ダーティハリーのレビュー・感想・評価
全56件中、41~56件目を表示
渋い大人のハードボイルド
現代ポリスアクションの原点
イーストウッドのイメージを決定付けた傑作。本作がなければ後の大スターにして巨匠イーストウッドはなかった。
西部劇スターだったイーストウッドがサンフランシスコ市警の殺人課刑事ハリー・キャラハンに扮する。大柄でタフなこの刑事は法律スレスレの荒っぽい捜査と反権力的な態度でダーティハリーとあだ名されている。愛用の銃は強力な44マグナム。後に雨後のタケノコようにハリーの兄弟が産まれてくる理由が分かる強烈なキャラクターだ。
ストーリーはサンフランシスコに現れた連続殺人犯をハリーが追い詰めていくというシンプルなもの。連続殺人犯は当時全米を震撼させた実在のゾディアックキラーをモデルにしている。映画ではこの犯人はスコルピオと名乗っている。スコルピオは明らかにベトナム戦争の帰還兵で現在ならPTSDの典型的症例とされるだろうが、当時はPTSDは一般的に知られておらず、ただただ不気味な狂気の存在に見えたはずだ。演じるアンディ・ロビンソンが恐ろしい存在感をみせる。
ハリーは警官としての使命感以上の私的な怒りでスコルピオを追っている。ふたりの追撃戦は首輪を喰いちぎった猟犬と狂犬の戦いになる。
監督ドン・シーゲルとイーストウッドは名コンビで本作が4作目。全5作でコンビを組み、本作の前のイーストウッド初監督作「恐怖のメロディー」ではシーゲルがバーテンダー役で出演している。余談だが本作のタイトルロールでハリーの後ろを歩くピケ帽にサングラス、口ヒゲの男がシーゲルではないかと思う。
シーゲルは50年代のB級フィルムノワールでならした名監督。ムダのない簡潔な演出が本作でも冴え、イーストウッドが師と仰ぐのも肯ける。
本作は今のアクション映画にあるようなしつこさがない。アクションは必要最低限だ。しかしシーゲルの演出が強烈な印象を残す。名シーンはハリーが夜のフットボール場でスコルピオを追いつめるところ。粗い粒子の画面とヘリコプターショット。この映画は全編が暗いカタルシスに覆われているがこのシーンが象徴的だ。
優れたアクション映画の本質が本作にはある。銃撃戦も映画的にリアルだ。弾丸が雨アラレのように降ったりしない。シーゲルの演出の冴えがここにある。
シリーズを通してハリーの名ゼリフが沢山あるのも見どころ聞きどころ。これは必ず冒頭とラストでリフレインされるのが決まりになっている。
ラストのやるせなさもイーストウッドらしい。
●アンチ・ヒーロー誕生。
心理より暴力
超久しぶりの鑑賞。ストーリーは単純明快。なのに超絶面白い。それはひ...
殺人鬼のスコーピオン ずる賢いもやし野郎。 逃げながらファイトバッ...
殺人鬼のスコーピオン
ずる賢いもやし野郎。
逃げながらファイトバックするような奴。
こういう奴いるよね。
ごめんごめんって謝りながら隙を突いて殴ってくるような奴。
人を貶めるためなら金を払ってボコられる。追い詰められてもジタバタし、人権を主張する往生際の悪さなど、そのゲスさが良かった。
表情も最高だった。見開いた青い目と、ちょっとシャクれた顎と、舌の長い感じ。
時計仕掛けのオレンジの彼に似てる。
ハリーに関しては、オープニングで、飯を咀嚼しながら銃撃する所で笑った。
悪党を殺すのには全く躊躇しないハリーだが、実は結構マヌケで、捜査中に覗きと間違えられたりする。ボコられて、新人に助けてもらうという…笑
イーストウッドって、あまり身体能力高くなくて、動きは割と鈍臭いんだよな…
そこんとこ、結構愛らしくみてる。
金の受け渡しでスコーピオンに翻弄され、公衆電話から公衆電話へと走らされるシーンは、日本映画の大誘拐の元ネタじゃないのかなぁと思う。ダイハードでも似たようなシーンがあった。
ダーティハリーが出た後は似たような映画が多く作られたという。ジョンマクレーンやランボーなど、あらゆる映画がダーティハリーに影響を受けたんだなぁと思う。
抑えて抑えて実行する
久しぶりに観ましたよー。小学生の頃にTVで観た以来で、すでに記憶もないぐらい。クリント・イーストウッドの監督作を見てきた今になって、もう一度、この名作を見てみたくなりました。
キャラハン刑事の抑え気味のスタイルとか好きでしたし、演出も、『恐怖のメロディー』以降の自身の監督作に引き継がれているような感じがして面白かった。スコルピオの目だけを見せてるところとかね。
一番好きだったのは、スタジアムのシーンでしたね! スコルピオの言うセリフがホンとにムカついてくるんですよ。それで目をひん剥いてグッと傷んだ脚を踏みつけるキャラハン刑事! そして、カメラはそこからグッと引いていく! こことか好きだったなぁ。
もう何歳になったのか分からないですけど、イーストウッド監督にはまだまだ頑張ってもらいたいですね。
カッコイイを超えてる!
ポリスアクション
ハリー・キャラハン
これが噂のダーティハリーか!
名キャラクター、ダーティ・ハリーの確立
総合:75点
ストーリー: 65
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 65
問題も起こすが凄腕の刑事。奇麗事ではどうにもならない犯罪者相手にも、遠慮することがなく強引な手法で追い詰めていく。だから彼の相棒には常に危険がつきまとう。そして右手にはマグナム44という、人を撃つには重くて反動が大きくて扱いにくい銃をわざわざ持って「この銃は世界で一番強力な拳銃だ。一発でお前の頭など吹っ飛ぶぞ」と犯人に向かって丁寧にご自慢の愛銃の説明をしてやる。この普通じゃない銃が彼の象徴となり、彼が普通じゃない刑事というのを簡単に理解させてくれる。
こうしてハリー・キャラハン刑事という、映画至上に残る名キャラクターの確立に成功した。題名が「ダーティ・ハリー」なのだから、健全な正義漢などである必要がない。このくらい癖のあるほうが印象はかえって強いものだ。だからハード・ボイルド劇として迫力が出る。
物語は凶悪犯が証拠不十分というだけであっさりと釈放になったり、それを警察が野放しにしてみたりと釈然としないものもある。でもハード・ボイルドだからいいのだ。それがキャラハンが活躍する場面を後で見られる伏線なのは、みんな最初からわかっているのだから。
全56件中、41~56件目を表示












