劇場公開日 1972年2月11日

「社会的な目線も盛り込んだ、暴走型刑事映画の金字塔だ。」ダーティハリー 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0社会的な目線も盛り込んだ、暴走型刑事映画の金字塔だ。

2024年11月29日
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これはクリント・イーストウッドの存在感に尽きるが、犯人役の俳優さん(ネタバレになるから名前は伏せますね)も凄い怪演で、屈指のヒーローと悪役だね。

クリント・イーストウッドは、特筆すべきカリスマで演じ切っており、彼の人気とイメージを確実なものにした金字塔だ。また、犯人役の造形も、後の犯罪映画に大きく影響を与えていると思う。

本作は、実際のゾディアック事件を参考にしている。愉快犯的無差別殺人、警察やマスコミを愚弄する劇場型犯罪、ミランダ警告が無いため無罪放免となるなど、現代にも通じる社会的な目線も、上手く盛り込んでいる。

同年に公開された「フレンチ・コネクション」と本作は、理解の無い上層部と衝突ばかりで、有能なのに、言葉少なくシニカルで、粗野で不器用な生き方しか出来ない、クレイジー型あるいは暴走型の刑事映画を定着させた、双璧をなす傑作だ。

瀬戸口仁