セックスと嘘とビデオテープのレビュー・感想・評価
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真水みたような作品
公開時にマニアっぽい人たちの間でちょっと有名になった記憶がありました。
着眼点はいいですが、映像作品として特記すべきところは見つけられません。
この話なら小説の方がいいでしょう。
高評価のレビューに書いてあるようこともまるでピンと来ない。
毒にも薬にもならない真水みたような、見直す必要がない「一丁上がり」映画でした。
瞳の奥の内性
日常は嘘で出来てるのか?
と思うほど
カメラが瞳の奥を映しているのがすごい映画
昔見たと思ったけど、こうしてみたら
見てなかったのかもしれない…
くだらなさそうなタイトルなので
わざわざ観ていなかったのかもしれない
誰も自分の性を人に語らない
変態かもしれないけど
質問されたら誰しもネタ持ってそう…
この4人はこんな短時間でものすごい深掘り
させられちゃって
人生二度楽しめそうだね…
グラハムの率直さ、正直さ
どうせアンはグラハムと最後にくっつくんだろう、と思ってお気楽に見ていたら、徐々にグラハムの非尋常性が浮き彫りにされてきた。そこから映画はぐっと個性的に。
グラハムの正直さ、率直さ、見ていて気持ちいい。
ただ、負い目があるのか、もともとなのか、少しひ弱さも感じる。そこはアンがフォローしていくんでしょうね。
セックスはじめ、人の志向は多種多様で難しいけれど、他人に迷惑がかからない範囲でなら許されていいだろうし、身近な人たちにまで伏せるのはかえって不誠実というものだし、かえって害にもなりうる。グラハムのように率直である方が、本当の人間関係は築きやすいのだわ。
これは<多様性を認め合おう>的なテーマの映画だと思うけれど、そこそここういう映画はありそうに思うけど、もしかして制作当時は新しい感覚だったんだろうか?
それぞれの病気
誰しも人に言えない秘密や欠点があったり、それを隠そうとして嘘を吐いたり、変わっている、と言われたくないから無理して周りに合わせたり。けれど普通の人なんていないし、また悩みを打ち明けたところで理解してもらえるかどうかもわからない。
グレアムの病気を治したい、彼を救いたい、とビデオを彼に向け逆質問をするという荒療治に出たアンだが、グレアムこそが嘘で蔓延る関係を嫌い真実を求めようとする唯一の人なのかもしれない。
大抵の映画にはメッセージが詰まっていて、その伝え方はもちろん監督それぞれなのだが、本作のように人の奥底に潜むある種普遍的な性の問題を、このような切り口で伝えてくる映画は、本当に「斬新」と言うしかない。
ポルノ映画と勘違いして借りた18の僕
YouTubeで『リンカーン』の人気コーナー『朝までそれ正解』を観ていたら『「せ」ではじまる名作映画は?』という質問があった
リンカーンのレギュラーメンバーは『千と千尋の神隠し』とか『セーラー服と機関銃』とか『戦場のメリークリスマス』などと解答
しかし僕が真っ先に思いついたのはなぜかこの作品だった
無意識に記憶の奥底から引っ張り上げてしまった
中学生じゃあるまいしセックスで頭がいっぱいだったわけではない
四半世紀以上前にレンタルビデオ屋で借りたVHSを観て以来だからすっかり忘れていたはずなのに
当時の自分には内容が今ひとつよくわからず難しかったし眠くなった
期待していたモノではなかったし
ヌードは全く出ない
弁護士のジョンと妻アンはセックスレス
アンがセックスを拒否している
精神科医にも相談するアン
ジョンは妻の妹シンシアとこっそり浮気をしている
ジョンは大学時代の旧友グレアムと再会
グレアムは数々の女性に対しセックスに関するインタビューをするのが趣味
それをビデオカメラで撮影しあと全裸でビデオテープを鑑賞する変わり者
やがてジョンとシンシアの裏切りはアンにバレてしまう
低予算のインディーズ映画でカンヌのパルムドール受賞
しかもデビュー作
猥褻だが知的な会話劇
自他ともに認めるおじさんになった今ひさびさにこの作品を観たわけだがわりと面白い
大人の映画である
解説の『心優しき変態者』というフレーズに笑ってしまった
『変態という名の紳士』みたいなものだろう
褒められた経験がないせいか最近のネット民は褒め言葉のボキャブラリーが乏しく「変態」も褒め言葉になっているが僕はそんな文化が大嫌いだ
On a hunch
久しぶりだが色褪せない。無駄や装飾なく、人のあり様に迫る。古典的な真珠のイアリングと思いきや、直感が先ず起動する。そちらの方が説得力を持つ。自分にとっての真実は棚の上にあって見えづらい。
人の行いを撮ったビデオをさらに映画で見る多重構造から切り替わって、観ている視点がジャンプする感覚が面白い。ジェームス・スペイダーのトロッとした視線が印象的。
【多くの人は”嘘”をつくことで、心に歪が生じる。4人の男女の心象の変遷が面白く描かれた作品。】
■感想
・アンは、セラピストに”セックスに興味が持てない”と言う。オーガニズムも経験したことがないという。
・アンの夫、ジョンはそんな妻の態度もあってか、アンの妹シンシアと密かに関係を持っている。
・シンシアは姉に対し”嘘”をついている罪悪感を抱えている。
・そんな閉塞感溢れる状況の中、ジョンの且つての級友グラハムが9年振りにやって来る。グラハムは自らをインポテンツだ、と語り、密かに集めている多数の女性のセックスについて語るビデオテープを所有している・・。その存在を知ったアンは・・。
<難解ではあるが、たった4人の心情の移ろいが、面白い作品。
アンは、グラハムのインタビューに対し、何を語ったのか・・。独り、推測するのも良いかもしれない・・。
後年のソダーバーグ作品とは、風合が異なるアーティスティックな作品でもある。>
僕には難しかったです。
最初は、裸で不倫相手の彼女を待っていたり、昼間のカフェでいきなりセックスについて語りだしたり、出会って間もない友人の奥様に不能だと告白したりと、自分の常識とは掛け離れている登場人物たちの行動に馴染めず、“セックス観の違いなのかなぁ”等と考えていましたが、皆病んでいたって事だったんですね。
何が言いたかったのか明確な言葉にはなりませんが、胸に痼を残すような、そんな作品でした。
恐るべき才能、他に類の無い独創性ある作品
セックス
それは真実、身体と心は嘘をつけない
もちろん姉妹のこと
嘘
それは理屈、在りもしない愛を理屈で在ることにできる
故にアンの夫は弁護士
ビデオテープ
この二つをショートさせる媒体
故に彼は黒いシャツを着て存在を極力消そうとするのだ
真実を知りたいがためにこの行為を続ける男
グレアムに逆尋問を行うアンのシーンの圧倒的な迫力
セックスと嘘がビデオテープで短絡した時、新しいマインドセットが生まれる瞬間だ
真実を知り、肉体と精神の分離から逃れた男女の晴れ晴れしいラストシーンにはほのかにカタルシスを感じた
この過程をこのような斬新な切り口と映像で映画として成立されているのだから恐るべき才能だ
カンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞グランプリ)に輝くのは当然だろう
まだ分からないながらも何かくるものがある
こんなタッチでこんなストーリーの映画を観たのは初めてかもしれない。
とにかく僕にとってはとても衝撃的でかつ大人への教科書でもある作品だった。
内容はセックスについてなのだが、実際のシーンには存在しないところも中学生としては安心して観れる。
中に抱えたもの同士が通じ合っていく。
最後にアンが今までの抱えてきたものを乗り越え、グラハムも救おうとする。グラハムの微妙な表情の変化で彼の心情が上手く表せていてみているほうに彼の揺らぎや恐れ、不安のなかでの落ち着き等が全て伝わってくる
大人になってからもう一度見直したい作品。
天才ソダーバーグのデビュー作
26にしてこれか〜〜
天才だわ、、、、
てか経験豊富なんだろうな、、、
あきらかに夫といるよりグラハムといる時のアンの方が生き生きしているし顔が明るい。というか空気感が合っている。
ビデオテープが挟まることで、ただの痴話話じゃなくなっている。真剣にセックスについて話すのに、実際その描写がないところも不思議である。こちらはいつ来るかとハラハラしてるのにビデオが途中でブチ切れたり。そういう楽しませ方をしてくる映画です。
アンディマクダウェル、恋とデジャブ以来だけどやっぱし綺麗だしデミムーアと間違えるわ。すごく魅力的でああいうキャラクターが合ってるよね。
名言も多くて、特に納得したのはグラハムの
「男は女に魅力を感じて愛するが、女は男に愛を感じると魅力的に見える」
ナルホド〜と。こういう台詞覚えとくとかっこいいですよね
町山さんの話で、AVで行為の前に女優のインタビューを入れると受けがいいとか、その人の性的趣向やプライベートを知ってからみると、より感じられるってのも興味深かった。
スペイダーを見るために見た
内容はほとんど記憶にないのですが、この映画や、「存在の耐えられない軽さ」のような映画に惹かれていた頃に見たのだと思います。
もう大人だけれど、完全に大人ではなく、将来への不安や現状に対する怒りが常にあって、でも楽しく刹那的に生きていた時期でした、多分。
む、むずかしい。ソダーバーグの意図とは?
展開も読めないし、飽きさせないラストまでのテンポは流石です。しかし、私はラストシーン後にかなり、深く悩んでしまいました。監督、何が言いたかったのか伝えたかったのか。ウーン。微妙な映画でした。
ただ、私の記憶にはセクシーで性に奔放な妹役のローラ・サン・ジャコモ、その強烈な肉食系女子の元祖的なインパクトが・・・。
日常に潜む欺瞞と信頼
自己の崩壊と再生、正常の曖昧さを巧みに描いた良作。
実存主義的な登場人物たちの本能的快楽と理性的精神の二面性を対照的かつ混沌と描く。
視覚的事実、欺瞞が渦巻く人間関係。
嘘と信頼、情報に左右されるジェネレーションXを主観的に映し出す。
夫が弁護士というのも意味深だ。
その主観的カメラワークは出色だ。
ソダーバーグは本当に分からない監督だ。
ハリウッド資本の爽快な作品も作れれば、デビューは欺瞞の渦巻くインディーズ作。
しかも、そのどちらに於いても質が高い良作を作り出す。
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