「学生運動の敗北と,その後に訪れた欲望を通しての反抗,そしてどうしよ...」青春残酷物語 しょうけらさんの映画レビュー(感想・評価)
学生運動の敗北と,その後に訪れた欲望を通しての反抗,そしてどうしよ...
学生運動の敗北と,その後に訪れた欲望を通しての反抗,そしてどうしようもなく自分を物として扱われることを回避できない若者たち.とても不条理だ.虚像かもしれないけれど実像かもしれない.彼らの悲惨な生活の中にも喜びはあるのかもしれない.それでもやはり,その中にはこの虚像が含まれているのは確かだろう.社会のおかしさが個人の犯罪や悲劇をどうしようもなく発生させているという描き方をできる手腕について思う.鑑別所から出た二人が海で再開したシーンでは,このまま二人が恋愛を深め合うという終わりかと思いきや音楽だけ不穏なもので,そこからがやはりこの映画の恐ろしさが濃縮された部分が始まる.現代の私たちが抱えているおかしさについても考えないといけないと思う.それは学歴社会からはみ出していく学生だったり,転職の末に働く気力を失っていく労働者だろうか.あるいはベンチャーキャピタルを通して投資を集め,巨大資本を転覆させようともくろむ若き起業家たちだろうか.今はまだわからない.
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