「道のための「かたち」は道のために崩れてもかまわんじゃろうが」續姿三四郎 neonrgさんの映画レビュー(感想・評価)
道のための「かたち」は道のために崩れてもかまわんじゃろうが
前作『姿三四郎』よりもテーマ・演出ともに格段に明瞭になっていた。物語は「なぜ人は戦うのか?」という問いを中心に据え、単なる勝敗や力の誇示ではなく、対話と赦し、そして相互理解へと導こうとする姿勢が描かれている。
演出は音楽の効果的な使用も含め、観客の感情を自然と作品に引き込むものとなっている。さらに、月形龍之介が演じる一人二役の演出は、のちの『影武者』を思わせ、弟・源三郎の造形は『乱』の鶴丸を彷彿とさせるなど、後年の黒澤作品への布石も随所に見られる。
三四郎は、門下の子弟を守るためやむなく戦いながらも、復讐に燃える月形(弟)を殺さずに救う。その姿に心を動かされた源三郎は、剣を収める。「赦す」ことこそが真の強さであり、対立ではなく戦うことの先にある道であることを表している。
78点
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