續姿三四郎のレビュー・感想・評価
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続編と見るから駄作の様にどうしても見えてしまいます。 しかし、これ...
続編と見るから駄作の様にどうしても見えてしまいます。
しかし、これが敗戦を見据えた映画だとすれば、黒澤明監督のアイロニーのうまさを感ぜずには得ません。
正式な公開は1945年の5月となってますが、その3ヶ月後に日本は米英相手に負けてしまいます。このアメリカのボクシングのシーンはチャプリンの映画のようでもあります。
チャプリンに並び称されるべき人だと黒澤明監督を思います。
それだけでなく、イデオロギーを上げれば、国家によって作られたナショナリズムでなく、日本人本来のイデオロギーを持つべきだと言っています。戦後のアメリカに負けた大和民族の行く末を既に黒澤明監督は予見しています。社会学者としても芸術家としても大変に日本人ばなれした人物だと思います。三島由紀夫先生のようでもあります。
黒澤監督の優しさ
前作で描かれた「勝利することの悲しさ」というテーマを更に踏み込んで描いた今作。雪山での決闘は勿論ですが、ラストシーンが非常に心に残ります。自らが柔道の戦いに勝利することで、相手には恨まれ更に敵は増えていく…悩み苦しみながらも決闘を終え、倒した相手を介抱する三四郎の優しさが心に染みる。川の水で洗った顔を上げ、朝日を見て清々しい顔をする三四郎の顔のカットで物語は幕を下ろすわけですが、このカットから何か黒澤監督の「それでも僕は君を見守ってゆくよ」とでもいうような声を聞いたような気がします。
多分三四郎はこれからも多くの敵と闘い悩み続けるのだろうと僕は思います。だからこそ一旦の闘いを終えて肩の荷が降りた気持ちの三四郎の表情と、それを監督が祝福するかのようなラストに嬉しくなってしまいました。
三四郎の師匠の「闘争とは真の統一までの道程である」という言葉にも膝を打つ思いです。見事な締めくくり。
関係ないですけど「勝利することの悲しさ」って、なんとなく『ゴジラ』を思い出します。邦画イズムなんでしょうか。自らの存在が敵を生み出しているという点では『アメイジング・スパイダーマン2』なんかそんなテーマでしたね。
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