「今更何書きゃいいんだ!最高のゾンビ映画!」ゾンビ 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
今更何書きゃいいんだ!最高のゾンビ映画!
会社の同僚に「吹雪さん、映画好きよね?どんなの観るの?」と聞かれて秒で「死霊のはらわた」と答えました。ドン引き。「え…?は…はらわた…?死…?ホラー…?」「ええ、平たく言えばゾンビ映画かな。面白いですよ。ゾンビ映画。作品ごとにゾンビの特徴があって、ノロノロゾンビからハイテンションゾンビ、踊るゾンビに燃料ゾンビ。ゾンビは自由です。私はゾンビになりたい。」「へ、へぇ…。そうなんだ…。」
小学生の頃から頭おかしい子として扱われていたので、こういうリアクションも慣れっこです。しかし、「ホラー映画が好き」と言った時と「ゾンビ映画が好き」と言った時の相手のリアクションの違いには悲しくなります。ホラーのサブジャンルとして確立されているゾンビ映画ですが、そのエンタメ性、汎用性の高さは素晴らしいもので、単なる悪趣味なグロ映画として片付けられたくはないのです。
さて、そんなゾンビ映画というジャンルを確立させたと言われているジョージ・A・ロメロのゾンビ3部作、その2作目に当たる本作。前作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」からスケールアップした最高のエンタメ作品に仕上がっております。
ショッピングモールを舞台に繰り広げられるゾンビとの攻防には「人間の欲望」という一つのテーマが見え隠れします。生ける屍の生前の記憶が、無意識的に行動に反映されるという設定が面白い!ショッピングモールに群がるゾンビ達は消費社会の象徴とも言えます。
残虐描写は容赦なく、この点も前作からパワーアップしています。この作品、複数のバージョンが存在しておりまして、残虐描写がカットされているものもあるそうです。…は?そこカットしたらあかんのよ…。
音楽については時代が時代なので仕方ないかなといったところ。あまり怖さはありません。でもフルチ作品より全然いいです。
そしてストーリーの素晴らしさよ。ゾンビとの攻防、ショッピングモール内でのサバイバル、生存者同士の争い、感染の恐怖、社会風刺、それらを見どころたっぷりにまとめ上げています。ゾンビ映画にしては長めですが、まったく飽きさせない内容の濃さ。
何書きゃいいんだとか言いながら、結局色々書きました。正直、これほどの名作になると私のレビューなんざ参考にならないので書いてもしょうがないかなと思っていたのです。しかし、書かざるを得なかった。それほどの熱を本作から浴びてしまったから。