ウイークエンド : 映画評論・批評
2002年4月16日更新
2023年4月29日よりヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町ほかにてロードショー
よりダークな60年代たる21世紀に、ゴダールがオイシイ
「ゴダールの映画史」DVD発売が牽引してのゴダール作品連続上映だが、ついに怪作中の怪作「ウイークエンド」も公開されることになった。ぶちきれた感じは当時もずばぬけたあほらしさだったが、今見ても充分にあほらしい、要するにすばらしいってことだ。これほどクルマのクラッシュと死体があっけらかんとざっくばらんにあふれた映画はあまりない。
ミレーユ・ダルクの朗読で、バタイユの文学ポルノ「眼球譚」が流れる冒頭、これはたとえばローラ・インガルスの吹き替えをやった佐藤久理子ちゃんの声で「眼球譚」を生できくほどの恍惚はないかもしれない(現在、本人に依頼中)が、ゴダール・アイデアはいろいろと使いがってがいいのである。
1960年代は、コミューンとか、ゲリラとか、セックスとか、ドラッグとか、いかがわしく魅力的な時代だったが、よりダークなネオ60年代たる21世紀に齧るキャンデーとして、ゴダールはおいしい。
(滝本誠)