じるボーデン。観ているこちらの感情がどちら側に揺れ動くかを決めさせないつくりはすごいですね。普通に考えると、主人公と敵対者、という構図で進めていくのに、どちらともいえない状態で最後の最後まで観客に決めさせない。それでも観れてしまう作りが凄いなぁと思いました。
[映像]
・19世紀の実際のロンドンは知りませんが(笑)、それでも映画を観るだけでその雰囲気を感じられてしまいます。まさに世界観に引き込まれた感じです。
[音楽]
・特に際立って感じたことはありません。
[演技・配役]
・ヒュージャックマンさん、クリスチャンベースさん、マイケルケインさん、みんなかっこよいです。そして、最後までそれぞれの腹の内が見えきれないような演技が良いですね。
[全体]
・何気なく観た一本の映画で、2006年製作と少し古く、「たぶん、途中で観るのやめるかなぁ」と思っていましたが、観始めるとどんどんと引き込まれていきました。まずは「時系列問題」、次に「トリックの謎」、そして「結末」。1つ1つ監督によって張り巡らされた罠にまんまとはまった観客になっていました。計算されつくした理系系サスペンス映画として見ごたえがあり楽しかったです。ありがとうございました。
#映画 #サスペンス #マジシャン #ヒュー・ジャックマン #クリスチャン・ベール #マイケル・ケイン #原作映画 #奇術師 #クリストファー・プリースト #クリストファー・ノーラン監督 #撮影賞 #美術賞 #ノミネート #アカデミー賞
#全体3.6 #物語3.6 #演出3.7 #演技3.7 #配役3.7 #映像3.5 #音楽3.5
マジックのタネ、手品師同士の戦い。
手品師の持っているタネ、テクニック。普段は客として、鑑賞者として表面しか見られないマジックだが、その舞台裏、水面下での駆け引きと戦いが新鮮。
マジックへの探究心、ライバル心、嫉妬。興行という難しさの中で相手を研究しつつ、そこに復讐・報復という終わりなき負の連鎖。何処で断ち切れるかは"勝ち負け"の確定時。
ヒュー・ジャックマンにクリスチャン・ベール、マイケル・ケインにスカーレット・ヨハンソン。
とにかく豪華なキャスト、これだけでも必見。相変わらず説明は最小限でストーリーは進み、気付けばノーラン監督お得意の時間軸に感嘆させられる。
何故お互いがお互いの日記を読んでいるのか、
何故その日記に対して把握が出来ているのか、
伏線に次ぐ伏線。
後半に一気に繋が、、、あれ?どうなってる???笑
と、上手く繋がらず理解に苦しむのもノーラン監督ならでは。それでもグイグイ惹き込まれていくストーリーは流石。
わかってしまえば『単純』と言うのは簡単、それを考え生み出して『マジック』という形にして、エンターテインメントにして成功させるのが何より難しい。
まさに[映画のストーリー]と[マジックのタネ]、
同じ様にも感じた。
マジックという魅力に取り憑かれてしまった、2人の手品師に翻弄される周りの人達。どんでん返しから、予想を上回る衝撃のラストシーン。オススメ。
まさにプレステージ、最後の最後まで素晴らしい奇術劇。もっと、みんなに知ってほしい。
以前、映画館で見て、今回は 2 回目の鑑賞。
ノーランさんの作品は、ネタを知っていることで、より面白さを感じられる印象があるが、
こちらも、その手のタイプ。
メメント、テネットほどではないが、所々感じられる違和感の正体が2回目だと分かってニヤリとしちゃう。
これだけ豪華なキャスト、ノーラン脚本、監督なのに (個人的な印象だが) 世間に認知されていないのが、残念。
ダークナイト、インセプション、テネット、インターステラーなど、アクションが入った方が確かに面白いが、
メメントや、本作品のような脚本と演技でみせるノーラン劇も、是非、みんなに知ってほしい。
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2 人の主人公の師匠が「人は自分が見たいものを見ている」というニュアンスの話をするが、とても印象に残った。
ボーデンのアレについて、師匠は全てわかっていた。
だが、ボーデンをライバルとして認めるアンジャーには、それを信じることができない、想像できない。
終盤、アンジャーはアレの秘密を知ることになるが、その時の表情と演技は秀逸だった。
そして、映画を観ている我々もまた、アンジャーと同じ心境であったことにも気が付くわけです。とんでもない仕掛けだ。
ボーデンは初めから言ってたね「しっかり、ごらん」って(笑)
ボーデンの方は分かるけど…
マジックとは、物を消した後、再び取り出す所に価値がある
初見のときは、ついていけなかった。
時系列混ざる時あるし、主人公の言ってること変わるし、俳優の顔似てて誰が誰だか分からん。
でも、オチの衝撃は鮮明に覚えていた。
だからいつかまた見ようと思ってたのを、ようやく叶えました。
大体のストーリーを知った状態、かつ大人になって俳優の区別もできるようになった今見ると、よく理解ができた。
オチはもちろん分かってたけど、それでも2人のマジックに対する執念に唸らされる。
改めていい映画だよ。
ノーランに信者が多いのも頷けるし、実際おれ自身もファンの1人。
ただまぁやっぱりこれは初見だと難しいとも思う。なかなか人に勧めづらい。映画をよく見る人ならいいけど、あんまみない人に迂闊に勧めても多分満足度低い。
初見は10年前ぐらいだった気がする。
映画と奇術の類似性について
ノーランが見出しているのは、映画と奇術との類似性だ。
観客はありのままを見つめるのだが、ありのままのことは起こっておらず、複雑な事実があり、何を見せ何を見せないかを操作する仕掛人がいる。
仕掛人は「ありのまま」に隠された真実を知っているが、真実を知らない観客には「ありのまま」がもっともらしく思える。(観客は夢を見に来ているから、無知に留まる。無知=観察、探求、情報の不足。掘り下げの不足。)
観客は複雑な事実を知らずに、"ありのまま"を見ようとする。
映画とは現実世界の被写体をカメラで撮影したものであるが、撮影の行為を確認するのではなく、スクリーンを見るに留まる。提供されたものを見る。
コインは瞬間移動していないし、重力の方向が変わったのではなくカメラの固定された筒が回転するのに合わせてスタントしている。
瞬間移動していないのに瞬間移動していたいと願う心とそれを信じさせる技術、重力の方向は変化していないのに重力の方向が変化すると思える文脈へと誘導する演出。
→『インセプション』
仮面(装い)と、誘導と、真実。
→『ダークナイト』
【映画はどうして嘘じゃないの?】
映画はどうして「嘘」だと断罪されないの?
・人は見た目重視だから
・不都合な嘘ではないから(不利益をもたらさないから)
・事実(史実)と異なることを吹聴しているわけではないから
実際に起こり得ないことなのに、もてはやされる"嘘"はどうして?
→視覚優位?
・要望/想像力/期待と結びつくから
(書きかけです)
流れは最高!でも最も肝心な部分が…
前情報なしで観たところ…
ノーラン監督らしい難解さもあるがエンターテイメントとして昇華
2020年9月12日、待望の「TENET」公開まで1週間を切りノーラン監督作品で未視聴だった本作を視聴しました。
時間が前後する展開は、さすがノーラン監督と唸らされます。若干難解ですが時間軸毎に場所や登場人物が異なるのでそれほど混乱することはありませんでした。個人的に好きなシーンはお互いのショーに変装して復讐に来るシーンです。「ここで来たかー!」と盛り上がりました。
二人の瞬間移動のトリックが片方は拍子抜け、もう片方は(SF過ぎて)無理あるかな~と思ってしまったのは残念でしたが、どちらも予想していなかったという点では楽しめました。
あと、観たときは全く気付きませんでしたがニコラ・テスラ役はデイヴィッド・ボウイさんなんですね!馴染み過ぎてて全然わかりませんでした!
電流戦争を初めて知りました。
19世紀末のロンドン。ライバルである二人のマジシャンの壮絶な出世争いを描いた物語。
CSのレビューでは「サスペンス」と書かれていますが、基本的には主人公グレート・ダントンとアルフレッド・ボーデンの確執を描いた人間ドラマです。
マジシャンとしてのライバル心に、グレート・ダントンの奥さんが事故死(ボーデンのミスによるマジック中に溺死)したことからの復讐心が加味され、ドロドロとした人間ドラマが展開されていきます。
終結への道程で、ボーデンがダントンを水槽に閉じ込め殺したとして裁判を受けるシーンが描かれる等、その確執の凄まじさを感じさせます。
このようなドロドロとした確執を描く人間ドラマは、個人的な好みではありませんが、それでもその迫力は素晴らしいものでした。
ただ、とても分かり難く、見難い映画です。
現代と過去を行き来する手法は元々苦手なのですが、この映画では二人のマジシャンを別々に描いて行くので、分かり難さが倍増した印象です。
また、ドラマ佳境で、「電流による物体コピー」という突拍子もない設定がつぎ込まれて、悪い意味での驚きを禁じ得ませんでした。
リアルな設定による人間ドラマとして鑑賞していた私としては、置いてけぼりになった気分でした。
クライマックスで、どんでん返しが二つ待ち受けていましたが、どちらも今一です。
一つ目。ボーデンの双子設定は、途中で想像がついてしまいました。
また、双子とはいえ「二人で一人」という極端な思考に何故陥ったのか?何故、妻にまでそのことを明かさなかったのか?その説明がなされていないことが気になります。
そこら辺の説明がなされれば人間ドラマとしてより奥行きが出たと思います。逆にそれがないと、「何でもあり」と感じてしまいます。
二つ目の「水槽で死んだのはコピーで、実はダントンは生きていてた」という設定については、しっかりと説明がなされていて、とても良い設定だったと思います。
「マジックの度に、自分のコピーが一人死んでいく」。こんな凄惨なマジックを仕掛けるほど暗く深いボーデンに対する怨念が、空恐ろしくなります。そして、愛する妻と同じ死に方を準備する、ダントンの妻への愛情についても、情の底深さを感じる見事な設定でした。
しかし、肝心の人体コピーを「突拍子もない」と全否定しているので、素直に評価する気持ちになり難くくも感じました。
絞首刑になるボーデン、娘を迎えに行くもう一人のボーデン。壮絶な迄の明と暗のラストは印象深いものでした。その他にも観るべきものは幾つも散りばめられていましたが、私的評価は少し厳しめにさせてもらいました。
全118件中、21~40件目を表示