HERO(2007) : 映画評論・批評
2007年8月28日更新
2007年9月8日より日比谷スカラ座ほかにてロードショー
ツッコミどころはいっぱいだが、グッと来てしまう
すっかり定着した連続ドラマの映画化だが、ドラマのスタートから6年のインターバルをおいた大ヒットシリーズの映画化は、イベントムービーの趣。ちょい役にまで豪華ゲストを揃えて話題性もたっぷりだが、城西支部の面々のドタバタ捜査をはじめ、ツッコミどころもいっぱい。
でも、それでもグッと来てしまうのである。巨悪をめぐる思惑が渦巻くなか、事件に大小などないという信念のもと、担当する傷害致死事件の真相を追い続ける久利生の姿に。罪を犯した人間が、その罪の重さをわかっていなければ意味がないという久利生の言葉に。そして、この型破りな検事の真っ直ぐさが、そのまま木村拓哉という時代のアイコンと重なって見えることこそが、「HERO」シリーズの魅力。しかも、この“グッと来る感”は、確実にドラマから映画へとスケールアップしているのだ! それに素直に痺れることが出来るのは、この6年の間に木村が自分を消して下級武士になりきった「武士の一分」もあったから。続編を撮る場合は、笑いのなかにも検察のお仕事をリアルに描くことで、さらにグッと来させてくれることを期待。
(杉谷伸子)