ザ・シューター 極大射程 : インタビュー
「ディパーテッド」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマーク・ウォールバーグの最新作が早くもやってきた。「トレーニング・デイ」のアントワン・フークワ監督が、スティーブン・ハンター原作のベストセラーを映画化した「ザ・シューター/極大射程」で、合衆国政府の陰謀に巻き込まれ、生き抜くために孤軍奮闘して戦うことになる凄腕の狙撃手ボブ・リー・スワガーをクールに演じたウォールバーグに話を聞いた。(佐藤睦雄)
マーク・ウォールバーグ インタビュー
「ブートキャンプで身体をシェイプアップさせたんだ」
――「ディパーテッド」のマーティン・スコセッシと今回のアントワン・フークワ監督。演出上で最も違う点は何ですか?
「たぶんNGのレベルだね。マーティ(スコセッシ)の撮影はリラックスしてるんだが刺激的で、求めるNGレベルがとても高い。セットで彼とよく話し合ったが、“ドリーショットみたいに動いて、首を右へパンね”みたいに、映画的に全部話すんだよね。それに褒め上手なんだ。撮影も、情熱的な彼のしゃべり方と同じさ。スタッフは撮影が長くなっても、なかなか撮影をやめたくないという風なんだ(笑)。アントワンの場合はもっとキッチリとしているので、スムーズに撮影は進んだ。その現場では過去にマーティと一緒の仕事をしたアントワン(『ギャング・オブ・ニューヨーク』のリライトで参加)と彼の話で盛り上がったよ。いずれにしても2人とも、映画を深く愛しているのは同じだね」
――左利きであるあなたが、たいていは右利き用の軍用仕様の銃器を使ったことは大変じゃありませんでした?
「たしかに基本的には、すべての銃器は右利き用なので、引き金を引く時かな、ちょっと違和感があった。ただ、それよりも大変だったのは銃器がめちゃくちゃ重かったことだね。(銃を構える時に)バランスを取るのがとても難しかった。スナイパーとしての訓練がとても役立ったんだろうね」
――今、日本では“ブートキャンプ”エクササイズが流行っているんですが、あれをやったんですか?
「流行っているのかい? 実際はもっとハードさ。撮影前にちょっと体重がオーバー気味だったので、(軍隊が行う)ブートキャンプに参加して身体をシェイプさせた。訓練はもちろんだが、兵士たちとの会話が演技に入る前の精神面の準備にはとても有益だった。スナイパーとしての訓練で、射撃の腕前はかなり上達して、800メートル先の的を撃てるようになった。訓練して気づいたんだが、スナイパーは使う筋肉が違うんだね。引き金に手をかけた瞬間、全身に緊張が張り詰める。いい訓練になったよ」
――日本には劇画のキャラクターで、ゴルゴ13という凄腕スナイパーがいるんですが、その漫画を読んだことはありますか?
「ない。今度読んでみたいな。そいつはボブ・スワガーみたいなスナイパーなんだろう? ぼくもかなりの腕前になったが(笑)、今は自動的に標的を定めた(人間ではない)マシンが2000メートル先だって狙える、恐ろしい時代になったもんだ」
――孤軍奮闘するあなたを助けるのがFBIのマイケル・ペーニャ。彼とは息もピッタリですね。
「マイクはとても頭が良くて、常に現場を和ませてくれた。彼とは意気投合したので、いい化学反応が起こせたと思う」
――ところで、「ディパーテッド」に続いて「The Fighter」(ダーレン・アロノフスキー監督予定)で、ちょっとお顔の似てるマット・デイモンと共演しますね。
「ああ、たぶんね。ボストンのヒーローになるボクサーの兄弟の話だ。公開は2年ぐらい先のことだけど」
――デイモンの“ジェイソン・ボーン”とあなたの“ボブ・スワガー”が戦ったら、どっちが勝つと思いますか?
「もちろんスワガーさ。遠くから彼を1発撃って勝負ありだよ。第一、もう勝負付けは済んでいる。『ディパーテッド』のラストでマットに1発お見舞いしているものね(笑)」