ダーティハリーのレビュー・感想・評価
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名キャラクター、ダーティ・ハリーの確立
総合:75点
ストーリー: 65
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 65
問題も起こすが凄腕の刑事。奇麗事ではどうにもならない犯罪者相手にも、遠慮することがなく強引な手法で追い詰めていく。だから彼の相棒には常に危険がつきまとう。そして右手にはマグナム44という、人を撃つには重くて反動が大きくて扱いにくい銃をわざわざ持って「この銃は世界で一番強力な拳銃だ。一発でお前の頭など吹っ飛ぶぞ」と犯人に向かって丁寧にご自慢の愛銃の説明をしてやる。この普通じゃない銃が彼の象徴となり、彼が普通じゃない刑事というのを簡単に理解させてくれる。
こうしてハリー・キャラハン刑事という、映画至上に残る名キャラクターの確立に成功した。題名が「ダーティ・ハリー」なのだから、健全な正義漢などである必要がない。このくらい癖のあるほうが印象はかえって強いものだ。だからハード・ボイルド劇として迫力が出る。
物語は凶悪犯が証拠不十分というだけであっさりと釈放になったり、それを警察が野放しにしてみたりと釈然としないものもある。でもハード・ボイルドだからいいのだ。それがキャラハンが活躍する場面を後で見られる伏線なのは、みんな最初からわかっているのだから。
44マグナムはハリーの怒り
クリント・イーストウッドのスターの地位を確固たるものにした傑作刑事アクション。
犯人逮捕の為なら法スレスレの暴力捜査もいとわないハリー。
正義感溢れる刑事が定番だった当時において、ハリーのキャラクターはどれほど衝撃的だったろう。
当初ハリーには、フランク・シナトラやジョン・ウェインやスティーヴ・マックィーンやポール・ニューマンと言った名だたる大スターがキャスティングされたが、暴力刑事のイメージを嫌い、次々と辞退。
そしてイーストウッドに廻って来た訳だが、結果的にこれは良かったと言える。
ハリウッドで鳴かず飛ばずだったイーストウッドはイタリア製西部劇=マカロニ・ウエスタンに多く出演。
このマカロニ・ウエスタンは賞金稼ぎやアウトローなどダーティな主人公が多く、正義感溢れる保安官が主人公のハリウッド西部劇とは一味違う。
そんなアンチ・ヒーローを演じてきたイーストウッドだからこそ、ダーティなハリーのキャラクターにピタッとハマった。
逃げる犯人“さそり”をじわじわと追い詰めるハリー。
さそりは人質を盾にし、人質に銃を突き付ける。刑事映画お決まりのシーン。
普通の刑事なら銃を下ろすが、ハリーは一瞬の隙を突いて銃を放つ。
さそりはまだ抵抗する。
「考えてるな。弾が残ってるかどうか。実は俺にも分からないんだ。だが、これは特製の大型拳銃だ。脳みそが吹っ飛ぶ。よく考えろ。弾があるか。どうだ、クズ野郎」
最後の一発が火を吹き、犯人を射殺。
ハリーは警察バッジを投げ捨てる。
全く新しい刑事像が誕生した瞬間。
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