魂のジュリエッタのレビュー・感想・評価
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ジュリエッタはジュリエッタのままでいいんだよ 君は君のままでいいんだ
1965年公開
フェリーニ監督初のカラー作品
本作は一言でいうとカラーの実験だったと思います
様々な補色を対置した画面作りを意識して撮影しているのがわかります
カラーチャートを手元に置いて監督、カメラマン、衣装係、美術係とで相当検討したのではないでしょうか
それ故に様々な色彩を自由にあしらえる上流階級の暮らしに題材をとっているのだと思います
この時代、名のある監督は白黒からカラーへの転換期において、カラーで一体何ができるのか、自分の作風に合ったカラー撮影とは何か?
色彩に意味を持たせた演出手法とは?
などなど色々な実験をしています
漫然と単に白黒からカラーフィルムに入れ替えただけで撮影する監督も多くいる中で、巨匠といわれる監督達はこのような挑戦に取り組んでいたのです
フェリーニもそうだったと言うことです
そしてもう一つ
監督の妻で本作の主演女優であるジュリエッタ・マシーナへのメッセージです
名作「道」の時は33歳だった彼女も本作では44歳です
フェリーニ監督は彼女が23歳のときに結婚して添い遂げました
主人公なぜジュリエッタ・マシーナと同じジュリエッタという名前なのでしょうか?
ジュリエッタ以外、みんな浮き世離れした登場人物ばかり
まるで映画界、芸能界の人々を思わせます
ジュリエッタはその中で完全に浮いています
彼女だけが家庭的な主婦なのです
そして外見もそう
ちんちくりんの低身長、幼児体型
オバサンぽい髪型
少しも上流階級のマダムに見えません
しかし、演技力は半端ありません
あきらかにイタリアの映画界の上流階級での彼女を取り巻く生活の状況をそのまま表現しているのだと思います
終盤になって妄想の中の登場人物達みんな引き上げていきます
そしてジュリエッタが白い柵の扉を開いて、誰もいない広い庭にでて、とても開放された気分で映画は終わります
ジュリエッタはジュリエッタのままでいいんだよ
君は君のままでいいんだ
そんな夫フェリーニ監督の優しい声が聞こえて来るようなラストシーンでした
それが本作の結論でありメッセージだったと思います
本作とは結局、妻のジュリエッタ・マシーナへの144分の映画でのメッセージだったのだと思います
事実、ジュリエッタ・マシーナは本作以降、映画への出演から遠ざかっていくことになります
もちろん、ありのまま自分に正直に生きるべきだという観客へのメッセージでもあります
蛇足
円形ベッドに鏡天井が登場します
昭和のラブホテルはこれがモデルだったのでしょうか?
課題として
大学の課題として観賞。
フェリーニ初のカラー作品だが、色使いが面白くて特徴的だった。
辛いことを経験して、思い詰めた人の頭の中のまとまらない感じを表現したのだろうか…?最後まで観ても難しいけど、見応えはある。
結論思惑に惑わされず、自分が楽しい!幸せ!と思う道を行くのが一番だとしみじみ感じた。
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