ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! : 映画評論・批評
2006年3月21日更新
2006年3月18日よりシネカノン有楽町ほかにてロードショー
思いっきりブサイクなウサギたちが、もう絶妙!
アードマンとドリームワークスの第1弾「チキンラン」がちょっと大味な印象だったこともあり、シリーズのファンとしては心配もあった。短編が感じさせてくれたあの味わいが、どうなるのか? しかし、そんな心配は吹き飛んだ。やはりニック・パークの作品への愛情は尋常ではなかった!
まずは冒頭でおとぼけ発明家、ウォレス&しっかり者の愛犬グルミットの歴史を写真でたどり(ウォレスにも昔は髪があった!)、奇想天外な発明品に彩られた日常生活が。そうそう、この味! と、ここで一気に幸せ気分。のほほんとしたテンポ、アナログな手作り感、英国的なユーモアもしっかり健在だ。そしてこの味わいは、害ウサギ駆除から大活劇へとダイナミックに展開する間もそがれない。もちろん、キャラクター・コメディとしての面白さは最高。表情豊かなグルミットが見せるウォレスへの愛にはじーんとさせられちゃうし。悪役キャラは少々ベタだが、ヒットはウサギ! ブタっ鼻で思いっきりブサイクなこいつらが醸し出すおかしさ、もう絶妙!
原題は「ウサギ男の呪い」。話の大枠は「狼男」のパロディなのだ。ほかにも「キング・コング」や「サンダーバード」など、映画ファンならニンマリのお楽しみがいっぱい。大人も子供も夢中になれる傑作だ。
(若林ゆり)