イカとクジラのレビュー・感想・評価
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素晴らしい家族ドラマ
久々に最初から最後まで食い入るように見た映画でした。
どこかの家族の様子をのぞき見ているような。けれどちゃんと映画らしい脚色もあって退屈しない。すばらしいと思います。
どうしようもない父。いい年して愚痴やひがみばかり口にし、自分よりも作家として売れている母のことを受け入れられない様子。
そんな父に疲れた母は、母ではなく女として近頃は生きている。
長男は父親側で母を軽蔑し、二男はその逆。
大人になった今だからこそですが、どの人物の気持ちもわかるんですよね。子供にはわからないこと、男にはわからないこと、女にはわからないこと・・・。もつれにもつれていく家族。そのことが影響して各々の生活もなんだかこんがらがっていく。
これだけ胸にくる描写が続くと、しんどくなりそうな気もしますが、まったくそんなこともなく。作品の長さが80分というのはちょうどいいと思いますし、BGMやテンポのよさが、見やすくしてくれていた気がします。
一番最後のシーン、様々な味方ができるのではないかと思います。
長男のまなざしが「強い意志」にも見えるし、昔とは印象が違っていたという「あっけにとられた」ようにも見える。
いずれにしても、もう一度見たことで彼や次男はたくましく生きられるだろうという希望を、見ている人に与えてくれるラストだったと思います。
親離れ、子離れ
ジェシー・アイゼンバーグ(猫背)
ばらばらになった家族が、ばらばらのまま成長していく映画です。
思いのほか、引き寄せられ最後まで一挙に見せられました。
長兄役の青年がいい演技しているなー、というのとどっかで見たことあるなーと思っていたら、今年のオスカーの大本命、フィンチャーの「ソーシャルネットワーク」の主役でした。
おすすめです。秋の夜、静かに見てください。
大人になれるのはいつだろう
家族が崩壊していく物語なのに、なぜか全然悲しくない。何年か経って、この家族がまた集まったときに、両親の離婚は滑稽な笑い話になっているだろう。
ローラ・リニーは知的な作家にも、若いテニスコーチに溺れる中年女にも、息子を愛する優しい母親にも、すべてぴったりハマっていた。
表情を見て欲しい
ゆるさと行間で語る
絶妙な間合いで外す、人間の不可思議さを描いたドラマ
まずは元夫婦に扮したジェフ・ダニエルズとローラ・リニーの芸達者ぶりに拍手。今は大学教授を務める、落ちぶれた作家に扮したダニエルズは、プライドばかり高く人間的魅力に欠ける父親を好演。そのだらしさなぶりが最高だ。一方、リニー扮する母親も、父親に比べればましなものの、父親から逃げて来た息子を自分が恋人と一緒に過ごしたいがために帰宅させる、やっぱりどこかズレた母を完璧に体現してると思う。
そして何より、数々の伏線を張りながら、ラストに向けて物語を淡々と、そして微妙にズラしながら描いていくノア・バームバックの手腕が素晴らしい。彼の脚本のおかげで、人間の不思議さやおかしさ(いと、おかし、の方のおかしさね)がしみじみと出た人間ドラマに仕上がっている。ちなみにIMDbで調べてみたら、まだ38歳だそうな。次回作が楽しみな監督が登場した。
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