劇場公開日 2025年1月31日

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「ひどい世の中だけど、戦う価値がある」セブン とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ひどい世の中だけど、戦う価値がある

2025年2月1日
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こんな世界に子供を産んでいいのか?撃たれた警官、奴の名前は何だったか…都会では他人に無関心なことが美徳とされる。理解できない犯罪が起こる、このイカれたクソみたいな時代。病める現代社会を映し出す脚本(これを書いた当時の脚本家の精神状態が見て取れる)とそれを降り続く雨の中、陰鬱な空気と共に最大限まで高める撮影(無個性なほど寒々しく捉えられたビル群)、陰影の際立つ照明、音楽そして豪華役者陣。まさしく今回の4K版の真価!!
退職前のベテラン刑事と配属されたての若い刑事みたいな図式は珍しくないけど、やはり本作のこの世のどうしようもない現実の辛苦に敗れ・折れてどこか達観しているようなサマセット & 正義感熱く感情で生きるミルズは、自分にとって特別なコンビだ。まさしく氷と炎の如く!土曜日の夜、バーでこんな狂った現実の辛さにあくまで抗おうとする諦めの悪いミルズに希望を見るようなサマセットの目/表情。あるいは翌日、最後の出陣前の準備シーンで印象に残る嵐の前の静けさ的くだけた束の間のあたたかな空気からの、ミルズがサマセットに何か言おうとする瞬間…。たかが1週間、されど1週間、2人の信頼関係が確かにできていることを感じさせる。
そして、作品終盤に強烈な存在感でもってしてその2人に負けじと対峙し、強烈な印象を残すケヴィン・スペイシー。彼は本作と『ユージュアル・サスペクツ』で演技派の地位を確固たるものとした。仕事は楽しくないけど、それが人生。(DVDも持っていて)何度観ても「産むと決めたら目一杯甘やかせ」でウルッとしてしまうし、何度観てもあのトラウマ級のクライマックスにはなんとも嫌な気持ち・暗い気分になってしまう…。お世辞にも決して素晴らしくない世の中だけど、それでも戦う価値はある。腐らずに戦うべきだ。

Detective. Detective. DETECTIVE!!!
What's in the box?! Oh, God!!

P.S. そして同日に『ジュラシック・パーク』も観て、スピルバーグIMAX映画祭完走。グラント博士と子供たちの描写、本当に好き。

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とぽとぽ