「Babel」バベル 重金属製の男さんの映画レビュー(感想・評価)
Babel
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言うまでもなくタイトルの「バベル」は、旧約聖書の創世記第11章に記された伝説の塔「バベルの塔」を指している。人々が天にも届く巨塔を建てようとしたため神の怒りに触れ、それまで一つだった言語を混乱させ、人々を各地に散らして完成を妨げたと言う。同時にそれがいまこの世界に多数の言語が存在する由来でもあるらしい。
モロッコ、日本、アメリカ、メキシコの4地点からなる群像劇。私はおそらく初めてこの映画でモロッコがどんな場所かを知った。全体的に茶色っぽく、娯楽なんて何もなさそうな景色には却ってこの作品に対してノンフィクション性を感じてしまったほど。2006年の渋谷の風景も面白かった。若者たちのスタイリングは特に古臭さとか、「ああ、あそこにマックあったんだ」とかね。そして藤井隆氏の「OH MY JULIET!」を挿入歌にしたのは誰ですか。賞賛に値します。
言葉が通じないことの恐怖を私は感じたことがない。必要に迫られたら、相手と心を通わせることができるだろうか。確かに生きていく上で言葉もとい言語は必要不可欠な存在だけど、言語を操れるだけで果たして人間は万物の霊長だと言えるだろうか?互いの意思疎通を図るためには、表情や抑揚、身振り手振りなどの情報も感受する必要がある。この映画で言えば、ハグすることでも気持ちは伝わりますよね。いつでも物事が前進するために根底にあるべきなのは「相手を理解しようとする」姿勢でしょう。月並みだけど、言語を超越した言語とは「愛」なのかもしれない。
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