ストレイト・ストーリーのレビュー・感想・評価
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デビッド・リンチ追悼
と言っても、全然映画マニアでもないしデビッド・リンチなんて名前はなんとなく聞いたことあるけどぉ〜…くらいしか知らない監督。
イレイザーヘッドとかツイン・ピークスとかマルホランド・ドライブとかの監督らしい。イレイザーヘッドは見たことあるな。けど、どんなのか忘れたな。
さて、この映画だけど、そういったデビッド・リンチ監督の作品とは趣が異なる彼にしては珍しい作風らしいです。
いわゆるロードムービーです。
まぁ何ていうか、カールじいさんのトラクター版みたいな感じでもあり、どこか老人と海にも通じるような雰囲気も感じられました。
いわゆるアメリカ文学に有りそうなテーマを扱ったような、熟年期以降の人間にしか響かない作品かも知れない。
まったりのんびりコーヒーかビールでも飲みながら一人で観たい作品ですね。
好きですよ、こういうの。
いい映画観たければどうぞ
トマトで評論家・一般共に90%超え、iMdbでは8.0点ですから、よほど斜に構えた人でない限り、万人にオススメの傑作です。
ゆったりしたセリフ、ゆったりした演技、ゆったりした音楽、ゆったりした展開、そしてゆったり動く耕運機、全てがスローに進みます。
エピソードの総てが、全てを語らずに余韻を残してフェードアウトしてゆく演出が抒情満点です。道中の風景を俯瞰的に移すシーンが何度も挟まれ、ロードムービー特有の旅情も漂います。
偏屈なリンチ先生も本気を出すとこんなアメリカの良心のような作品を作れる、ということですね。
前半だけに登場するキャリーもさすがの演技力を発揮して好感度MAXです。
ハリーとトントとかドライビングミスデイジーあたりを思い出すような素晴らしい作品です。
2000年
2000年の映画か〜なるほどね〜その雰囲気も良かったんだろな〜
2000年ぐらいの「便利さ」「不便さ」くらいが、映画やドラマにしても味が出る時代だと思う。
現代だと、便利になりすぎて味が出にくい。というか便利で早くて物語が生まれる前に個人で解決しちゃう。スマホで大概のことが解決しちゃう。
あのコード付きの固定電話も、スマホだと、な〜。
かといって今あえて固定電話使うのは不自然だし。
アメリカでも田舎の方とかではきっとまだアナログ文化が根付いてたりするんだろうけど、あの現金を確認したり、借りた電話の子機の下に現金を数枚置いていたり。クレジットカードや電子マネーだと味が出ないし、スマホだと電話借りる必要もないし。
そしてスマホ持ってたら、Google Map使っちゃうだろうし。
おじいさんなら現代でもスマホ使わず同じような物語になるかもだけど、
今、若者が同じように旅することは難しい、というか努力が必要だろな。
(スマホを置いて旅する!とかの決意が必要)
なんか、発展して知れる世界はとても広くなったけど、
狭くてもいいな〜と、情報量の少なさに安心と憧れの気持ちがどこかある。
それも、"自分だけ"世界や情報が制限されてるってことじゃなく、みんな、全員が同じような情報収集レベルで生きてる、っていうこの時代が羨ましい。
草刈機は遅いけれど、遅いからこその良さがあるって最近自分も散歩をしてて気づいたことだ。
目的地に早く着くってことが「移動」の正解だと思ってたけど、最近、「早く着いてどうすんの?」というか。早く着くとあっけなかったりする。なんか、物語が早く展開しすぎる、というか。
そこまで急いで、そのあと別に何かしたいわけじゃない。
最近は、目的地よりも、移動中の方が楽しい。目的地はおまけ感覚。
この映画はセリフが少なく情景を映すシーンの方が多いけれど、私はそういう映画、好きだ。ぼーっと、思いを馳せられるというか。瞑想に近いというか。寝る前にこの映画を見たけど、よかったな〜。
最後のシーン
兄と会った時も、言葉少なく、表情で語る感じ。良かったなあ。
老人終末旅行の様なオフ・ビートな徘徊。
「いつから旅しているの?」
「一生ほとんど旅ばかりだ」
「あれに乗って俺に会いに来たのか?」
「そうだよ」
二人が少女終末旅行のチトとユーリーに見えた。
トラクターがケッテンクラート♥
悪者が一人も登場しないお話。
この映画が上演された一年と半年後にあの事件が起こる。
このトラクターはアメリカ経済に対するアイロニーかもしれない。
観てよかった
歳をとって辛いのは若い頃の記憶があるからだ
心温まるロードムービー
【”10年疎遠だった病に倒れた兄を訪ねて時速8キロのトラクターにて、500キロを歩む。”デヴィッド・リンチ監督の盟友アンジェロ・パダラメンティのリリカルな音楽もこのロードムービーの趣を高めています。】
ー アイオワ州の小さな町で暮らしている73歳の老人、アルヴィン・ストレイト。
ある雷雨の夜、10年仲違いしていた兄・ライル・ストレイトが倒れたという知らせが届く。
彼は兄に会うため、時速わずか8kmの芝刈り機に乗り、500キロ離れたウィスコンシン州、マウント・ザイオンに向かう旅に出る。芝刈り機に乗って・・。-
◆感想 <Caution! 内容に触れています。>
■私は、ロードムービーが大好きである。
- 今作でもアルヴィン・ストレイトが、兄の住む家に向かってトラクターを走らせている時に出会う様々な人々。多くは善性溢れた人間である。ー
・壊れたトラクターを修理する人々(とにかく、オンボロだから頻繁に壊れる。)の優しき対応。
・仕事に急いでいる女性の車が鹿にぶつかって、金切り声を上げている際にも、アルヴィン・ストレイトは”やれやれ、鹿を殺してしまったのだぞ・・”と言う表情で女性を見ている。そして、彼は鹿の角をトラクターに連結した荷台に飾る。
・妊娠五か月の若き女性との出会い。最初は彼女はトラクターの余りの歩みの遅さに
ヒッチハイクの親指を立てもしないが、夜アルヴィン・ストレイトの野宿に誘われ、ソーセージを振舞われる。そして、アルヴィンは焚火の前で、彼女に言う。
”成程、君の両親は怒るだろうね。けれども、君や赤ちゃんを失っても良いと思う程には怒らないよ・・。”そして、日本で言う”毛利家の三本の矢”と同じ話を彼女にするのである。
・車を飛ばせば、2時間程、いや3時間かな・・、の距離をトラクターで進むアルヴィン・ストレイト。途中、心配していた娘ローズに電話を掛けるシーンも彼の紳士的な態度が見て取れる。借りた電話に対し、キチンとお金を置いて去るのである。
そして、”乗せて行こうか・・”と言う親切な申し出にもやんわりと、”有難う、でも自分で行くよ・・”と答える。
私は、きっとアルヴィン・ストレイトは10年以上も前に些細な事で仲違いした兄に行く心構えをしているんだろうな・・、と思ったシーンである。
・第二次世界大戦で、心の傷を負った老人と、バーで交わす会話も滋味深い。
・そして、漸く着いた兄ライルの質素な家。”ライル!”と声を掛けると、待ちわびていたように、老いたライルが家の中から出てくる。
その表情には、蟠りは何もない・・。
<デヴィッド・リンチ監督作品はどれも好きだが、実話ベースのこのロード・ムービーも忘れ難い。私の好きなロードムービーの100本強の中の一作である。>
好きなお爺様ランキング第2位(2000年3月当者調べ。)
劇場公開時鑑賞。
最初内容を知った時、「リンチ監督、何か変な物でも食べた?」とか「リンチ殿、ご乱心!」とか思ったです、すいませんすいません。
時速5マイルのロードムービーということで、アイオワとウィスコンシンは隣接してるし、飛行機なら1時間くらいでしょう。トラクターで何日もかけてなんて、バカじゃないのと言われても仕方がないかもしれない。まさか道中出会う人とのなんてことのない会話にこんなに心動かされるなんて。リチャード・ファーンズワースの魅力に尽きる。
次の出演作もぜひ観たいと思っていたのに…。この年自死してしまったのが何とも残念。
時速8Kmの芝刈り機
1つの良い映画だと言えよう
人々の温かさが心地よい
ほんまにそれで行くの⁇
優しさと強さ。そして顔。
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