ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT : 映画評論・批評
2006年9月5日更新
2006年9月16日より有楽座ほか全国東宝系にてロードショー
華麗な本物のテクニックで魅了するも、ドラマ部分が弱い
シリーズ第3弾はキャラも舞台も一新。ストリート・レーサーの高校生ショーン(ルーカス・ブラック)が、東京で暮らす父親に預けられ、日本で生まれたドリフト・レースにのめり込む。
前2作では改造エンジンの点火をCGで見せたり、アクロバチックな走りでスピードとパワーを堪能させてくれたが、今回は、華麗な本物のテクニックで魅了する。ドリフトの第一人者・土屋圭市(釣り人で出演もしている)らが吹き替えドライバーを務め、その技を披露。壁や崖ぎりぎりに車体を滑らせるコーナリングに息を呑み、渋谷のスクランブル交差点に突っ込むチェイスに思わず拳を握ってしまう。
台湾生まれでアメリカ育ちの新鋭、ジャスティン・リン監督による東京の描写も興味深い。ルーカスと級友のBOW WOWに学ラン、ヒロインのナタリー・ケリーにセーラー服を着せる。渋谷や原宿、歌舞伎町から下町、銭湯(KONISHIKIが登場)、ソニー千葉扮するヤクザの親分まで、漫画やアニメで日本を知ったアメリカの若者が喜びそうな映像が満載なのだ。また、柴田理恵、妻夫木聡、シリーズを締める某スターがゲスト出演しているのも楽しい。
ただ、説明もなくショーンがチームを組み、北川景子も参加しているのはいただけない。もう少しドラマにも気を配って欲しかった。
(山口直樹)