劇場公開日 2000年4月29日

アナザヘヴン : 映画評論・批評

2000年4月29日更新

2000年4月29日より丸の内プラゼールほか全国松竹系にてロードショー

飯田譲治が人間の“悪意”に迫ったサイコ・サスペンス

映画界の〈世紀末ブーム〉はまだまだ続いている。「スティグマータ/聖痕」(99)や「イグジステンズ」(99)など魔可不思議な映画が続々公開されている。邦画でも「リング」シリーズや〈角川ホラー映画〉はブーム的産物と言える。「NIGHT HEAD」(94)、「らせん」(98)の脚本・監督などを手がけた飯田譲治監督のこの映画も世紀末ブームを考えさせられる一作だが、単に一過性のものではない、ドラマに奥深さを感じる。

次々と起こる猟奇殺人事件。捜査担当の刑事たちの戸惑いと焦燥がドラマの骨格。事件解決の糸口を見出せず苦悩する彼らに、不可解な時代に戸惑い、出口が見えない現代人がオーバーラップする。江口洋介の早瀬刑事の「いったいどうしちまったていうんだよ」という独白がきわめて象徴的な台詞だ。

実際、「アナザヘヴン」は現実に起こった事件に鋭く反応した作品といえる。懸命な捜査をあざ笑い、犯人が次々と引き起こす残虐な犯罪。日本中を震撼させ、マスメディアがヒステリックに騒いだ昨今の残忍な事件が脳裡をかすめる。2000年の邦画を語るうえで大切な一本だ。

(田沼雄一)

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