ケイゾク 映画 Beautiful Dreamer : 映画評論・批評
2000年2月29日更新
2000年3月4日よりニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系にてロードショー
弐係最後の難事件。柴田と真山の選んだ決着とは?
ドラマスタート直後の「ケイゾク」は面白かった。警視庁のエリート集団もお手上げだった時効直前の難事件を、東大卒の新米刑事・柴田が「あのー、私、犯人分かっちゃったんですけど」と数式を解くがごとく、意図も簡単に解明してしまう痛快さ。その柴田と一癖ある先輩刑事・真山という凸凹コンビのボケとツッコミ。まぁ、事件のトリックは「金田一少年の事件簿」並の低レベルというか、「んな、アホな」とツッコミたくなる強引さだが、それをも許せてしまう魅力的な要素が多数あるドラマであった。ところが、柴田と真山をしつこく付け狙う朝倉というサイコキラーをフィーチャーし始めた頃から、ドラマは迷走をはじめる。それはスペシャル・ドラマで加速し、そして今回の映画化のストーリーといったらもう! ワケ分からん。
どうもこの「面白いと思う奴だけ見ればいいじゃん」と作り手側が観客を選ぶという作品作りは、堤監督と植田博樹プロデューサーが意図してやっていることらしい。「ドラマを見た奴だけ分かる」という伏線のオンパレード。それでいいのか。物語のアイデアもキャストもいいだけに、わざとオタク色の強い方向へ持っていくなんて、あーもったいない。
(中山治美)