グリーンマイル : 映画評論・批評
2000年3月15日更新
2000年3月25日より日劇ほか全国東宝洋画系にてロードショー
「ショーシャンク」コンビ復活であの感動が再び
スティーブン・キングの原作をフランク・ダラボン監督が映画化の第2作。前作の「ショーシャンクの空に」は素晴らしかった。心洗われる名作だった。でも今度は、短編を膨らませるのではなく6冊にわたる大長編をまとめるわけだし、演技では無理に力まないティム・ロビンスではなく(オスカーに向けて)力が入りがちなトム・ハンクスだし、「スピルバーグが4回泣いた」という惹句もあざとい感じがするし、妙に大作臭が強い……と、3歩くらい引いて見た。
ところが、長丁場もぜんぜん飽きない。トム・ハンクスも力みがないし、ほかの役者もいい。「トップ・ハット」の使い方にはほろりとくる。きっと原作をとても上手にまとめているのだろう。人種差別 、死刑の是非、特別な人間の持つ力、どうしようもなく邪悪な人間、夫婦愛、友情。感動大作である。
ところがだ。そんなあれこれを誠実にまとめた優等生ぶりが、少し鬱陶しい。感動させようとする監督の熱意はわかるが、俺がやりたいのはこれっていう気迫が、手堅さの中に埋没した。そう思うのは鈍感で邪悪だからかもしれないが、敢えて、もっと短いほうがよくなったはずだと呟いておこう。
(片岡真由美)