「ライク・ア・バージン・ザ・ファーストタイム・アイ・ソウ・ユー」007 ダイ・アナザー・デイ pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
ライク・ア・バージン・ザ・ファーストタイム・アイ・ソウ・ユー
ようやくダニエル・クレイグまで辿り着いたかと思ったら、もう一作ありましたぁw
うわ!いきなり「北」ですか!監督も脚本もアグレッシブですね(笑)そして初っ端から14ヶ月経過とは。まるでテロリズムを追うノンフィクションドキュメンタリーみたい。この辺りはリアリズムに寄せている感があります。劣化ウラン弾に言及しているのも意識の高さが窺えます。
ブロスナン・ボンドは全作、監督が違うだけあってテイストも毎回違いますね。今回はマオリにルーツを持つリー・タマホリ監督。戦メリで助監も務めた人物です。主題歌は44歳という円熟期のマドンナ。十字架磔など挑発的演出で教皇庁始め世界中のカトリックを敵に回すコンフェッションズ・ツアーの4年前になりますね、本作は。
政治や思想、社会問題、権威や圧力といったものに多大な反骨心で挑戦的メッセージを表明するメンバーが集った印象のある本作。ボンド・ガールも黒人女性起用は初だったんですね。人種問題に煩いアメリカにしては驚きです。日本女性が5作目、1967年という初期に起用されていますから意外でした。とは言え、ハル・ベリーのお母様は英国系の白人ですから純粋な黒人女性とは言い難いですが。
しかし、フェンシングクラブのシーンでは、マドンナが完全にロザムンド・パイクを食っちゃってます。マドンナの方が美人ですねぇ。実際のロザムンドはオックスフォード卒の才女、シェイクスピア俳優ですから、知性の方で頑張って頂きましょう。
まぁ、40周年&通算20作目というダブルアニバーサリー作品ですので気合いの入り方が違います。
「北」なんて、日本としてはデリケートな関係にあり過ぎるのでヒヤヒヤしてしまいますがハリウッドはそれほどでもないのでしょうか?いや、やっぱりそんな事ないよね。「北」に長居はせず、舞台は早々に、中国(香港)経由でキューバ(ハバナ)に移ります(笑)
ここからはもう、冒頭のリアリズム路線もおしまい。007シリーズらしくフィクションだと割り切った痛快スパイアクションコメディに戻ります。(ただ、これまでの方針に反してCG多用はどうかなぁ?)
アニバーサリーだけあって、過去シリーズへのオマージュシーンが頻繁に登場します。wikiにきっちり書いてありますのでここで羅列はしませんが興味ある方はwikiをご参照ください。
とりわけ嬉しかったのは、Qの研究室とボンド・カーです。コネリー・ムーア時代の生き生きしたQを偲ぶ名発明・迷発明の数々がきちんと保管されている事に胸が熱くなります。
ボンド・カーは温故知新のアストン・マーチンV12ヴァニッシュ。
自動追尾散弾砲・マシンガン・ミサイル、イジェクトシート・遠隔操作装置出し入れ式大型スパイク・熱センサーなどいつもの小技はもちろんのこと、今回はなんと!光学迷彩装置です!
おバカも、いえ、科学もついにここに極まれり!古くは1000年ドラゴンの皮ですとか、近代にはウェルズの「透明人間」、日本にも蕗の下のコロポックルやら天狗の隠れ蓑なんて逸話もありますね。現代っ子ならドラえもんにハリー・ポッター、ジェルマのおそばマスクいやさステルス・ブラック。
そうだ、古代ギリシャ哲学でもプラトン先生のギュゲスの指輪なんてのもありました。キャロル・アリスのチェシャキャットなども思い浮かびます。そんな夢のインヴィジブルカー、ディスアピアカーが氷上でドリドリダンスです♪車好きならばジャガー XKRとのチェイスに心躍らぬはずがありません。
ホバークラフトチェイスも楽しかったぁ。
残念なのは、ストーリー展開が見え見えで、常に先が読めてしまうところ。
ラスボスなんて、冒頭のプレシークエンスの時点からわかりきっているという(笑)いくらなんでもそれはどーよ?
てこって、物語上のサプライズは一つもなかったんですよね。40年続いたご長寿作品だからマンネリやお約束でもいいのかな、、、。
星、どうしよっかなぁ、、、迷うな、迷うなぁ。う〜ん、過去シリーズへのオマージュシーンおてんこ盛りで楽しませてくれたので0.5オマケしときますかぁ!
あ、そうそう。トゥモロー・ネバー・ダイで時代への迎合か?と憂えた露骨な惨虐描写が鳴りを潜め、過去シリーズ同様「みなまで描かず、その(残酷であろう)部分は観客のイメージに任せる」というスタイルに戻されていたのは非常に評価出来る点でした。
レビュータイトル、せっかく考えて書いたのに英スペルだと字数オーバーwww
仕方ない、野暮ったいけど007シリーズタイトルよろしく片仮名でいいや。仮名って素晴らしいねw(本当は最後にジェームスって入れたかったけども。)
よし!ようやくダニエル・クレイグに突入するぞ〜。ノー・タイム・トゥ・ダイが劇場公開しているうちに間に合うかなぁ。病身につき体調次第で、無理せず頑張ります。