「豊富な製作予算で物語が饒舌になりすぎたため、ストーリー性が損なわれた作品」パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5豊富な製作予算で物語が饒舌になりすぎたため、ストーリー性が損なわれた作品

2008年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ラストバージョンということで、欲張っていろんな人を活躍させてしまい、主役のジャックがかすんでしまいそうです。↑日本語版で鑑賞しましたが、それでも途中ストーリーがよくわからなくシーンがありました。
 恒例のエンドロールの後のおまけシーンを観ていると、誰が主役だっけと首をかしげたくなりますね。

 『ワールド・エンド』のつっこみどころしては、、まずシリーズを通じて重要テーマであった、ウィルの父親との物語がエリザベスとのラブロマンスの強調によってすっかり霞んでしまったことです。
なぜ仲間を裏切ってまで、ウィルは父親を助けようとしたのか。父親が語った、自分とエリザベスと二種択一となる宿命もハッキリしないまま、大団円を迎えてしまいました。ホントは、ウィルと父親間でもっと深い人間描写ができたはずです。例えばスターウォーズと比べれば歴然としますよね。

 海賊の女神カリプソについての結末もいただけませんでした。物語のメーンストリートに起きながら、実際に活躍したのはほぼワンシーンだけ。なくてもいいくらいの存在になっています。それだったら余計な伏線など張らないで、ジャックの活劇一本に絞り込んで描くべきでした。
 カリプソなんて、「そうカニ~」なんちゃって(^^ゞ(なぜ、意味なくカニに変身ししまうのだろう?)

 東インド会社艦隊の旗艦(かなりの重装備)はなぜあっさり○○されたのでしょう?(ネタバレですいません)
 おかげで、海賊艦隊との海戦シーンが○○となり残念でした。
 海戦シーンはラストのどん詰まりの所なので、時間切れで○○されたのでしょうか?

 この作品の原案は、ディズニーランドの乗り物「カリブの海賊」がモチーフになっているそうなのです。「カリブの海賊」は長時間並ぶ割には、イマイチのアトラクションですね。『パイレーツ・オブ・カリビアン』も「カリブの海賊」ににてふれこみはすごいのだけれど、映画の中身はイマイチなんですね。それでも大金をつぎ込んだパノラマ映像としてみる分なら、遊園地のアトラクションとして大迫力の画面を楽しむことはできるでしょう。
 3時間という長大な時間と豊富な製作予算で物語が饒舌になりすぎたため、ストーリー性が損なわれた作品であると思います。

流山の小地蔵