劇場公開日 2007年2月10日

「最後のさりげなさがいいですね」善き人のためのソナタ あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最後のさりげなさがいいですね

2008年7月23日

泣ける

悲しい

幸せ

イタリアの名匠ヴィスコンティによる「ルードヴィヒ」は、音楽で人生をダメした人物を描きましたが、この映画の場合は、音楽によって人が「善き人」に変わります。ただし、「善き人」=「幸せ」に必ずしも繋がらないのがこの映画のミソ。そして、とてもヨーロッパ映画らしい。

共産主義体制下の国家保安官なんて主人公ですから、イメージとおりほとんど表情を崩さない。しかし、音楽をとおしてその見えない心に繊細な変化が生じる過程がさりげなく描かれていきます。そして、それがとんでもない行動へとつながっていく。

一回しか見てないのですが、その行動までの伏線がいささか弱く感じたぶん、説得力に欠けるのが、この作品の強いて言うならばの欠点。でも、全体を通して重心の低い良質の作品だと思いますよ。見終わった後、心が満たされます。

あんゆ~る