「人の歩むべき道を優しく教えてくれるドイツ映画」善き人のためのソナタ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
人の歩むべき道を優しく教えてくれるドイツ映画
旧東ドイツの秘密警察の盗聴、諜報、尋問などの国家ぐるみの闇の実態が興味深い。それが単なる告発ものの暴露映画ではなく、国家保安省(シュタージ)の男が盗聴で任務する過程で徐々に自由思想と芸術に影響を受け、社会主義体制の国家に反する裏切り行為を行い、ひとりの反体制思想の劇作家を救う人道主義になっているのがユニーク且つロマンチックである。劇作家の愛人が薬物中毒の意思の弱さから密告をしてしまい贖罪に苛まれるサブストーリーと調和して、人間の救済に対する作者の信念を感じることが出来る。ラストの真実を知った劇作家が、恩人の元保安省の男に面会せず、小説の序文で謝意を添えるカットの、映画ならではのフィナーレに感動して胸が熱くなる。時代や社会に惑わされない、人の歩むべき道を教えてくれる、美しく心優しい映画でした。
こんにちは。シュタージの仕組みよりも、この主人公が変わる様がなんか哀れでしたね。
親父の弟が画家で、左翼系の絵画団体に属していました。それは兎も角、彼はそれで当時国交の無いソ連へ団体で訪問したそうです。その時、色々な話を彼は仕入れて来ました。『ソ連にはコジ○も売春○もスリもいる』とモスクワのモール(市場)のスライドと一緒に見せてくれました。だから、シュタージの怖さはさることながら、共産主義とか語って、全体主義に変わってしまう怖さを感じますね。勿論、体制なんて、右も左も同じだと私は思います。
因みに、大した画家ではありません。この人と我が親父が凄く仲が悪く、親父の子供である以上、音信が取れないでいましたが、昨年亡くなったと聞きました。すみません余計な話までしまして。よろしくお願いします。
Gustavさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
数多くの作品を観ていらっしゃる中で、ドイツ映画がお好きなのですね。
ナチスやヒトラーを取り上げた作品を数作と、「 僕たちは希望という名の列車に乗った 」( 数年前に観たのでレビューは書いていません。)が思い浮かぶのですが、軽々しくなく丁寧な作りの作品が多いという印象があります。
Gustavさんが仰るようにラストの描写に作品の「 品格 」を感じました。
負の記憶を忘れないというドイツの映画関係者の強い意志をも感じた作品でした。