「一方的な視線は危険じゃないだろうか?」戦場のピアニスト たまねぎ なきおさんの映画レビュー(感想・評価)
一方的な視線は危険じゃないだろうか?
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この映画はフィクションの戦争映画では無く、『自伝的な映画』だと触れ込みで、
かなり危険な映画だと感じたのを覚えています。
これがギャンブル狂やスーパースターの自伝映画ならいざしらずテーマは『戦争』です。
戦争を知らない世代は映像や文献、先代から伝え聞きでしか戦争を思い浮かべることが出来ません。
それを『これは自伝です!だから全て事実です!』という印象を与えるのはかなり危険なんじゃないかと感じたわけです。
例えば戦争でひどい目にあった人物が話を誇張して伝えたら下の世代はそれが真実か嘘か知りようがありません。
しかし、ひどい目にあったという人に対して『おい!その話は本当なのか!?』等と問いただすのは人としてブレーキをかけてしまうでしょう。
何が言いたいかというと、本当に戦争の事を伝えたいのならば被害にあった人物の自伝と侵略軍の前線にいた人物の自伝を照らし合わせながら作るべきだったのでは?
と考えました。
この映画は戦争の描写や狂気を描いてはいるんだと思いますが、全てが真実だと鵜呑みするのは映画の中に描かれているナチス軍と同じ『盲目的に信じてしまう人間』になりかねない危険な映画だと思います。
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