「原題も秀逸」遠い空の向こうに toro koiさんの映画レビュー(感想・評価)
原題も秀逸
なんて言うんでしたっけ、文字を並べ替えて違う言葉作るやつ。原題は原作タイトル「rocket boys」を並べ替えた「Octoberd Sky」ですね。面白い。
話はただただ単純明解で、炭鉱の町で少年がロケットを作る話。炭鉱って聞くと古めかしいイメージがありますね。でも現代でも30パーセント近くのエネルギーは鉱業が支えていたりします。不思議。
主人公と町との関係、父との関係、友達との関係、全てがロケットの軌道のようにまっすぐとはいきません。特に話の軸となる父との関係とか、会話はとても心に残っています。
主人公は炭鉱で働くことが恥ずかしいとは思っていないと思います。現に校長室のサインの場面で校長の一言に睨みを利かせますよね。あれ、「んなこと思ったことないわい」っていう睨みだったと思うんですよ。でも、自分の人生ではないと心の底から思っています。ロケットを作ることに目が向いたのも彼が周りとは違う観点を持っていたからなのでしょう。
父がいい味出しますね、この映画。特に義父に引き取られた主人公の友人を助け出すシーンが印象的でした。彼は彼なりの人生を歩んできて、今立っている場所がなによりも替えがたいものだと思います。彼にとって炭鉱で働くことが家族を支えることであり、息子が次を担ってくれるかもしれないというのはとびきり嬉しいことですよね。息子のピンチに立ち向かう姿や、真っ黒になりながら働く姿は背中で語る男!っていう感じがして素敵でした。
ロケット、飛ぶ瞬間鳥肌が立ちますね。空を見つめる四人の人生が上手くいくように願ってやまない瞬間でもありました。
映画のエンドクレジットの前の伝記的なところで涙が止まりませんでした。
いい映画に会えて幸せです。