マグノリアのレビュー・感想・評価
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「雨」ならぬ、「蛙」降って地固まる
ファフロツキーズとは?
その場にあるはずの無い物、魚とか赤い雨とか蛙だとかが空から降ってくる現象を指す英語。因みに和訳で怪雨。
人生100年時代とはいえ、ファフロツキーズに出くわす機会などそうそう無いしそんな現象を知らずに人生を終えてしまう事もあるのだろう。そう、「マグノリア」を観ない限りはね。
この映画、私が思うに
「雨降って地固まる」ならぬ、
「蛙降って地固まる」物語だと思う。
何故ならクライマックスでファフロツキーズ的事態が起きるから。それであらゆる問題が快方に向かうというか。
え?全く意味がわからない?
そう思った人、是非観てください。
観れば「ほうほうなるほど、蛙降って地固まるね」と思うかも。
え〜でも上映時間187分でしょ?
と面倒くさがった人、この映画で意外な面白味を見つけてください。
例えば、絶対的ハリウッドキング、哀愁のブリーフ姿とか、今は亡きオスカー俳優の持ち味だった嫌味も毒も封印して演じた殊勝な看護師ぶりとか、知名度低めの女優が他のドル箱スター達を凌駕した麻薬依存症ぶりだとか。それだけ役者陣の気迫が凄い。
少々ネタバレだけどネタバレの価値あり。の、はず。
そうやって乗り切ってエンディングロールまで辿りついてみてください。そしたらエイミーマンの歌う「SAVE ME」が待っているから。泣けます。なんだたったらサントラから入っても良いくらい。サントラも推す。
兎に角、ポールトーマスアンダーソン監督の創り上げた登場人物達に出逢ってみてください。
最終的に愛だけが自分を救ってくれると知らしめるには空から降ってくる蛙、つまりファフロツキーズはどうしたって必要不可欠。カモン!蛙!
しかし、それにしてもあの夥しい数の蛙達、一体どこから調達したのだろう?
演技派ゾロリの卸問屋
ピザ屋、油採掘物語、仕立て屋のオヤジ、お笑い新興宗教などワケのわからない自己満足作品が多いPTAは初期に傑作が散見され、これもその一つ。
微妙な繋がりの人間たちを絶妙に配分した群像劇が展開されます。
とにかく、演技の鬼みたような役者が勢揃いで圧倒されます。
後半の、一つの唄を歌い継ぐ場面は映画史上屈指の名シーンです。
但し、相変わらず脈絡のない思わせぶりな意味不明シーンも多いので、けちょんけちょんの人も多いでしょうね。好き嫌いわかれます。
ちょっとした偶然と人と人の重なり
ポールトーマスアンダーソン監督の作品はいくつか観てきたが、『ブギーナイツ』然り『リコリスピザ』然り「なんかよくわからんないけど良かった。」という観賞後の感覚が心地良い。
本作も代表作なだけあって、話を知らない他人に説明するとしたら物凄く悩むものだが一言「観るべきだ」とははっきりと言える。
重なりそうでなかなか重ならない、人間が誰しも抱える二律背反な感情、説明困難な思いを可能な限り映像化し、それらに少しだけ触れられる映画になっている。
人生の一瞬一瞬を素直に生きられればどれほど楽か。それがどれほど辛いものか。過去と向き合ったり、向き合わなかったりしてもいいのかも、と思う。
最後の天気については、実際に記録されている現象であり、それを知ったきっかけである漫画『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出し、思わず「ジョジョのやつだ!!」と思ってしまった。
優しいホフマンと下ネタトム様が最高!
まず、序盤から性の伝導師トム様のぶっ飛び具合にハートを鷲掴みにされ、笑い止まらず爆笑しながら観てました笑
でもさすがはトム様。
必死に取り繕って、自分は平気だよ。
こんなに成功してすごいでしょ。と本当は寂しいのを押し殺して強がってる感がバシバシ伝わってきて、やっぱトム様は演技派だなーと思いました。
あと、今までみた作品の中で一番いい奴を演じてたフィリップシーモアホフマン!
最低の記者とか、人の心を踏みにじる作家とか、マフィアとかじゃなく、めっちゃ性格のいい看護師さん!!
おじいさんの無茶なお願いにも誠実に対応し、その奥様からビンタされてもいいんですよ、と許し
挙句トム様の横暴な態度にも全然文句を言わず、最後まで優しく見守るホフマン!!
あなた天使ですか!!
水色の看護服を着た天使なのですかー!!!
ワンちゃんめっちゃ懐いてるし。
ホフマンが本当に良かった!!
あと、あのクイズ番組の男の子。
幸せになって欲しい。
でも、あのテレビ生放送であれだけのことができたのなら、心配ないかも。
しっかり自立して、いい人生を歩んでいくのかもです。
3時間と長いけど、とても観ごたえあって、いい作品でした。
ラストは衝撃というかなんというか。
キモ!!!って言いながら観てました笑笑
今まで観たどの映画よりも地獄絵図でした笑笑
フランク・T・J・マッキー‼️
私にとってのトム・クルーズ最高の映画‼️私にとってトム・クルーズはピート・マーヴェリック・ミッチェルでもなく、イーサン・ハントでもなく、ジェリー・マグワイアでもなく、"セックスの教祖" フランク・T・J・マッキーなのです‼️「ツァラトゥストラはかく語りき」のメロディに乗って初登場するシーンの衝撃‼️ " 誘惑してねじ伏せろ" " お◯ンを手懐けろ" "悲劇を演出しろ" ‼️サイコーです‼️監督の天才ポール・トーマス・アンダーソンにしても映画として一番優れていると思うのは「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」なのですが、一番好きな映画はこの「マグノリア」です‼️死期が迫ったテレビの大物プロデューサー、彼が昔捨てた息子、プロデューサーの若い妻、看護人、癌を宣告されたテレビのクイズ番組の司会者、彼を憎む娘、彼女に一目惚れする警官、番組でお馴染みの天才少年、過去の栄光にしがみつくかつての天才少年・・・相互に無関係の10人以上の男女が出会い、すれ違い、それぞれの物語が1つに繋がっていく‼️この作品を語る上で欠かせないのが、女性シンガー、エイミー・マンの名曲の数々ですね‼️監督が彼女の歌を聞いて作品の方向性を決めたと語る通り、映画の雰囲気やテーマにぴったりとハマッていて、私が考える世界最高のサントラの一つです‼️一つ一つの物語がホントに胸を打つ名場面の連続なんですけど、トムが死にかけた父親に涙ながらに語りかけるシーンや、司会者の娘と警官のキスシーン、そして「Wise Up」というエイミー・マンの曲の"もう止まらない" という歌詞を登場人物全員が歌い出すシーンなんか、ホント感動的で忘れられません‼️結局人間は未完成であり、常に未熟‼️未熟ゆえに過ちを犯し、後悔する事ばかり‼️そんな登場人物たちの罪を洗い流し、再出発へと導いてくれるのが、クライマックスの◯◯◯の大雨なのです‼️旧約聖書にもある通り、神様はたまにそんな粋な奇跡を起こしてくれます‼️この作品は登場人物全てに共感でき、自分もこれから頑張っていこうと勇気づけてくれる "心の友" な映画‼️これからもしょっちゅう "心の友" に会いたい‼️
どんなことでも起こりうる。
どんな人生もありうる。
さまざまな、苦難とかエッと思いような人、キャラクター、ライフヒストリーが交錯するマグノリア界隈。
PT アンダーソンの、安倍晋三銃撃〜統一教会問題の最中、ザ・マスターが話題となり、遅ればせながら、PTアンダーソンを勉強中。
ストーリー、キャスト見ただけで見たくなり、もちろん結果としては大満足な作品。
誰もが違うレベル感かも知れないけど、あるある、こんな気持ち、あるあるこんな出来事、多少なりとも共感するかなと思う、さまざまなキャラクターと茶飯事だがぶっ飛んでる日常のオンパレードで。親と不仲であったからわかる部分とか、やる気満々なのに空回りする部分とか、なにかしら精神的に投影できる人やシーンがあるのでは?と思う。最後の蛙祭り以外は。
親子の問題、毒親や家庭内の性虐待の問題、いじめ、搾取、や、女性蔑視の問題、メディアの問題、ドラッグの問題、銃の問題、信仰の問題、さまざまなアメリカや先進国の問題が個人的にも社会的にも本線伏線とりまぜ、看護師は天使だな、彼の周辺には温かい空気や人の気配が漂う。電話でスーパーマーケットにデリバリーの注文をするシーンとか、なんか心に残る。一言一言が効いてる台本。
人には良いことも悪いこともどんなことも起こりうるのだ、善悪の彼岸、境界線上のマグノリアでさまざまな人生を垣間見て辛い毎日なんとかやっていこうよ。と。
良く編み込まれた映画
リコリスピザつながりで、PTA作品を鑑賞。
最初はどう進むか分からなかったが、丁寧に伏線回収。
PTA作品らしく、人間の優しさが見えた。
その前に、人間のどうしょうもない姿が描かれているのだが。しかも、その部分が長い。
それが無ければ、4.5🌟でした。
平凡な日常が重なって偶然になる
・20年振りくらいの鑑賞。冒頭の偶然の逸話とクライマックスの蛙の雨だけが記憶に残ってて他はほとんど覚えてなかった。いつかもう一度と思いながら何となく観てみたら心がぎゅっとなる話だった。
・蛙の雨で何かが解決したわけでじゃないのに何か解決したような気分になるのが凄い。あと、蛙の量が凄くて、よく作ったなぁと感心した。
・珍しいことは日常と日常が重なった時に、そう感じるだけなのかもなぁと思った。あと癌で亡くなる人が多くて、昔はピンと来なかったけど今は苦しい。
・ラストのSAVE MEが印象深い
最後の最後
3時間を超える長編映画でありながら、最初のつかみから最後の「あれ」まで全く退屈しなかった。
今はまだ映画を見終わった直後なのだけれど、内容を全然覚えていません。とにかく退屈しなくて面白かったと言う印象だけが残っています。
どうして覚えていないのかと言うと、ラストの「あれ」のせいですね。登場人物たちの苦悩が全て吹っ飛んでリセットしてしまったように僕の記憶もリセットしてしまいました笑。
「『人生を好きに送れば悔いがない。』というのは間違っている。勝手な生き方を悔いて心を入れ替えるのだ。悔いを土台にして自分を正すのだ。」
「これは起こり得ることだ。」
「愛はあるのにその捌け口がない。」
「僕を大切にして。」
良いセリフが多かった印象。もう一度見て確かめてみたいと思います。
んー。長い
前半はとても面白いんだけど
途中から、10分ほどの出来事を長く細かく撮影してなかなか進まず、、、
イライラさせておいて一気にスピード感で持っていかれるのかと思いきや空からカエル〜
でもそこで終わらず
そのあとはみんなの愛されたい気持ちが溢れて切ない。
もう一度観たいかと言われたら観ないかな。
なんて言っても180分。
旧約聖書
冒頭の偶然に絡み合う事故の紹介があったので、もっと事件性がある内容かと思われたのに、徐々に単なるドラマであることに気づいた。確かに蜘蛛の糸を張り巡らせたような人間模様には巧妙さに対して恐れ入ったが、それぞれのドラマがありきたりでつまらない。嘘や隠し事をしていた人物達が何とか真実を伝えたいが、上手くいかない等、きっかけを模索している。それを大群の蛙の落下という珍事で決着させる。
壮大な構想を立てたドラマが途中で収拾がつかなくなった場合に、イナゴの大群等のパニックを起こしてプロットを解決するという映画が多いが、これら旧約聖書を知らない観客には納得できない人も多いと思います(俺も)。
カエル以外の方法はなかったのか
同時進行する人間模様
しかも全ての人物が何処かで繋がっている
それは最後に良い意味で、
或いは悪い方向で、
大団円を迎える
ありだと思う
でも、カエルだけはないと思う
マグノリアが降っても良かったかも
名作、だよ?
今や名監督のPTA、ポールトーマスアンダーソン1999年の作品。以前から興味はあったが、「187分ということは、3時間超えるんだ、止めよ」と何度も頓挫していたが、WOWOW「町山智弘の映画塾」で「桐嶋、部活やめるってよ」の評とか、他の批評でも散々出てくる「マグノリア」。これは避けて通れないと(最近そんな不純な動機ばっかり)覚悟して観ました。
微妙に重なり合う登場人物たち。初めはそれぞれの関係を把握するのに時間かかった。話もバラバラにスタートします。それぞれの名前は覚えておくべきですね。それぞれが何かを抱え悩み後悔して生きている。でもそれって意外と大したことないよ、という話。
クイズ王の話は、予想では新しいクイズ王の記録が達成されて、元クイズ王はもっと打ちのめされるのかと思ったけど、全然違いました。
巷の評価は高い。自分には面白かったけどそれほどでも、だってアレ降ってくるんだよ。
こーゆー作品を名作だと思えるようになりたいもんだ。
オープニングが一番面白かった。
天気予報は小まめにチェック
それぞれに抱えた問題や起こる出来事を地味に淡々と描き映画として盛り上がるような"何か"もなく。
いや、唐突に降ってくる!!今まで観たことがない盛り上がるシーンが意味不明に怒涛のように降る!?
長丁場ではあるが群像劇としてテンポ良く切り替わる映像に飽きも来ず、共感できる人物と全てを解りやすくは描かない物語のバランスも良い。
自分の人生を後悔しながら、その犠牲になりながら、そこに携わりながら、そんな三者三様でもある?色々な関わり方をして描かれる人生模様にラストは感動すらしてしまう不思議な雰囲気を醸し出す。
ウザったいお巡りさんと思いきやピュア過ぎる優しさに癒されるJ・C・ライリーの話と、主要人物が続けて歌う場面が個人的にはお気に入り。
あり得る!?いや、あり得ないでしょ!!
すんごい映画観てしまった感。
ポール・トーマス・アンダーソンの脚本が天才。途中までなんかよくわかんなくて退屈なんだけど、30分くらいからヒューマンドラマとして"普通に"面白く、そして2時間と少し経ってから、それは起こる!3時間のエンタメ作品、長く感じませんでした。
私達は愛してもいいし、愛されても良いのだ
号泣しました
愛が有るのに、そのはけ口がない
皆均しく愛し愛されたいのにその資格がないと思い込んでいる登場人物達
それは私達の鏡だ
駄目な自分は駄目なりに愛もなく生きて行くしかない、この先ずっと
そう思い込んでいる私達の姿
それが終盤で赦されていくのだ
フランクは子供の自分と癌の母を捨てた父への復讐と非難の為の仕事を派手にするほどであったのに、父の死の前に死なないでくれと泣きわめき懇願する
自らの心の中の愛を知り、父の愛を知ったことで、その愛の気づきが硬く固く凍った氷のような彼の心が、温水のシャワーを浴びたかのように溶けて露になって行く
息子は父を赦し、父は赦されて息子に看取られていくこの見事なシーンこそが、本作のテーマの主旋律だ
このシーンの様に登場人物全てが駄目な自分を赦し、赦されていく
まるで交響曲のように重奏して、終盤には圧倒的な迫力をもって閉じていくのだ
トム・クルーズの演技は前半のセミナーシーンと、そのシーンの対比によって、本当に説得力のある迫真的なものであった
カエルの雨にそんな馬鹿な、非現実的なとあきれてはいけない
そんな事も希にはあると物知り少年が言っているではないか
強いて言えば、エピローグでの警官ジムの独白は神の言葉と受け取れば良いのだ
助けを必用とする者、許しを必要としている者
その判断が微妙だ、だが許しは可能だ
許すかどうか、そのさじ加減が難しい
だからそれは神の御心の寓意と捉えてしまえば良いのだ
最後の最後のシーンでクラウディアが初めて笑う
愛されたい、しかし愛される資格がないと思い込んでいた彼女が許された瞬間だ
そして主題歌に繋がっていく
この時、本作を観てきた私達もまた許されたのだ
愛してもいいし、愛されても良いのだ
最後にマグノリアはロサンゼルスのハリウッドとポルノ産業が集まるサンフェルナンドバレーとを分ける辺りに東西に長く走る通りの意味だが、よく見ればポスターの真ん中にマグノリアの花が配されているではないか
マグノリアは桜のように春を告げる花
花言葉は忍耐
本作を観た観客の心も春を告げて欲しいとの監督の願いが込められているのだろう
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