セルピコのレビュー・感想・評価
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もっと古くさいかと思ったが
思いのほか古さは感じず、中盤からの盛り上がりはなかなかの、骨太風社会派映画。社会派なので爽快感は皆無。アル・パチーノはヒッピーファッションの割にはただのものぐさ不良刑事っぽいし、強い気持ちの持ち主の割にはメンヘラ発症しまくってげんなりしてくる。
臆することなかれ!! セルピコ、新人警官が我が道を行く作品
ニューヨークの警官に配属されたセルピコが
汚職、不正がまかり通る警察を
内部告発していくようなストーリーでした。
当時のニューヨークは治安の悪さを物語っていました。
警察官の仲間だと思っていた人物が
裏切りかと思える実態、真相に迫る姿が
鮮明に描かれていました。
銃で撃たれ倒れ込むシーン!
耳から流れる鮮血!
セルピコは自分の体に傷を負いながら
社会に訴えかけたいものがあった!
とそんな風に観終わりました。
若き日のアル・パチーノの演技を初めて観た
作品でした。
テーマ曲が物悲しさを増幅させる作品
ロードショーで観たかったのだが観そびれてしまい、
公開後、暫くしてからテアトル新宿あたりで観た。
原作本ありの実話物(現在も邦訳版を所有)。
中学生当時で、警察官=正義の執行者と単純に考えていたので(アメリカの事であるとはいえ)、かなりの衝撃を受けた映画である。
アル・パチーノの熱演と、社会派のシドニー・ルメットが監督と相まって、孤立無援な状況の中でも己の信念を貫き通して次第に想像を絶するような立場に追い込まれて行く主人公、それを優しく包み込んで励ましているかのようなギリシャ系のミキス・セオドラキス氏による音楽と共に忘れがたい、感動作品として記憶されています。
鑑賞後にサントラを探したが国内盤が入手困難になっていて、結局、アメリカ盤LPを購入して愛聴してました。
ついでに、劇中では流れませんが、ペリー・コモによるヴォーカル・バージョンも当時のシングル盤で所有してますが、歌付きカヴァー盤ではありますがとても好きな曲です。
「Beyond Tommorow」のタイトルです。
確かYouTubeで聴く事ができると思います。
尚、シドニー・ルメット氏はこの後、今作の姉妹編的な対をなす作品「プリンス・オブ・ザ・シティ」を監督しています。
この作品、セル、レンタルビデオ全盛時代前に初めてTVオンエアーされた時に喜び勇んで録画したんですが、放送枠の関係上、最初の恋人であるコーネリア・シャープとの件が潔くバッサリとちょん切られていて唖然でした。
それでも、故、野沢那智さまの吹き替えは良かったです。
またTVシリーズ化され「新セルピコ 」のタイトルで放映されてますが、当然、主演はアル・パチーノでは有りません(笑)。
実に上手に現実を見せた
主人公が 同じことにこだわり続け、 同じ 危険 同じ立場にはまり続けるのをかなり 延々と見せられて 霹靂した。が、 観客に現実を思い知らせるために それが必要だった。 見てるうちに だんだん 主人公のやってることが間違いではないかという気がしてきた。 いや 実際 間違いだったかもしれないということを思った。周りがそういう状況ならそれに合わせるべきじゃないか? 主人公がパラノイア の変人に見えた。 多分 実際にそういう人だったんだろうと思った。 こういう人じゃなきゃ こういう 戦い方、こういう 粘りかたは絶対にできなかっただろうと感じた。 そう感じさせるように描いた 脚本 力に脱帽した。
それにしてもアルパチーノ の警官制服姿、 全然似合わない。 制服が似合わなくても 女にモテて楽しく幸せにやってるところから追い詰められていく様子がリアルで怖かった。
これを見て 汚職の 撲滅 ってのは トップダウンでなきゃできないし、下手すると トップダウンでやろうとしてもトップが下から狙われるというリスクがあるなと思った。 ロシアや中国は 今でも こんな具合だろうなと思った。 そして アメリカも本当に 賄賂 体質から抜け出しているのかと疑問を感じた。
独り悪に立ち向かう警察官の毅然とした正義の社会派映画にみるルメット監督の真面目さ
シドニー・ルメット監督らしい題材の作品で「十二人の怒れる男」の感動をもう一度と期待して見学した。昨年公開の「オリエント急行殺人事件」では、娯楽サスペンスものに手堅い演出を見せていたから、実力的にはどんなジャンルにも対応できる技量を持つ監督の印象を持ったが、やはりこのような正義について考えさせる内容が合っている。警察内部の汚職の腐敗に毅然と立ち向かう、実録社会批判の力作だった。ただ、実際の事件の経過を忠実に再現した物語の展開だったからか、映画の語りとして主人公の良心を貫徹する苦悩が盛り上がりに欠けるように感じた。それは主人公の味方であるべき恋人の理解を得られず、公私において孤立した境遇の痛々しさと虚しさが現実とする無常観の表現が弱い物足りなさである。
それにしても驚くのは、社会の悪を取り締まるべく仕事に精進すべき警察官の呆れるくらいの腐敗ぶりである。セルピコのような勇気ある善人が居ても、最後まで善人として生き抜くことが困難になっている時代の問題点もあるのではないか。正義を守り抜いた現代のヒーローを熱演したアル・パチーノと、ルメット監督の真面目な演出を観る映画。
1976年 9月2日 池袋文芸坐
パチーノ ルメット中間作
社会派ルメット君の真面目な映画です。
ただ、事実を淡々と追っているきらいがあって、映画的なダイナミズムがあまり感じられないところが素材の割にオスカー候補にすらならなかった理由でしょう。パチーノ君も熱演ながら同じくルメット君と組んだ狼の方が輝いてます。
音楽がゴッドファーザーに似てた。
ヒッピー&潜入衣装の面白さと着こなし
再々…見。
序盤から居るだけで世への憤りがダダ漏れるアルパチーノは一つのピーク。
暗く停滞しまくる物語も一々変わるヒッピー&潜入衣装の面白さと着こなしで退屈させない趣向の正しさ。
日本も駄目だと言うが米国も相当だ。
直ってなどいない、と見るべきだろう。
アルパチーノ主演の秀作。
不正が蔓延る市警を告発した、一刑事の物語。
1970年代に制作されたアル・パチーノ主演のサスペンス。実話を基にした作品とのこと。
分類はサスペンスになるのでしょうが、人間ドラマとしてとても良く出来た作品だと思います。
警察の酷い不正行為に唖然とします。そんな中、子供の頃に憧れた警官の職責を全うする主人公には、尊敬の念を禁じえません。
ただ、映画では、単純な正義の味方を描いておらず、彼の苦悩を描いていることも共感出来ます。周囲が全て敵の中で、「猜疑心」「恐怖」「絶望」、それらの気持ちが制御不能になっている様はもの悲しく感じられます。
最後はハッピーエンドと言って良いかは、判断し兼ねるところです。しかし、とても静かで穏やかな終わり方で、映画の余韻を楽しむことが出来たと思います。流石に50年近く経った今でも放映される秀作でした。
タイトルなし
ジャーナリストのピーター・マース原作
ニューヨーク市警に蔓延する汚職や腐敗に立ち向かう警察官フランク・セルピコ
実話に基づいた作品
セルピコをアル・パチーノが演じている
.
警察官の汚職
警察組織の腐敗
70年代NYの話だけでなく
今も起きているかもと思える内容
見て見ぬふり 周りに同調
正義とはなにか…
怯え苦しみ闘い抜いた
一人の"人間" セルピコのお話
セルピコみたいにはなりたくない。
正義を貫いた孤独の男、と言えば聞こえは良いし、キャッチコピーにもそう書いてありましたが、私にはセルピコは飛んで火に入る夏の虫にしか見えませんでした。
火中に飛び込む虫を英雄の様にみる事は出来ませんし、そもそも英雄談ではない様にも思えます。
社会やいずれかの登場人物に焦点を当てて観させようとしている節はなく、むしろ セルピコ の方にカメラがずっと集中していました。
なので、汚職の話とか正義の話 というよりも、セルピコ の話なのであります。もう題名がセルピコ とつけられるくらいですから。
『老人と海』という小説がありますが、そこに共通する 勲章や名誉にとらわれない 一種の美学を感じる部分はあります。
しかし、セルピコに憧れを持てるか、と言われれば ノー です。正義感が無くても、彼は孤立したと思います。
みんなが当たり前のことを当たり前にやっていれば こうはならなかった、という話です。
同情 するしかありませんでした。
あなたはどうするのか?それがテーマだ
観終わった後の重さは凄まじいものがある
刑事ものではあるがアクションでも謎解きでもない
NY市警の腐敗を告発する刑事の物語だと一言の説明で終る
一体どのような腐敗であり、どのような構造であり、主人公の活躍によってどの様にそれは克服されるのか
もちろんそれは映画の中で語られる
しかし、本作の主題はそこではない
不正を前にした時、一人の人間としてどのように感じ、どのように折り合いをつけるのか
あなたならどうするのか?
本作はセルピコはこうしたという一例を示しただけであって、観終わった私達にはその疑問が突き付けられているのだ
だからセルピコ刑事の伝記映画の様でそうではない
人間としてのあなた自身の在り方を問う映画なのだ
あなたならどうするのか?と
それゆえに本作製作時に監督が交代させられ、「怒れる12人の男達」で有名なエルメット監督が撮ることになったわけだ
東芝の不正経理、日産のゴーン会長の逮捕
あなたもこのような現場に身を置くことがあるかも知れない
あなたは本作の登場人物の誰なのか?
娘がオペラのコーラスで金がかかるんだと話す警官だろうか?
報告を受けて放置する管理職だろうか
他人事みたいに誰々を紹介すると言うだけか
日本は同調圧力の強い社会だ
あなたはそれに逆らえる勇気が有るのか
同僚、上司を全て敵に回して孤独に生きる精神力が有るのか
地位や職を失い、家族をどう養ったら良いのかという恐怖に打ち勝てるのだろうか
本作を観終わった後、のしかかる重さはこの問いかけに答えなければならない重さなのだ
セルピコは仲間を裏切ってはいない
なぜなら最初から腐敗警官の仲間になったこと自体なかったからだ
いわば汚い水の入った風呂桶に浸けられていたのだ
ならば、その風呂桶にから出て汚い水を捨てて入れ替えるしかないではないか
彼は裏切ってなぞいない
裏切っているのは周囲の警官達全員の方なのだ
当たり前のことだ
しかし、その孤独、危険は彼自身の精神を追い詰めた上に、最終的に肉体的な危険にされらされたのだ
彼の苦悩をアル・パチーノは見事な熱演でそれを表現している
ラストシーンはセルピコが大型客船が停泊する埠頭に佇むシーンで終る
平和な暮らしが約束されるであろうが、もうこの街には居られないのだという見事な映像表現での終わり方であった
あなたはどうするのか?
トップダウン
疲れてる時に見たからか…
見続けるのに少し忍耐が必要でした。
だけど、汚職て、あーんな風に起こるんだなと。
全体がそうなったら、もう取り込まれるしかないよなと。
トップダウンでしない限りは難しいですね。
アルパチーノさんが、木村拓哉さんに似てるなと思いながら見ました。
正義を信じる男の物語
正義にあこがれ警察になったセルピコ、しかし警察内部は汚職にまみれ、賄賂が横行していた…。
味方などほとんどいない状況で戦い続けるセルピコの孤独、憤り、悲哀の表現が見事。助けを得られたと思っては裏切られての連続で、セルピコが感じた不安や憤りは痛いほど伝わってくる。
テーマとしては重めだけど、観た後すっきりと終わるしテンポが良くて観やすいと思う。これがノンフクションだっつうからすごいね。
腐敗した警察
正義感の強いがゆえに変わりものと呼ばれるセルピコ。
彼は、堂々と賄賂がはこびる職場に嫌気がさしているが、何度も現状を上司に訴えても、改善しない。
ドキュメンタリーのようなリアリティーで身に迫ります。実際の話を土台にしているみたいですね。
理想と現実に戸を立てるのはいつだって人です。
勝手に戸を立てて、実際はそうはいかないんだよと
物知り顔でなだめてきます。
それを打ち破るには勇気と覚悟が必要。
その勇気が出せるのがセルピコ。他の刑事は流れに流されて・・・
唯一、積極的に相棒になってくれた刑事はいい人でしたけど。
フランクと呼んでいても字幕でセルピコって出ているのが気にかかりました。
そこはフランクでもいいんじゃないかな・・・
Σ(正しい≠幸福)
1973年イタリア・アメリカ合作映画。130分。今年18本目の作品。「旅立ちの時」にすっかり魅了されたシドニー・ルメット監督の作品。子供のころ、近所にあったマンガ古本屋の名前が「セルピコ」でした。その店主は本作がとても好きだったのです。
内容は;
1、正義感の強い主人公・セルピコは念願のNY市警に配属される。
2、しかし、そこは賄賂と汚職に染まった世界だった。
3、悪に染まることを頑なに拒否するセルピコは、次第に孤立していく。
心の中の崇高さを体を張って守り続けるセルピコは故に社会集団の中で馴染むことができず、しまいには恋人にもふられつづける。彼は「どうして誰も俺のことを理解してくれないのだ」と憤り、理解を示す数少ない仲間ですらも遠ざけていくようになる。
観ててとても辛くなるリアルな展開。なにが辛いかというと、セルピコのあまりの正義感の強さと、それを貫く姿勢が。そして、そんな主人公の姿に抵抗感を感じながらも、嫌いになりきれない自分がいました(友達にもなれませんが)。
ルメット監督作品はまだ3作しか観てませんが、全作に共通するこのやりきれない感覚は、必ずエンディングまで引きずられ、最後には気分が重苦しくなってなんの言葉も出てこなくなります。
本作のエンディングは希望というより、深い悲しみがありました。そして、そのことに関して、誰とも話し合いたいとは思えなかったです。
1回は必ず観た方が良い作品です。
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