劇場公開日 2000年10月7日

「面白いけど、盛り上がりに欠ける。」X-メン NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5面白いけど、盛り上がりに欠ける。

2025年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD

楽しい

興奮

知的

前提として
・多分2回目。
・原作と思しきものは未読。
・ブライアン・シンガー監督の他作品だと『~フューチャー&パスト』『~アポカリプス』を視聴済。

なかなか面白かった。

人種差別が根っこにある作品。自分が被差別側になる可能性を常にはらんだ世界観。手に入れた能力を障害ととらえるか才能と捉えるか、どう一般人と関わっていくか。キャラクター一人一人を深堀するだけでもかなり面白い予感がする。
X-メンはそんな設定の上で作られるため、群像劇にするのは大正解。各キャラクターのバックグラウンドを想像する楽しみも生まれる。

視点は大きく分けて三つ。プロフェッサーX率いる人類との共存を目指す派閥と、マグニートー率いる人類を支配しようとする派閥、流浪人のウルヴァリン。
これに関して言えば、もう少し視点を絞って良いと思う。あくまでプロフェッサーXとマグニートー同士の戦争であって、ウルヴァリンたちはそこに巻き込まれただけ。メインが誰なのかイマイチ分からない。Ⅹ-メンらしいと言えばらしいけど。

コミック然としたものではなく、リアル寄りのコスチュームにしているのも非常に好感。
"恵まれし子らの学園"の風景とか最高。そして地下に秘密の施設があるのも最高。

VFX少なめのアクションシーンは好印象。ウルヴァリンにストームやサイクロプス、マグニートーの能力等、必要最低限な使い方は違和感を感じさせなくて楽しい。今思うとVFX自体のクオリティも高いな……?
しかしド派手なシーンは少ない。めちゃくちゃ映えそうな能力ばっかりなのに……ちょっと残念。
結果的に盛り上がりも弱くなっている。そもそもプロフェッサーX側がピンチに陥る展開が弱い。なので後半はテンションが平坦に感じてしまった。勿体ない。
ウルヴァリンへのミスリードは面白かったのに。

俳優陣の演技は無論素晴らしいが、なかでもトード役のレイ・アーク氏とボビーともう一役演じたショーン・アシュモア氏が特に素晴らしかった。非常に面白くアドリブを入れていくレイ、ボビーともう一役の演じ分けが素晴らしいショーン。また次作でも観たいけど……出てくれるのかしら。

盛り上がりには欠けるが、面白い。そんな作品。次作にも期待。

NandS