レミーのおいしいレストランのレビュー・感想・評価
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スパイスの効いたおとぎ話 面白い!!
いったいどんな経緯でこんな風変わりな映画を、いやストーリーを考えついたのか。ネズミたちは、あくまでネズミらしく振る舞うし、滑稽でそして可愛くない。むしろ気持ち悪い。キッチンに彼らが往来する絵ずらが苦手な人は、きっと受け付けない作品だろう。もしかしたら、吐き気を催す人もいるかもしれない。
それにしても、味を表現する手法はいちいち感心させられる。実写作品でも、料理が美味しそうに見えないことが多いのに、CGアニメーションで、ここまで料理を魅力的に見せる映画は前例がないんじゃないだろうか。
とくに、評論家がラタトゥイユをひと口食べた時の感動は、本物の料理を食べる以上に感動した。例えが適切かどうか知らないが、本当にキスするより、魅力的なキスシーンを見ていたほうが気持ちよさそうに感じる、ようなものか。
この映画が素晴らしいのは、リングイニ青年が成長するだけの、ただの立身出世伝ではなく、最終的に評価を受けるのが料理を作ったネズミだということだ。そこにあるのは絶対的な評価。美味しいものは、たとえ誰が作っても美味しいという評価を、批評家のルーティンでの仕事を超越して、神聖なるものとしてきちんと評価し、人々もそれを受け入れる。
批評家が絶賛したから店が繁盛し、酷評したから店がつぶれるという、ありがちなテーゼを、あえて真正面から取り上げ、美味しいものは絶対的に美味しい。批評家も勿論ほめたたえ、店も繁盛する、という、映画としてはあり得ないアプローチを試みていることも画期的だ。
考えてみれば、ミッキーもネズミだった。ディズニーピクサー作品としては、まあ、あってもおかしくない映画か。でも、ミッキーはマウスで小型のネズミ。レミーはラットで大型のネズミ。レビューは好意的な評価が多いのに、続編のウワサを聞かないのはなぜなのだろう。
まだまだ、見たことがない、いい映画はたくさんあるのだ。
夢をかなえてレミえもん。 やりたいことはわかるけど、このレストランに通いたいかと言われると…ねぇ。
シェフを夢見るネズミのレミーと、何をやってもダメなレストランの雑用係リングイニの友情と成長を描いたファンタジー・アニメーション。
👑受賞歴👑
第80回 アカデミー賞…長編アニメ映画賞!
第65回 ゴールデングローブ賞…アニメ映画賞!
第35回 アニー賞…脚本賞/長編アニメ映画賞!✨
第79回 ナショナル・ボード・オブ・レビュー…アニメ映画賞!
第33回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…アニメ映画賞!
第3回 オースティン映画批評家協会賞…アニメ映画賞!
第61回 英国アカデミー賞…アニメ映画賞!
アカデミー賞を総なめにした話題作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)でも大々的にパロられていたピクサー作品。
とても有名な作品だが、よく考えたらこの映画一度も観たことが無い!ということで今回鑑賞してみました。
監督はブラッド・バード。ピクサー作品の監督を務めるのは『Mr.インクレディブル』(2004)に続き2度目。その2作品ともアカデミー賞を受賞しているという、正に名匠中の名匠であります。
本作と『Mr.インクレディブル』に共通しているのは、メインキャラクターの大部分が人間であるということと都会が舞台であるということ。
当時はまだ人間が主役を務める3DCGアニメはほとんど無かった。動物や怪物はともかく、人間を3DCGで表現するのは技術的に難しかったのだろう。今回の監督起用も、おそらくは前作で人間主体のアニメーションを手掛けたという功績を買われてのことなのだと思われる。
さて、バード監督が手がけたピクサー作品を比較してみると、たった3年で驚くほどに映像技術が進化していることに気づく。
正直、『Mr.インクレディブル』の映像は今見ると古臭く、キャラクターのアニメーションにはぎこちなさを感じる。特に都会の街並みはまるでデモ映像のように陳腐。
もちろんこれは手を抜いたわけではなく、これが当時の技術的限界点であったということなのだが、3DCGアニメというジャンルがまだまだ発展途上の段階だったということがありありと分かる作品である。とっても面白いんだけどね。
それに引き替えて、本作の映像はなんと豊かなことか!
人間キャラのアニメーションは滑らかで表情豊か。これまでの3DCGアニメにあったキャラクターのお人形感を見事に払拭出来ている。
舞台となるパリの街並みも美しく表現できており、ロケハンの努力が見て取れるようなリアリティがある。
レストランの厨房内もとってもリアル。ひとつひとつの小物の汚れがしっかりと描かれており、これが作品内世界への没入度を格段に高めてくれています。
今から15年前の作品ではありますが、映像的な古さはほとんど感じない。本作により3DCGアニメの技術は一応の完成をみたといっても過言ではないでしょう。
『Mr.インクレディブル』同様、本作で描かれるのは天才であるが故の生きづらさ。バード監督は「秀でた才能のせいで社会に適応する事が出来ない存在がその才を生かす術を身につけ、遂には自己実現を果たす」という物語を一貫して描いているのです。
それに加えて、本作では自己実現を阻む格差や差別といったテーマも盛り込まれています。人口の10%が移民であるとも言われる、移民大国フランス。元の住まいから銃で追い立てられパリに移り住み、そこの住民たちの目を逃れるようにして隠れ住むドブネズミのレミーがマイノリティな人種のメタファーであることは想像に難くない。
また、本作のヒロインであるコレットは料理団唯一の女性。セリフでも説明されていたが、古いしきたりや価値観が幅を利かせるフランス料理の世界で女性が生き抜くのは容易ではないようだ。日本の寿司屋と似たようなものなのかも知れない。
このように、本作は人種差別や性差別といった不当な扱いに対する批判的なメッセージが込められているという点において『Mr.インクレディブル』よりも先進性のある物語になっており、バード監督、そしてピクサー・スタジオが作品を作るごとに着実に進化していることがよくわかる。
ネズミが人間をロボットのように操る、このビジュアル的な可愛さと面白さ。このユニークな発想だけで、この映画はもう合格!ウキウキ楽しい気分になっちゃいます♪
…ただ、正直気になる点もかなりある。
まず第一に、本作には主人公たちと敵対する存在が2人いるという点。それ自体は別に問題ではないのだが、気になるのはその2人のキャラクターには特に接点がないというところ。
シェフ長のスキナーと評論家イーゴ。この2人がレミー&リングイニに立ち塞がる障壁。前半の敵はスキナー、後半の敵はイーゴといったように綺麗に分かれているのだが、この2人には関連性がほとんどないため、物語の流れが少々歪になってしまっている。
また一つの映画で2人の異なる敵と対決するため、必然的に一人一人の描写は薄くなる。そのため、スキナーとの店の権利をめぐる争いは尻切れトンボのようだったし、イーゴとの戦いにはかなり唐突さがあったように思う。
イーゴがラタトゥイユを食べた瞬間の、あの幼少期の記憶がフラッシュバックするという描写にめちゃくちゃ感動した。もしも前半からイーゴとの対立関係が綿密に描かれていれば間違いなくあそこで涙腺決壊していたと思うので、彼の描写不足は本当に勿体無いと感じてしまう。
無理にスキナーという悪役を用意しなくても、イーゴ1人だけで本作の敵役は充分だったんじゃないかな。
第二の気になる点は、もう1人の主人公リングイニに全く好感が持てなかったということ。
本作の枠組みは完全に『ドラえもん』と一緒。ダメダメな主人公の下に突然彼をサポートしてくれる存在が現れ、時には反目しあいながらも友情を育んでいく。
のび太とリングイニに共通するのは、お助けキャラに甘えて自分では全く努力しないという点。
まだのび太は子供だし、劇場版では頑張るし、「さようなら、ドラえもん」ではガッツを見せるしで共感の余地があるんだけど、マジでリングイニには好きになれるところが全然ねぇ!レミーのおかげで彼女は出来るし名声は手に入れるし店のオーナーにはなるしで棚ぼたが過ぎる。コレットがやけに可愛い分余計にムカつく!😠
レミーから料理を教わることで一人前のシェフとして成長するとか、そういう努力が少しも描かれなかったので、最後まで周囲に甘やかされるだけのダメ男っていう風にしか見えなかった。
そして最も大きな問題点。
めっちゃ根本的なことを言うけど、レミーがネズミすぎる!🐀
これダウンタウンの松ちゃんも言っていたけど、ネズミの作った料理なんて全然食べたくない…。だってあいつらさっきまでドブの中にいたんですよ。もう食中毒待ったなし。
それこそ、ミッキーマウスみたいに擬人化された存在だったり、『ズートピア 』(2016)みたいに動物だけの世界だったりすれば全然飲み込めるのだけれど、ネズミのCGがリアル、かつパリの街並みもリアルなので、この世界観でネズミたちに料理を作られると正直気持ち悪さが勝つ。
レミーは移民やマイノリティのメタファーである、と前述したけれど、それでもやっぱりネズミはネズミな訳で。そりゃ衛生的にも倫理的にもアウトでしょ、となってしまう。
「誰にでも料理は作れる」ってそういう意味じゃなくない!?
とまぁ、割と設定の根本的なところに乗ることができず、なんかモヤモヤした鑑賞体験となってしまった。
ジョージ・ミラー監督のアニメ映画『ハッピー フィート』(2006)は、主人公マンブルが仲間のペンギンたちに踊りという文化を広めるという物語だった。
本作もそれにならって、レミーがネズミたちに料理の素晴らしさを広めるという物語にしてしまえばまだ飲み込みやすかったかと思う。まぁそれが面白いかどうかは微妙なところだけど…。
リングイニに呆れてお店を辞めたシェフの人たち、可哀想だよな…。そんな事を考えてしまう映画でありました。
ピクサーの攻めた姿勢は好きだけど、本作はちょっと尖りすぎかな…。
彼のように生きたかった
この映画は何度も見てるけど...正直告白すると...見る度に100%、最後のアントン・イーゴの評論で泣いている。
この物語はレミーの才能とチャンスの物語だ。
よくアニメや漫画の評価基準として「結局才能があるから主人公がのしあがる作品はクソ」という声が上がる(特にジャンプ系)。しかし、全ての才能ある人が成功をものに出来るかは別だ。
レミーにはそこら辺の人間をはるかに凌ぐ才能があるが、その才能をさらに凌ぐハンデを背負って産まれた。人間界のカルチャーに憧れを持ちながら、人間界から無条件で敵とみなされる動物なのだ。
「いやいや、結局味方は多いし家族の理解も得てるじゃん、結果から見たらコイツ恵まれてるじゃねえか」と切りたくなる気持ちも分かる。でもレミーはセンス以上に、常に前に進む勇気がある。めちゃくちゃ泥臭い失敗もするが、そこで折れない図太さひたむきさもある。ハッキリ言うが、その界隈でのマイノリティが人目を気にせず前に進むのはメチャメチャこわい。味方も家族の理解も、全部レミーが「行動で勝ち取った」ものだ。だから僕は彼をメチャメチャ尊敬する。
いま、これを読んでくれているあなたが今の仕事、境遇に納得して生きていられるなら幸いだ。だが恐らく、世の中の大半の人は望まざるゴールに行き着いていると思う。振り返ればたしかに分岐のチャンスがあったのにも関わらず。
意見を忖度してたらしたくない選択をさせられてしまった。人目を気にしてたら嘘っぽい自分を演じ続ける羽目になってしまった。人付き合いの訓練が足りないばかりに誰かを裏切ってしまった。こんな失敗談はそこらじゅうに溢れてる話だ。
いつも歳をとった自分を重ねて思う。あの時レミーのように前に進めていたらと。
この映画の体裁はキッズ/ファミリー向けだ。正直髪の毛をコントローラーにして男を操縦するというアイデアは荒唐無稽だし(ピクサーというよりピクサーのパチモン映画にありそうだ)ご都合シーンが絶無なわけではない。それでもこの映画のメッセージは錆びつかないし、歳を取ればとるほどに刺さる。それは僕が掴めなかった、夢を的確に掴む、そこにスポットを真っ直ぐに当てたお話だから。
さすがブラッド・バード!
「ネズミが料理をするのが気持ち悪い」「不衛生!」というレビューをいくつか見かけて驚いた。
まぁ、大量のネズミが動く画面に生理的な嫌悪感を抱く気持ちは分からなくはないけど、ネズミをリアルに描くことがブラッド・バード監督の狙いでもあるしね。ネズミと厨房で料理するという一番かけ離れた設定で物語を進めるには、ネズミにリアリティーがないとダメだから。
「誰もが夢を叶えられるわけじゃないけど、誰もがどんな夢を持ってもいい」っていうメッセージはシンプルゆえに力強いし、本作の設定はそのまま差別や偏見のメタファーになってて、だから数々の困難を乗り越え、評論家に自分を認めさせるシーンにはカタルシスがあるんだよね。
もっと言うと、レミーにはブラッド・バード本人の経験や心情も乗っかってて、評論家の最後の記事は「こっちはこれだけの覚悟でやってるんだから、お前ら(評論家)も批判にはそれなりの覚悟を持てよ」っていうメッセージを突きつけてるように感じたりw
そういう意味では、ジョン・ファブローの「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」のテイストにかなり近いのかも。
リアリストにはきつい描写もあるが
途中まではつまんなかったけど、ラストの評論はよかったと思う。ネタバレするのにも予想外で驚いた。
でもでも、やっぱりネズミはNGだ。気持ち悪い。。。
mouseならかわいくもあるが、ratは受け付けられず。ごめんなさい。
ネズミ好きにはたまらない
アナで盛り上がってるいまですが、私はやっぱりレミーのほうがすき。
多分お話の構成とか絵とか色々含めたらアナのほうがいいんだと思うけど、
もうレミーが…レミーがかわいすぎてですねみなさん!!!!
あの瓶の中で うんうん っていう仕種、 ちがうよ って首をふる仕草にもだえしにます。
ネズミが苦手な人は絶対だめだと思うw
あの大量に屋根から落ちてくるシーンとか^q^
けど私は好きだなー。
残念な所があるとすれば、お料理がそんなにおいしそうに見えないところかな。
やっぱりそうおもうとジブリってすげーって再確認しちゃう。
あと私はネズミ好きすぎてあまりおもわなかったけど
ネズミが作った料理ってほら…雑菌とか…大丈夫なの!?って思う
気持ちをぬぐい切っちゃうくらいの勢いが欲しかったなあ。
でも映画のメッセージ性みたいなのはほんとすき。
誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が偉大な芸術家になってもおかしくはない。
いい言葉だよー。
イーゴは名言だらけ。
なんて夢のある話だろう!!
ピクサーの作る映画には、毎回感動させられます。
今回のこの映画は、料理とネズミという意外というか相反するものを一つにし、ネズミが料理を作るというストーリーを構想したことに拍手を送りたいと思います。
私が最も、良かったと思うところは、人間を中心に描くのではなく、あくまでも人間はわき役で、レミーが料理を作るということにこだわったところだと思います。そこに、こだわることによって、ネズミが料理しているということを、ある場面においては、バラさないといけなくなってしまうのですが、そこをあえて料理の批評家に見せることにより、拒絶するのではなく、ネズミをシェフとして、認めさせるということをやってのけたところにあると思います。
ただ一つ、お店のオーナーとなったリングイニが試練を何も乗り越えてなく、棚から牡丹餅で成功している点があまり観ている方としては、不満な部分だと思います。何もせずにグストーの息子だからってことで、お店を持ち、レミーに助けてもらい、コレットという女性と恋仲になり、終いには、レミーとそのネズミたちに料理を作ってもらい、自分はウェイターになるというあっけにとられる展開。決して、ウェイターというものが、シェフより劣るとは言ってませんが、あんなに料理というものに、間接的にではあるけれども携わっていたのにもかかわらず、どう作ったかを全く覚えてないというところが、この人本当に何も考えてないんだなぁとガッカリしてしまいました。
唯一、リングイニを褒めてあげられるのが、先ほども言ったが、自分が作ったのではなく、レミーが全部作ったんだと正直に言ったところだけど、そこも自分も料理をレミーから(自主的に)教わり、自分で作れるようになるという成長の過程を経て、批評家を認めさせたうえで、実は・・・という展開にして欲しかったです。
それはそうとして、最後のハッピーエンドで終わりよければ全て良し!と思えてしまいました。そのくらい、全体的にストーリーが良かったと思いました。
とりあえずラタトゥーユ食べたい!!(笑)
物語も登場者も物足りない
総合50点 ( ストーリー:40点|キャスト:55点|演出:70点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
子供向けな内容で、自分には退屈でした。そもそもミッキーマウスを可愛いと思ったこともない私が、さっきまで下水道をはっていた鼠がわんさかと台所を占領して料理を作っているのを観るのは、いくらこれが夢物語で衛生に注意した場面が挿入されているといえども素直には受け入れがたいです。鼠が食料庫で食べ散らかした残り物の食材で料理されるのも嫌だし、レミーに基本的に頼りきりで豪勢な暮らしを楽しむ何もしない他の鼠にも不満。簡単に空想の世界に入り込める年代を過ぎた大人にはきつい内容でした。
それに実力もなくたいした努力もしていない雑用係のリングイニが、父親とレミーの存在という運だけで未来を手にするのも好きになれず。男社会の中で実力で地位をつかんだコレットが唯一の救い。作品の質自体は悪くないんだけれど、他人任せで幸せになって簡単にめでたしめでたしで終わってもねえ。
レミーはエライ!
レミーがあまりにも可愛くて意地らしくて、全力で応援しちゃったよ!
ゆぅ〜てもネズミだぞ、厨房にいたらアカンやろってツッコミも忘れる勢い。
それに比べて、見習いコックのリングイネのダメっぷりが若干イラつくのねぇ
最初から最後まで1ミリも成長せんし努力もせんやないか!
そんなダメ男をもレミーの為についでに応援する自分。乗せられてるなぁと思いつつも悪い気はしない。
だけど、そんなこんなも吹き飛ばすのが、BDの特典映像でピクサーの皆さんが語るメイキング話。
物を創造する仕事って素晴らしい\^o^/
食べ物ってのはね、目を閉じて
映画「レミーのおいしいレストラン」(ブラッド・バード監督)から。
確かに、料理が苦手な見習いシェフのリングイニと、
料理が得意なネズミ、レミーの友情と成長を描く作品だが、
私は、彼らの関係よりも、食に関する言葉のメモが多かった。
誰の台詞か忘れてしまったけれど「食べ物ってのはね」で始まり、
「目を閉じて、一口かじって、ゆっくり噛んで、味わいながら」
と続くフレーズになるほどなぁ、と思わずにいられなかった。
この作品鑑賞後、私はこの台詞を実行してみた。
驚くことにいつもの「食べ物」が違った味に感じられた。
視覚から入る情報が多すぎて、事前の知識や経験から、
その味を想像してしまう癖がついていたことに気付いた。
「僕の知る限り、食べ物は健康な体に必要なもの」
「1個ずつだと、独自の味。
でも、一緒に食べるとまったく新しい味になる」
「いいパンの見分け方は、香りでも見た目でもなく、皮の音、聞いて」
「最も新鮮なものは、自家製か生産者を買収する」
「誰でもが、偉大なシェフにはなれない。
だが、どこからでも偉大なシェフは誕生する」・・・
さすがディズニー映画だなぁ、脚本がしっかりしている。
ピクサーの中で一番好きな作品
笑えて、泣けて、感動して。
フランスの町並みも厨房も、アニメと
分かっていてもリアルな映像美。
最後辛口評論家が口にした瞬間のシーンは
鳥肌もの!
レミーの動きがまたプロ並みの料理家っぽくて
調理シーンも見所のひとつです。
スタンディングオベーションをしたくなっちゃった
感動で体中の力が抜けてしまい、
席から立つことができなくなってしまいました。
でも、スタンディングオベーションしたくなったんですけどね(苦笑)
「野ねずみがシェフになりレストランを開く」
文字だけ見れば荒唐無稽な、お話なんです。
でも、途中から、そんなことはどうでも良くなってしまう。
「やってみなければ始まらない」
「不可能を可能にする」
「大切なのは勇気」
「誰もが名シェフ」
ポジティブで力の湧く数々の言葉が並ぶ。
美味しい料理を作ろうと協力しあうねずみたち、
そして、わかりあい手伝う人間たち。
もちろん、ラストはハッピーエンド。
かつては名を馳せていたレストランを酷評し
貶めた料理評論家をもうならせ、常連にしてしまう。
この評論家が残すコメントがおつ。
「一番大変なのは作り手。評論家は
それを評価するだけの楽な仕事だ。
作り手に敬意を払うべきである」
(こんなニュアンスだったはず)
まるでディズニーから、
映画評論家へ送られたメッセージのよう(苦笑)。
大人でも、子供でも、楽しめる映画です。
ねずみの可愛さは子供向けかもしれませんが、
メッセージ性から、もしかしたら大人向けかもしれませんね。
レミーのおいしいレストラン
パリの町並み 建物の描写がとても良い
アニメーションならではのスピード感溢れるカット割も小気味が良い
料理の才能があるネズミとコックの物語だけど…これほど奥が深いストーリーに仕上げるとは さすがディズニー
観客に楽しんでもらおうという心意気…
…を、ピクサーがしっかりと持っていることが改めて分かる一品。ピクサー首脳のアイドルである日本の某アニメ巨匠が、「楽しんでもらおう」から「考えさせよう」にシフトしているこの現状、頼もしく信頼できるスタジオだ。
物語中、レミーとリングイニの信頼関係は何度か危機を迎える。凡庸な物語だったら、そんな場面で主人公は周囲の声に流されてより悪い方に流れていくところだが、この物語では「信頼」がこちらの想像を超えて強く、安易に墜ちてはいかない。人を信じ、夢を信じ、己を信じる。そんな心の強さが感動的だ。
惜しむらくは、クライマックスの危機をレミー、リングイニ、コレットの当事者3人で乗り切れぬこと。カラフルな他の人間が役に立たず、まさかアレが料理するとは…どんだけ消毒してもアレは引く。難敵である評論家の吐く台詞も映画評論家を意識してるのでは…というのは考えすぎ?
キャラ造形は素晴らしい。特に気に入ったのがスキナー(米国名風?)。救いのないチビ小悪党だが、顔も体型も素晴らしい造形でなんだか憎めない。彼とレミーによるチビスケ同士のチェイスはスピード感、爽快感ともに最高級のアクション・シークエンスでした。
Le Festin!
劇中に出てくる歌の題名がLe Festinなんですが
その饗宴の裏側のキッチンでのねずみ模様を描いた今作。
レミーが、オチこぼれシェフリングイニ
と協力して二人の願いをかなえていくっていう
ストーリーなのですが、どちらかといえば大人向けですね。
クレジットの最後のほうに
NOT MOTIONCAPTUREっていう
ロゴを出すくらい、アニメーションに自信を持ってのぞんだようですが、
素晴らしかった!!
人間の動きを誇張して笑わせるっていうのをやってるのですが
レミーがコントロールしているっていう設定も手伝って
主人公のリングイニの動きがすばらしく面白い!
レミー含めネズミの大移動とかのホンモノのネズミっぽさと
パリの風景のリアルさもすごく感動。。
このアニメ感と実写感の対比がとっても良かった。
それにレミー目線で見たときの
人間とかもあって、面白い要素がいっぱい詰まっていました。
全編CGなので、やっぱり音は大事だなぁと思っていたのですが
サントラが欲しくなるくらい曲が素敵だった。
フランスというよりもっとイタリア(シネマパラディーゾ感?)っぽいような気もするんだけども・・・。
ネズミの足音とか
SEもとてもよかったと思います。
リングイニの同僚が結構面白そうだったのに
あまりつっこんで書いてないのが残念。
レミーの話だからしょうがないんだけど、
それならレミーのネズミとしての役割と
自分との葛藤とかをもーーっと出すか
レミーの兄弟の要素をもうちょっと減らして
もっとリングイニとコレットのロマンスを増やすか
してくれたらなぁーなんて。
コレットの生き方なんかは最近の日本のドラマに
共通する部分があるんじゃないかな?
ピクサーのアニメーション技術の高さを
存分に味わえる作品でした。
本編前のLiftedっていう短編をみて気づいたのですが
実は劇場でピクサー作品をみたのはこれが初めてでした(笑)
ブラッド・バードにハズレなし。
シェフを夢見るネズミのレミーと、料理のできないレストラン雑用係のリングイニ、“ネズミだ”というだけで厨房に入れないレミーを帽子の中に隠して、リングイニがレミーの代わりに料理を作る・・・設立以来一本も凡作・駄作を作っていない驚異のスタジオ、ピクサーの新作映画。
今作の監督ブラッド・バードは、作品の中に強い作家性を出してくる人で、今回もご多分に漏れず。
人間、動物の生き死にから目を背けず、人間性というものの中に汚い部分が大いにあることを認めながら、それでも「人間って捨てたもんじゃないよ」と教えてくれる監督のその眼差し。僕達はその眼差しに、凡百のハッピーエンドものにありがちな、偽善的な人間性への賛辞とはかけ離れた本当の温かみを感じるのだ。
『レミーのおいしいレストラン』には、ブラッド・バード監督の第一作『アイアン・ジャイアント』の頃からの、監督の一貫した人間観がある。
それは即ち、『アイアン・ジャイアント』劇中での最も印象に残る台詞、"You are who you choose to be,"つまり「“きみがどんな人間であるか”は、きみ自身が選ぶんだ」という信念。“ネズミ”として生まれたら、いかに肥えた舌と料理への情熱を持っていたとしても残飯をあさりドブを這いずり回る“ネズミという存在”でい続けなければいけないのか?否。「お前はこうだ」という人の評価に従って生きるのか、「こうありたい」本当の自分として生きるかどうかは、他でもない「自分」が「選ぶ」のだ。
そして主人公のネズミ、レミーは「選ん」だ。
終盤、囚われの身から父や兄や仲間のネズミに助けられたあと、ネズミを忌み嫌う人間たちが大勢いる、危険だとわかっている厨房へ戻ろうとするレミーを「なぜ戻る?」と止めようとする父にレミーが答える。
「 な ぜ っ て 、 僕 は 料 理 人 だ か ら だ ! 」
アクションやSFを主軸としない、ヒューマン・ドラマを謳った映画でさえ、その実単なる映画利益追求型の、ハートのない映画(“ハート”のない“ヒューマン”ドラマというのも、そもそもおかしな話だ)であることが多い中、ピクサーの映画には常にハートがある。それはキャラクターのハートであり、作り手のハートでもある。
心のこもった映画を観ることは、この上ない幸福だ。
ちょうど、心のこもった料理でもてなされているのと同じように。
幸せで涙がこぼれました。
レミー、ごちそうさま。
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