ホワイト・プラネット : 映画評論・批評
2006年6月27日更新
2006年6月24日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにてロードショー
自然の厳しさは伝わるが、描き方はありきたり
「ディープ・ブルー」「皇帝ペンギン」など、夏の恒例となりつつある動物ドキュメンタリー。だが、いわゆる「癒し系」だと思って観ると、大間違い。弱肉強食の世界、そして大自然の厳しさをまざまざと見せつけられる。毛並みのいい可愛らしいホッキョクグマの母親が、子供たちのために、同じく子育て中のアザラシを狩るシーン、秋になると南へ大移動をするカリブーの群れ、ジャコウ牛のボス同士の決闘など、北極に生息する動物たちのそれぞれのサバイバルにおける決定的瞬間を本作のクルーは見事にフィルムに収めている。
しかし、描き方はオーソドックスで、やや単調。「WATARIDORI」のブリュノ・クレによるBGMも面白いが、インストゥルメンタルではないので、少しうるさ過ぎる嫌いもある。それでも、今世紀中に消滅してしまうかもしれない氷の大地と、そこに生きる動物たちの生命の儚さは感じることが出来る。環境破壊による地球温暖化に歯止めをかけることが出来ない人類には、ありのままの北極の風景を記録することしか許されていないのかもしれない。
(編集部)