ストレイト・ストーリーのレビュー・感想・評価
全76件中、1~20件目を表示
ロングランの気配
背景は1988年くらいか。1994年に発表された実話が元になっているようだ。娘ローズと暮らす腰の不自由な73歳のアルヴィン・ストレイトは、ほぼ義絶している兄ライルが脳卒中で倒れたと聞き、時速8 kmしか出ない小型のトラクターを駆って、あのトウモロコシ畑でおおわれたアイオワから、傾斜地を経て、560 km離れたウィスコンシンまで、一人で訪ねることを決意する。昔の耕運機のようなサイズの66年製トラクターで、一人がやっと寝起きでき荷物を積めるトレーラーを引いている。
彼の腰は、おそらく脊椎間狭窄症で、立ち居振る舞いがままならず、両杖を突いて歩くのがやっと。しかし、なるべく人の世話にはなりたくない頑固者。中西部の秋の景色が美しい。冬が長く厳しい土地柄だが。
気になったアルヴィンのセリフが幾つか。何れもサイクリング・レースの若者の一行と同じ場所で野営したときだった。
You don't think about getting old when you're young.
若い頃は、自分が年取るなんて、思ってもみないものだ(拙訳)。
>その通りだ。私も考えてもみなかった。
The worst part of being old is rememberin' when you was young.
年とって一番いけないのは、若かった時のことを、いつまでも忘れられないことだ(拙訳)。
>映画の中でも、アルヴィンには忘れられない記憶がでてきた。
私も、当時はそれほどでなかったことが、急に頭をかすめることがあり、しかも一度思い出されると頭の中を走馬灯のように駆け巡り、心が不安に苛まれて厄介だ。もちろん、若い時にはこんなことはなかった。
一番良かったこと。普段は映画なんかあまり見ないような(失礼!)若い人がたくさん詰めかけていて(SNSで評判になっているのだろうか)本当にうれしかった。
シネマート新宿にデビットリンチのストレイトストーリーを見てきた。リ...
鹿の解体の影に…
爺さんがアイオワから兄の住むウィスコンシンまでを小型トラクターで旅する(だけ)という正統派ロードムービー。それだけなんだが最後までスクリーンに釘付けにされたのはさすがリンチと言うべきか。旅とカットバックして挿入される広大な穀倉地帯の収穫風景や牧場の景色が美しい。
邦画によくある感動押し売り(感動ポルノ)描写や感情ぶちまけ表現がなく、淡々とした語り口で好みのつくり。エンディングの、兄弟の視線と表情、数語のやり取りで関係の修復を表現している切れ味の良さは見事。
旅の途中で出会う人々、特にオヤジたちがみんな良い顔してて味わい深い。今は知らないが、ちょいと昔のアメリカの田舎の人たちって、お節介なほど面倒見が良く、他人に親切なんだよね。個人的には爺さんを裏庭に泊める元ジョン・ディア勤務のおじさんが好き。
最初の旅がトラクター故障で頓挫した時、爺さんが散弾銃でトラクターを吹っ飛ばすのは西部劇で、脚を折った馬を安楽死させるシーンのオマージュかな。
疑問が2つ
・足腰弱って杖が必須の爺さんが、どうやってロードキルの鹿を路上から回収・解体、お肉にしてさらに頭骨(ツノ)まで取り出せたのか? 影の協力者の存在が示唆される。
・アイオワ州セントローレンスからウィスコンシン州マウント・ザイオンって240〜250マイル(385〜400km)、遠回りしても300マイル(480km)なんだが、公式記載の560キロ(350マイル)の道のりって爺さんどこ通ったの?
タイパもコスパもない、古き良き時代の愛すべき頑固者(*^^*)
最初から、頭の中は疑問でいっぱい、実話なのにツッコミどころ満載。
あんなメンテナンス悪そうなトラクターで、560キロも旅するって、バカなの⁉
娘のローズは止めないの?
ローズが休みが取れるタイミングで2人で車で行くという選択肢は考えないの⁉
と、訳の分からなさに嫌悪感を抱きながら観始めた。
出だし、心を掴まれたのは、ゆっくりしたペースで進む彼が感じる秋の風景。
大きな空、突然の雨、満天の星、どこまでもどこまでも続くのどかな道路。
車に追い越され、サイクリストに追い抜かれ、鹿の死骸に出合い、トラクターの故障で一時足止めを食らう。
その中で、少しづつ、彼の、家族の、人生が語られる。
兵士として戦争を体験した人たちの悔恨は、生涯癒えることはないのだろう。
彼が、医師に言われても、酒やたばこを止めることができない理由が腑に落ちた。
人間は、単純ではないのだ。
ラスト、ようやく目的地に着いて、さあ、これからと思ったら、エンディング。
全て観せないところが粋!
少々疲れがたまっていた私にとって、よき滋養強壮剤になりました(*^^*)
アメリカ中西部の男の実在感
デヴィッド・リンチ監督の異色作を4Kリマスター版で初見。兄に会うためだけにトラクターで数百キロの旅に出るという実話を基に、ギミックなしにストレートに映画化して評判を呼んだことは知っていたが、劇場公開時には見逃していた。
何と言っても主演のリチャード・ファーンズワースが素晴らしい。地に足を着けたアメリカ中西部の男の人となりを体現していて、圧倒的な実在感。特に、戦地での出来事や兄との思い出を語るときの、ためらうような眼の動きなど、本当に自分事を語っているようにしか見えない。彼自身の人生と役の人生が重なっているような深みがある。
トウモロコシ畑の空撮、夕日を浴びて走るトラクターなど、映像の美しさも印象的。リンチ監督ならではの絵画的センスが現れている。鹿のシーンと双子の登場には、ちょっと遊び心も。物語を優しく包み込むような音楽も特筆したい。
娘役のシシー・スペイシクも好演。ラストのハリー・ディーン・スタントンの表情には、思わずこちらも涙がこぼれた。
旅の途中で触れ合う人たちがみな主人公に優しく敬意を持って接していて、アメリカらしいヒューマニズムを感じさせる。社会の分断と不寛容が広がる今のアメリカで、このような穏やかで優しい作品が生まれるだろうか、とも考えさせられた。
デビット・リンチの人生讃歌
『ストレイト・ストーリー』人間にとって本当に必要な時間とは、何はさておいてもこれだけは一番大事にしておきたい。物事に優先順位をつけるつもりはないけれど、今はこの事の他は後回しにして取り組まないと、それが他人から見たら大した価値がないと思われても。
デヴィット・リンチ53歳 1999年の作品
まさに油の乗り切った時。
作品は、1994年にニューヨークタイムズに乗った記事。
ほぼ実話と。
それにしても、500キロの距離をトラクターで。
セリフにもあったけど、「あと100キロのところまで5週間」
一日10キロちょっと。
徒歩でも、もう少し稼げると思うのですが。
とにかく、のんびりゆったりと時間をつかって。
出てくるのは、ほぼ高齢者中心。
意図したことなのか、とにかく悪人が出てこない。
人生の終盤の局面では、人と争うことなどしたくもない。
そんなことより、もっと大事なことに時間を使いたい。
そんな気持ちが伝わってきます。
男らしさとは
今の時代男らしさ女らしさというセリフは、性差別になるのだろう。
今でもアメリカでは、男は荒々しく男らしいのが是という風潮が。
日本人男性は、彼等から見ると中性的に見えるらしい。
映画の主人公は、頑固で実に男性的。
第二次大戦に従軍して、結婚して14人の子供をもうけ、うち育ったのは7人。
細かいことにこだわることしない、言葉に裏表がない。
だけど、言い出したら聞かない。
日本だって、かつてはこんな男性像が理想とされた時代があったんですが。
そこが、もともと和を重んじる国、あまり感情は出してはいけない。
となると、アメリカ人から見ると日本人は何考えてるかわからないとなるわけで。
さらに、これに加え昨今では、その場だけ話が通ればOKというコメンテイター全盛。
そんな視点でみると、この主人公は、実に魅力的で男性的で。
ただ、呆れるほど頑固。
しかし、そこには愛情が。
道路をトラクターで延々と走るのだけど。
必ず片輪を路肩に落として、少し斜めになりながら。
乗りづらいと思うのだけど、
邪魔にならないようにという配慮なのか。
大型トラックにはねられたくないとの思いなのか。
彼の、心使いと思いに想像を働かせてしまう。
「カインとアベル」という永遠の課題
兄弟の嫉妬が語られる聖書の逸話。
アメリカ人は好きですね。
映画『エデンの東』以来何度も取り上げるテーマ。
若くて決起盛んな時の過ち。
人生の最終盤では、もうそんなことはどうでもいい。
人生の終わりに嫉妬に駆られる、そんなことに時間を裂きたくない。
残された時間は少ない。
今は、もっと大事なことに時間を使いたい。
ラグビーの試合のホイッスルが鳴ったあと。
そう、ノーサイドの雰囲気を漂わせた映画だろうか。
最高のロードムービー
満点の星空と、広大なトウモロコシ畑。
時速8キロでトコトコ進むトラクター。
焚き火の炎を見つめて、行く先々で出会う人々との語らい、なんとも贅沢な時間がゆっくりと流れる。
びっくりするようなことは起きないけれど、鹿とか、猛スピードの下り坂とか、ところどころアクシデントがあるのもおもしろい。ロードムービーって、いいよね。
星空の下、お兄さんとゆっくりお話できたかな。
歳をとって最も最悪なことはと、
こんな映画知らなかったし、すごく満足した。
映画見終わったあと、映画館のエスカレーターで降りながら、そしてちょっと小腹を満たすためにケンタッキーに向かっている道中、失恋した学生みたいに涙が止まらなくなって、泣いてないというアピールをしたくて、笑顔作ってみたりした。キモキモオジンになれる映画でした。
静かな映画だけど、様々な出会いと会話から過去を悩みを抱えたひとや、トラブルが発生したりと、退屈に感じることは一切なかった。
ストレイト・ストーリー
昨晩は久し振りに「ストレイト・ストーリー ('99)」を観て、デヴィッド・リンチを追悼しました。ロードムービーの傑作です。
冒頭のシーンの不穏さ、不吉さがリンチらしくてちょっと怖いのですが、その後はいつものリンチ作品とはまるで違う染み染みとした人生の哀歌になっていて、全編に渡りウルウルしてしまいました。まるでリンチが小津になった様な感じで。
先ずは、主演のリチャード・ファンズワースの演技が素晴らしい。元ハリウッドのスタントマンで、ゲーリー・クーパー主演の「マルコ・ポーロの冒険 ('37)」でデビューして、「マルクス一番乗り (’37)」、ジョン・フォード監督の「怒りの葡萄 (’40)」、「アパッチ砦 (’48)」、ハワード・ホークス監督の「赤い河 (’48)」に加えて、アメリカ映画史に残る数々の名作、傑作を含めた以下の作品群・・・「ガンガ・ディン (’39)」、「風と共に去りぬ (’39)」、「北西騎馬警官隊 (’40)」、「熱砂の秘密 (’43)」、「ならず者 (’43)」、「白昼の決闘 (’46)」、「猿人ジョー・ヤング (’49)」、「怪傑ダルド (’50)」、「底抜けふんだりけったり (’53)」、「乱暴者 (’53)」、「ケイン号の叛乱 (’54)」、「十戒 (’57)」、「胸に輝く星 (’57)」、「スパルタカス (’60)」、「西部開拓史 (’62)」、「キャット・バルー (’65)」、「グレート・レース (’65)」でもスタントマンとして活躍した人。俳優として正式にクレジットされたのはディーン・マーチン、アラン・ドロン共演の「テキサス (’66)」からと言う大器晩成の役者。以降は、「ペンチャーワゴン (’69)」、「モンテ・ウォルシュ (’70)」、「地球最後の男 オメガマン (’71)」、「11人のカウボーイ (’72)」、「ロイ・ビーン (’72)」、「アウトロー (’76)」、「トム・ホーン (’80)」・・・で、初主演がなんと「グレイフォックス (’82)」。そして79歳の本作が遺作でありながら、完全主役と言う超異色の俳優です。共演者でラストシーンだけ出てくるハリー・ディーン・スタントン、娘役のシシー・スペイセクに加えて、旅の途中で関わって来る脇役も日本ではほとんど知られていない俳優達によって演じられていますが、皆、存在感があり印象深い演技を残しており、顔の表情が良くて、個々のシーンに惹き込まれてしまいます。これまでのデヴィッド・リンチ作品の様な、奇怪で異様でグロテスクでありながらブラック・ユーモアも散りばめた異次元的ホラーやSF映画ではなく、アメリカ中西部の農村、田舎町、州境を舞台にした現実感溢れる心温まるファンタジーに仕上がっており、こういう人生を静かに見つめ直した作品もさらっと撮ってしまうデヴィッド・リンチの奥の深さ、力量を改めて感じ、感動させられました。シナリオや台詞もかなりよく練られており、言語、文化、生活環境が異なる様々な国々の観客がこの映画を観たとしても、人生における普遍とも言える真実が描かれている為、間違いなく万人の心に響き、心地よい感動に心を揺さぶられることでしょう。
全編がロケーションと言ってもよい映画で、アメリカ中西部の一見単調な畑ばかりの風景も、撮影監督であるフレディ・フランシスの流麗なカメラワーク、短いシーンをフェイドイン/フェイドアウトやオーバーラップを繰り返しながら巧みに繋いだ時間経過を示す演出、自然光を主体としながらも要所要所に人工的な照明を上手く利かせた光と影を活かしたメリハリのある演出、敢えてロングショットにしたままで且つ音声も小さく遠ざけたままの客観的視点で登場人物を捉えた演出等、監督デヴィッド・リンチと息の合ったこの撮影監督ならではの才気溢れるシーンに満ち溢れています。同じく常連スタッフの一人であるアンジェロ・バダラメンティが担当したサウンドトラックの静かなメロディが効果的で、個々のエピソードが一層心に染み入りました。
「ストレイト・ストーリー」は、それまでのデヴィッド・リンチ作品とはかなり毛色が違った異色の映画ではありますが、人生を生きていくのに役立つ名作であり、一見の価値ありです。
「若い頃を覚えていることが嫌」という⾔葉の真意
歳をとって嫌なことは?
「若い頃を覚えていること」
これを聞いて、身体が衰えて昔みたいに動けなくなったことを嘆いているのだろうか。含みはなんだ?と思っているうちに置いていかれてしまった。
やられた。直前の言葉で勝手に安易な想像をして、思考を止めてしまっていた。全然違った。
物語が進むにつれて、出会う人々の心に寄り添いながら、少しずつ吐き出していくつらい過去と想い。
そうか。『忘れたくても忘れられない過去が、ずっと居座って心を蝕み続けている』ということか。
彼は自身のつらい過去をさらけ出して、他の人の心に気づきを与え、癒していく。
様々な経験を積み重ねてきたからこそ、
そして、どんな感情を伴っても正面から対峙してきた彼だからこそできることなのだろう。
「年の近い兄弟ほど分り合える者はいないよ。わしのことを誰よりも分っている。」
と言っていた彼と兄が再会した時、セリフはほとんどなく、2人の視線にフォーカスしていたことが全てを語っていた。
深かった。
note【YouKhy】では もう少し詳しく書きました。
70代のイントゥ・ザ・ワイルド
26-019
なぜ?と戸惑いつつもホッコリ感動
『イレイザー・ヘッド』(1977)、『エレファント・マン』(1980)以来、余人を寄せ付けぬ独特の映像世界を切り拓き、昨年78歳で亡くなったデビッド・リンチの2000年の作品です。
大喧嘩で仲違いして以来長らく会っていなかった76歳の兄に会うために、560キロの道のりをトラクターで旅するジイサンのロード・ムービーです。特別大きな事件が起きる訳ではなく、旅の途中で様々な人の親切に出会い、自身の思い出を訥々と語り始めます。
ストレイトが主人公の名前とは思いませんでしたが、デビッド・リンチ作ではお馴染みの殺人もミステリーもないし、夢と現実のゴチャゴチャもないし、フリークも登場しません。文字通り素直で心温まるストレイトなストーリーなのです。デビッド・リンチがなんでこんな作品をと戸惑いつつも、その職人技に素直にホッコリしたのでした。
自らの意思で人生を変える勇気の尊さを伝える佳作
27年前、1999年公開の映画だ。当時、予告編だけで、観た気になっていたようだ。今回見てみたら、初見の作品だった。ほぼ予告編から想像できる通りのシンプルな物語。だからと言ってみる価値がないかと言えば、全くそんなことはなかった。
アイオワ州ローレンスの自宅から、兄のいるウィスコンシン州マウントザイオンへの旅。GoogleMapで調べると389マイル(620キロ)。自動車で6時間45分で到着すると出てくる。この映画では、その道のりを、小型トラクターで6週間掛けて旅をする。
旅立ち、目的地に着く。その時系列通りに淡々と話は進む。ドキュメントでもあるような、リアリズム的で、説明が少ない。それがとても好ましい感じであった。
ディズニー映画として公開されたとのこと。ディスニー映画は、教訓や感動ポイントをわかりやすく描く。全ての物語が明確な因果関係で結ばれ、それ以外は省略される。時にそれが鬱陶しく、ちょっと暴力的に感じることがある。因果関係による説明を少なくしていることが本作の余韻を強くしていると思う。
新聞に掲載された実話を元に、リンチの映画制作パートナーであり一時は妻でもあったメアリー・スウィーニーが取材し、脚本を書いたのだそうだ。タイトルは「まっすぐな、ありのままの物語」という意味かと思ったら、現実に存在する主人公の名前がストレイトさんだった。両者を掛けたということなのだろう。
新聞記事と本作で有名になったストレイトさんには、テレビ出演や取材のオファーが殺到したが、それには応じなかったという後日談も、この映画のストレイトさんの人物像と重なるところだ。
このシンプルな映画に、ことのほか心を動かされた理由が、自分でもよくわからず、感想を書きかねていたのだけれど、時間をおいて見えてきた感じがしている。
ストレイトさんは73歳の老人だ。腰を悪くして、2本の杖でなんとか歩いている。目も悪く、もう車の運転もできない。(おそらく退役軍人の)年金をもらっているようだが、十分な金額ではないはずだ。
誰でも晩年そうなるように、彼も年齢とともに健康状態が悪くなり、できることがすごく少なくなっている。もう彼が何かのチャレンジをするとか、自らの力で新たな変化を起こすということは、誰も予想も期待もしていない。常識的には、医者の言うことをよく聞いて、肉親の手を借り、お金の許す範囲で介護を受けて、おとなしく暮らしていくのが安心で賢明に思える。
それなのに、彼は自らの意思で、人生を変化させる(=10年あっていない兄と和解する)ことを選び、少ない手札をフルに生かして、旅に出る。
彼は常識にとらわれない人物だ。医者の言うことも聞かないし、町の友人たちの静止も無視して、旅に出る。自由とセルフヘルプの国アメリカで、自分なりの思想を育み、自らの意思で人生を決めてきた人物だ。そして、深い人生の知恵を時折見せる。
誰の助けも受けず、人の話も聞かないガンコ爺かと思いきや、旅に出た彼はとてもオープンだ。相手に媚びるような態度は一切取らないが、好意と手助けをありがたく受ける。同時に、誰に対しても対等に、フェアに、相手の意思を尊重しつつ、自分の見解をはっきり伝える。とにかく淡々としてい。
こうしたストレイトさんの一挙手一投足に、これからストレイトさんの年齢に近づいていく自分がどうするべきかのヒントをもらえる映画でもあった。
彼が住む町の人々も、旅の途中で出会う、アメリカ中部の人々も温かい。共同体がきちんと機能している。人々は強く、善良であろうと努力しているし、〝困った時はお互いさま〟の精神がある。
この映画では、共同体的な助け合いの精神が、アメリカの地方に強く生きていることが描かれているけれど、格差と分断が言われる現在のアメリカでは難しくなってきているのではないだろうか。
映画の舞台は、アメリカの貧困と分断を象徴する地・ラストベルトとも程近いエリア。このエリアはコーンベルトというのだそうだ。本作でも、延々と続くとうもろこし畑の中を、ゆっくり進んでいくトラクターが美しい。しかし近年の気候変動で、とうもろこし栽培地が、現在よりも北へ移動しているそうで、この風景も次第に失われていくものでもあるようだ。
シンプルで力強い寓話のようなこの映画は、公開から30年近く経過し、貴重な時代の記録という意味のある映画にもなっている。この機会に観れてよかった。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ アメリカは広い。爺さんが500キロをトラクターで走るだけなのに目が離せない映画も珍しい。観てよかったと思わせてくれる映画。殊に歳を重ねると感慨もひとしお…
①弟がもう少しで窒息死する処から回復したので改めて見舞いに行く日に観るなんて何たる運命の巡り合わせ(まあ、偶々ですけど)。
②500キロの旅だから途上本当はイヤな事もあっただろうけど好い人達と巡りあったエピソードばかりにしたのはこの映画の優しさ。
③アメリカの大地に寝転がって眺める星降る夜空が本作のモチーフ。
➃爺さん二人がかつて第二次世界大戦に従軍した若き日の事を語り合うのも良いシーン。心暖まるシーンの多い中で戦争の辛さを見せるシーンなので余計印象的。なのにアメリカはまた戦争しようとしている…
⑤アルヴィンの台詞を通して歳を取ること・老齢でいることの実感が語られるが頷くことばかり。
⑥主演のリチャード・ファンズワースの好演は勿論だけど、娘の少し知的障害(?)のある娘のローズを演じるシシー・スペイセクが相変わらず上手い。
何処までも真っ直ぐな物語
デヴィッド・リンチ監督作ロードムービー
他作と作風が異なるのは実話ベース+脚本を
担当していない事が影響していると思われる
シンプルで分かりやすいストーリー
地図で調べたのだがアイオワ州ローレンスからウィスコンシン州マウント・ザイオンまでの560キロはほぼほぼ真っ直ぐ
すべてにおいてストレイト・ストーリーだった
主人公アルヴィンは「ミザリー」のリチャード・ファーンズワース
頑固だが憎めない老人を好演
今作は柏市にあるキネマ旬報シアターにて観賞
昔ながらの劇場で取り巻く環境は厳しそうだがクラウドファンディングには成功した様子
シネコンではなかなか上映されにくい佳作が
上映されるので今後も利用することで後押し
していきたい
ドキュメンタリーから
公開当時、映画好きな友達に連れられて観に行った。その友達がやたらと「デビット・リンチなのに…!」と言っていた記憶がある。
あらすじというか言葉にしてしまうと5行くらいで表せる。
でも言葉じゃ伝わらないストーリー。
ストレイト(兄)弟のストーリーだけど、
まっすぐなストレートなストーリーでもある。
事実に着想を得ていて、ドキュメンタリーみたいだけど、話を盛り過ぎてないところがいい。
ドキュメンタリーから上手に引き算した感じ。
CMとか無く大画面で没入して観たい作品。
映画館で観るべき作品。
当時心斎橋の名前は忘れたけど、随分昔になくなった映画館で観た記憶…...
全76件中、1~20件目を表示












