「人の歩むべき道を優しく教えてくれるドイツ映画」善き人のためのソナタ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
人の歩むべき道を優しく教えてくれるドイツ映画
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旧東ドイツの秘密警察の盗聴、諜報、尋問などの国家ぐるみの闇の実態が興味深い。それが単なる告発ものの暴露映画ではなく、国家保安省(シュタージ)の男が盗聴で任務する過程で徐々に自由思想と芸術に影響を受け、社会主義体制の国家に反する裏切り行為を行い、ひとりの反体制思想の劇作家を救う人道主義になっているのがユニーク且つロマンチックである。劇作家の愛人が薬物中毒の意思の弱さから密告をしてしまい贖罪に苛まれるサブストーリーと調和して、人間の救済に対する作者の信念を感じることが出来る。ラストの真実を知った劇作家が、恩人の元保安省の男に面会せず、小説の序文で謝意を添えるカットの、映画ならではのフィナーレに感動して胸が熱くなる。時代や社会に惑わされない、人の歩むべき道を教えてくれる、美しく心優しい映画でした。
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こころさんのコメント
2023年3月4日
Gustavさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
数多くの作品を観ていらっしゃる中で、ドイツ映画がお好きなのですね。
ナチスやヒトラーを取り上げた作品を数作と、「 僕たちは希望という名の列車に乗った 」( 数年前に観たのでレビューは書いていません。)が思い浮かぶのですが、軽々しくなく丁寧な作りの作品が多いという印象があります。
Gustavさんが仰るようにラストの描写に作品の「 品格 」を感じました。
負の記憶を忘れないというドイツの映画関係者の強い意志をも感じた作品でした。