「語るべき場所を間違えてないか?!」ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 showさんの映画レビュー(感想・評価)
語るべき場所を間違えてないか?!
今回は、魔法省より汚名を着せられたハリーポッターが、汚名を返上し友達との絆を取り戻すことで、孤独から脱する話。…のハズです。
ヴォルデモートの復活を隠したい魔法省により、
ハリーの通う学校の教育が制御され、授業にも教科書にも検閲がかかる。
魔法省から送り出された教員(以後、おばちゃん)は、生徒の魔法の使用や集会を禁止し、
異議を唱える生徒は、肉体的に苦痛を伴う体罰を受ける。
一方的な価値観を植え付け、一般人の思考を制御しようとする魔法省の背策は、
学校のみにとどまらず、新聞などのメディアをも巻き込んでいく。
それは、明らかに戦時中の国策を再現しており、
子供向けファンタジー映画で、よくぞこういった内容を描いた!っと感心してしまいました。
あと、ディメンター(吸魂鬼)の造形がかっこよかったのと、
新キャラの女の子やおばちゃんなどのキャスティングセンスは、褒めポイントです。
さて、ここからが改善点。
まず、おばちゃんの規制・体罰シーンが長すぎる!作品に必要な長さならいいんですが、明らかに冗長。
20分で描けるシークエンスに1時間以上かけてる印象で、
興味をそそられないシーンの数々がだらだらと続くので、
「これって体罰映画?」と本筋を見失ってしまいます。
その割に、今回の一番メインに描くべき、「ハリーが信用を取り戻すシーン」は、なぜかちゃんと描かず、いつの間にか信頼回復し、みんなの人気者に戻ってしまう。
しかも、学校内に「ダンブルドア軍団」という秘密結社を作り魔法の練習に励むんですが、
ハリーが先生役を担当し、得意げに生徒たちに教え込んでいる!
「もっと集中して!」とか、「よし、よくできた!」とか…。
ハリーって、そうゆう性格の人でしたっけ??全然、孤独そうじゃないし…。
この時点では、まだ孤独感を演出しておいた方が、後々つながりやすいんじゃないかなー。
また、生徒がおばちゃんの授業をボイコットする、本作一番の拍手物のスッキリポイントがあるんですが、
ここは生徒みんなで計画を企てようよ!
双子二人だけにやらせる意味はないし、
映画の筋を考えたら、ダンブルドア軍団全員で「さるかに合戦」的にやらせたほうが、映画としても10倍面白くなるはず。
あと、ラスト前でのヴォルデモートが欲しがっている、予言球?の下り。
散らかってるから整理したほうがいい。
あの球は、壊したらマズイものなの?壊しても大丈夫なの?
全部壊れちゃったけど、生きてく上でなんの影響もないの?
壊しても影響がないものなら、大事に持ってないでさっさと壊しちゃおうよ!
その球のせいで、みんな大変な目に遭ってるんだし、
結局壊しちゃうんじゃん!
てゆーか、その球はなんの意味があったの??
あと、クライマックスの見せ場の一つ、ハリーの悪しき部分が出る下り。
完全にスターウォーズを意識してますよね?!
ハリーはアナキンだったのか!!
…てことは、ヴォルデモートはダーク・シディアス?!
シリウス・ブラックは、オビワンかっ!
いや、ハリーがルークで、ヴォルデモートがダースベーダー?!ってことは、二人は親子?!!
と、勝手にスターウォーズパズルをしてしまいました^_^;
そして、今回、一番言いたいのは、サブタイトル。
「不死鳥の騎士団」って、なんか活躍した?
オープニングとクライマックスにちょいと登場するだけ(しかも、クライマックスでの登場が遅すぎる!もっと早く助けに来い!)で、
特に物語の根幹を担ってない。
だったら、「ダンブルドア軍団」の方が、(かっこ悪いけど)物語にもテーマにも合っていると思います。
兎にも角にも、第1作目や第4作目よりは高評価ですし、
可愛さ余って憎さ100倍といった印象。