「自分を否定するということ」リプリー 77さんの映画レビュー(感想・評価)
自分を否定するということ
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余韻の残るよく出来た映画でした。
ただ、かなり引き込まれるしすっごく面白いし蛇足に感じる部分もなかったので、変な感覚で自信もないしなんとなく感じたことに過ぎないのですが、一つ一つもう少ーしずつだけを短くまとめた方がよりいいものに仕上がったのかなとも思いました。
本作は人間のイヤな部分に焦点を当ててエグります。イタリアの綺麗な風景やファッションやインテリアがそれを半減してくれて(目で楽しい!)、怪しい雰囲気が見事に立ち込めていました。好きな雰囲気作りです。
「いいなー」は憧れという前向きな感情だけでなく、時に嫉妬、劣等感、嘆きといった“イヤな自分”と対面する感情にも化ける。
特に、努力だけではどうにもならない生まれや育ちや容姿や天性の才能なんかで自分にないものを持つ誰かを羨ましく思ったりする。
また人間というのはややこしくて、欲求は尽きないしそこに“情”やメンツや慣れや更なる拍車をかける。自分の魅力に気付かず、長所や特技を伸ばすことは目を向けない。
主人公も最初は少しの非日常感を楽しみたかっただけなのかもしれない。憧れが恋心に代わり、殺意に代わり、嘘をつく。また嘘を重ねる。もう引き返せないとまた罪を犯す。その繰り返し。
あの後味の悪いラストもあれだからこそ本質をついていてよかったです。
ツイてたってお金があったって自分を偽ると決して“豊か”にはなれない。
十人十色って本当にステキな言葉だと思います。
相対的にじゃなく絶対的に誰でもない自分という存在を誇りたいですね。(ちょっと違うけどw、ナルシストってしあわせだし素晴らしい才能だと思います)
自分自身をしっかり愛してる人ってどんな場所にいても輝いてます。
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