劇場公開日 1985年11月9日

「【高等遊民と美しき人妻が全てを捨てて、愛に走る姿を静謐なトーンで描いた作品。藤谷美和子さんの尋常ならざる美しさと、故松田優作の抑制した演技に魅せられた作品でもある。】」それから(1985) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【高等遊民と美しき人妻が全てを捨てて、愛に走る姿を静謐なトーンで描いた作品。藤谷美和子さんの尋常ならざる美しさと、故松田優作の抑制した演技に魅せられた作品でもある。】

2020年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

 原作は、文學好きならば誰でも一度は読んだ事があろう夏目漱石の名作。

 が、今作は故森田芳光監督と、脚本を手掛けた筒井ともみさんが原作の粗筋はそのまままに独特な映像で、新たな解釈を仄かに含ませ描き出した作品である。

 場面の折々で挟み込まれる幻想的なシーンの数々。(含む、長井代助(松田優作)の遊女宿での不思議な踊り・・。)

 代助が、友人平岡常次郎(小林薫)の妻、三千代(藤谷美和子)に”匂うが如き白百合”を花瓶に誂え、二人の真ん中に据え、対峙して積年の想いを告白するシーン。
 そして、震える声で応える三千代の台詞 ”仕様がない・・、覚悟を決めましょう・・”
 - あまりの美しきシーンに劇場内、物音ひとつ起こらず・・。生唾を飲み込むことも躊躇った記憶がある。ー

 梅林茂の寂寥感溢れる美しすぎる音楽がこの作品の高貴な雰囲気を醸し出しているのは間違いない。
 (貧乏学生であったが、即、レンタルでサントラをダビングした。(今でも年に数度聴く。勿論DVDも購入し、2年に一度の頻度で鑑賞している。))

<故、森田芳光監督の隠れた傑作であると思う。>

<1985年 学友3人と映画館にて鑑賞。
 藤谷美和子の余りの美しさ(素人っぽさも含めて)に呆けてしまい、そのまま喫茶店に直行したなあ。>

ー余計な事ー
 リドリー・スコット監督が今作の松田優作を観て、「ブラック・レイン」の佐藤役に抜擢したのは有名な話だが、何故?と思った事は覚えている。

NOBU