監督・ばんざい!のレビュー・感想・評価
全7件を表示
自虐的ネタ不足作品。
思いっきり映画を楽しむとか、監督のメッセージを理解しようとか、そうった普通の映画を楽しむ世界とは異次元に存在するかのような作品でした。同時上映の短編『素晴らしき休日』がネタとしては古くても、北野監督自身の『Kids Return』の劇中台詞を上手く利用したところが面白かった。ここで掴みはOKという気分になるものの、本編がどうしようもない。「ギャング映画はもう撮らない」と宣言したために、新たなるジャンルを模索しつつ、彼のスタイルに合わないことわかるということの繰り返し。小津風作品、恋愛映画、ホラー映画、SF映画等々・・・結局は暴力描写から抜け出せないジレンマまで感じてしまいます。
あれこれ試行錯誤するうちにネタを思いついて、岸本加世子と鈴木杏の親子が玉の輿に乗ろうとするストーリーへと展開する。ラーメン屋で丼の中にゴキブリを入れたり、当り屋にチャレンジする母娘の小ネタまでは良かったけど、江守徹や東大泉道場の部分から徐々に面白くなくなってくる。どうしようもなくなってくると、得意のコントを取り入れて、なんとか集中力を保たたせようともしていました。こうやって、つまらなさをとことんまでアピールして、監督業や映画作りがいかに大変なのかを訴えているようにも思えます。
そして、映画の作り、特にフィルムの編集・カットバック、それにどうでもいいようなCGを利用したりして、これからの映画人にヒントを与えているような優しさも感じられる。それでも数度登場するマトリックス風特撮はしつこく感じられるし、このパロディは本意ではないのでしょう。「こんなの簡単にできるような時代になったんだから、お前たち上手く作れよ」とでも言いたいのか、映画の後継者が欲しくなったのか、とにかく、一貫性があまり感じられない作品でもありました。
今まで北野作品が好きにはなれない理由もわかった気がします。ギャング映画に代表されるように、各キャラクターの性格設定が典型的、画一的、個性がない(笑いのための個性はある)・・・監督の日常生活は知りませんが、周りには自分の笑いを認めてほしい人たちばかりが集まってくるのでしょう。それが色んなジャンルにチャレンジできない原因なのか、プロットや映像にこだわりすぎるの原因なのかはわかりません。でも、この映画のように自虐的に壊れてくれると、監督にはもっと頑張ってもらいたくなる・・・
前半のオムニバス形式ならば◎だったのに…
これはあえてフィルムで撮る必要があったのかな…。
前半のオムニバスは
“もし武が小津のパクりを撮ったら…”とか
伊武雅刀のナレーションと相まって
面白い効果を出してました。
嫌いじゃないです。
ただ、後半は更に壊しにかかり
ただただ、ひょうきん族のノリで
映像が流れているだけ…。
前半の流れが最後まで続いたならば、
及第点はとれたのでは…。
しかし、配給が松竹から東京テアトルに代わったのは
前作で松竹が頭を抱え、
ビビったためとしか思えない。
天才、鬼才、しかし世に受け入れられないジレンマが
この作品に限り何をどう表現したいのかよくわかりません。本当は映画監督なんかやりたくないのかも。過去の作品へのオマージュも感じないし、新路線を切り開く勇気もないと適当に作った作品におもえます。すべて中途半端なオムニバス。私には少しひねくれたクラスの優等生の作文を聞いている気分でした。
全7件を表示