「白と黒の間」善き人のためのソナタ ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
白と黒の間
冒頭で尋問の極意を講義しているヴィースラーが、学生から意見され、さりげなく卓上の学生名簿の名前にバツを付ける。この時のヴィースラーは、後に自分にバツが付くなど想像していない。彼は白か黒か、明確に分けられるし、その判断力に自信を持っている。まさか、白と黒の間に、たっぷりとたゆたうグレーがあるなんて!
東ドイツは社会主義だが、地位の高い人は民主主義だろうが、共産主義だろうが、関係なく利己主義である。利己党でも立ち上げればいいんじゃ? 勝ち気できれいな女が、この国のエラい自分になびかない。くそー、権力を使ってオレの言いなりにしてやる。こりゃ女、オレ様の力を思い知ったか~。いや、マジでゲスいな。
ドライマンは辛抱強い。現状、芸術表現に縛りがあると承知していても、西に逃亡しようとか、心を病むとかはない。あくまでも国のために作品を作り、発表する。穏健である。ドライマンがよく組んでいた舞台演出家のイェルスカは、仕事を干され(民間事業はないんでしょうね)、仲間内のパーティーに来ても、誰からも話しかけられずに一人読書をする。ドライマンはイェルスカを励ます。イェルスカはドライマンの友情は理解するが、すでに絶望している。そして、イェルスカはドライマンに「善き人のためのソナタ」の楽譜を贈る。
ドライマンの部屋を盗聴するヴィースラーは、最初は彼を黒だと決めてかかっていた。だけど、ピアノの音で、彼の感情は決壊し、灰色の海を泳ぎ始めた。そして、危険を承知でドライマンを守った。自分を犠牲にして。バツ印を付けられたヴィースラーは、以後、国家から見向きもされない。ラスト、自分への謝辞が印刷された本を、自分のために買う。その表情は変わらないが、心の中には美しい調べが満ち満ちているかもしれない。
監督は、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。30歳前でこんな重厚な作品を撮れるなんて、人生5周めだろうか。すごいの一言。ちなみに身長2m。貴族の末裔。またまたすごい。
BS松竹東急の放送を鑑賞。
こんばんは♪
ご丁寧にコメントしていただきましてありがとうございました😊
私も最初人名とは気づきませんでした。
ハンティング、ですもの。
本作はレビュー、まだです、すみません、でも、何回か観ています、よく放送されていたからか。
スパイが、助ける、という驚く話で、最初観た時は頭がついていきませんでした。
社会主義の怖さを見た感じがします。
が、主人公も護られ無実だと分かり本人は無傷だからまだましかも、ですね。
友は自殺し、恋人は、事故死?自殺?
盗聴されていたことも含め色々ゾッとします。
利己党は、日本でも潜在的に大多数の党員がいると思われます。
言葉の発想がユニークですね。
書店でのシーン、いいですね。
報われて嬉しいでしょうね。
書店員に、「自分の為に買う。」
て言いましたっけ。
表情が少し緩んで買うシーン、
一番好きなところです。❤️
また今後ともよろしくお願いします🤲
返信は結構ですよ。💐
ぷにゃぷにゃさん
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督の「 ツーリスト 」とは全く雰囲気の異なった本作、他の作品も観てみたくなりました。
身体が2mもある方なんですね。ぷにゃぷにゃさん、詳しいですね!