戦場のピアニストのレビュー・感想・評価
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映画的演出の説得力
背後から撃たれお辞儀するようにぺたりと倒れ込む女性、地面に顔をこすりつけおかしな角度で体をよじらせ倒れる子供、処刑される順番を為すすべもなく待つ老人…。
この露悪的なまでの死の描写は、ロマン・ポランスキー監督が幼少時代にまさにこうした現場を体験してきたという事実によって、生臭いリアルを帯び始める。
逆に言えば、体験者ポランスキーの介在がなければ、これらは“映画的”な演出と捉えられてしまいかねない。映画という虚構は常にこうしたリスクと隣り合わせにあると言っていい。
そういう意味で、この「戦場のピアニスト」は有無を言わさぬ本物の説得力でコーティングされていて、ある意味高い下駄を履いている。ただ、この映画でポランスキーが見せる露悪的かつ詩的な演出は、体験者のリアルを超えた美しさに満ちている。
誰も間違っていたとは言えない…
内容は、ごく普通のユダヤ人迫害の物です
この映画が米国アカデミー賞を受賞するは、やはり米国人がユダヤ人に思いを
はせるからでは、ないかと…
確かに第二次世界大戦のユダヤ人迫害は悲劇ですが、戦時中に不幸で
あったのは彼等だけでは、ありません
日本でも、東京大空襲があったり、広島・長崎に原爆が落とされたりと…
作品中で、ドイツ軍人が悪魔の様な表現をされていますが、ドイツの軍人の全てが、
本当に鬼か悪魔の心を持っていた訳では、ありません
ドイツ人も「自分が、せざるを得ない戦争をしている」との思いがあったのでしょう…
大島渚監督、坂本龍一主演・音楽の「戦場のメリークリスマス」には
こんな台詞がある
「あの当時、皆は正しいと思った事をやった… 無論、正しい者など
何処にもいない…」
現在、これを書いている2025年1月の今、世界で2つの大きな戦争が起きている…
「第3次世界大戦」が、いよいよ現実味を帯びてきている…
世界戦争になれば、確実に「世界核戦争」になる…
「日本被団協」がノーベル平和賞を受賞したが、なぜか受けた日本国内で
「世界から核兵器を無くせ」という主だった動きは見られない。
実際に「第3次世界大戦」が起き「世界核戦争」と体験しないと、その恐怖や愚かさを
理解できない国民ならば、あまりに悲劇だ…
人は何故、戦争を止められないのか?
人類が進化の途中で足踏みをしているから、争いが絶えないとも言われる…
人は「完全に争いの無い楽園」に向かうは、今だ道半ばで、茨の場所を
必死に旅して、前に進む努力をしている最中なのか…?
人は知的生命体としては失敗作で、猿が少し変わった程度の物で
「映画」「マンガ」「ゲーム」などの仮想現実に逃げているのか…?
後者で無いことを祈る………………………………………
今のご時世だからこそ見る価値がある!
CSで録画視聴。
文句なし!素晴らしい作品だった。
ナチスドイツのポーランド侵攻からドイツの敗戦までのストーリーで大変な人生だったのかと思いきや案の上大変なシュピルマンの生涯だった。
生きる事は大変だと改めて再認識させられる作品。
エイドリアン・ブロディの演技が素晴らしかった。
現在のピアニストは?
ナチス占領下のポーランドの首都ワルシャワで、ダビデの星の腕章を強制され、私有財産を押収され、市内のゲットーでの居住を強制され、やがて絶滅収容所へという運命に翻弄されたユダヤ人としてギリギリの環境を生き抜いたピアニストと彼を助けた人々をクールなタッチで描いたロマン・ポランスキー監督の作品です。
ナチスの情け容赦のない暴虐には胸が塞がる思いですが、その銃口に追い詰められて行く彼の運命にギリギリと胃が痛みます。そしてそれだけに、終盤の静かな感動が深く響くのでした。
でも、映画として強い力を持った作品であるだけに、2024年の1月の今それを観るのは複雑な思いがします。パレスチナの人々はイスラエル・ネタニヤフ政権の圧倒的軍事力によって今日も抹殺されているのです。中東問題は単純に誰が悪いとは割り切れないほど入り組んでいるとはいえ、その事実は変わりません。
歴史は直線的に進化・向上するのではなく、螺旋を描きながら少しずつ上昇するのだと弁証法は説いている筈ですが、本当に人間は歴史から学び得ているのでしょうか。上昇する事なく同じ所をグルグル回っているだけでないのかと暗然たる思いがするのでした。
重すぎ
スッキリ終わったわけではなく、登場人物の所在や生きてるかもわからないような終わり方が、戦争の孤独や冷たさを少なからずとも感じさせてくれた。
人の価値観を人種で捉えてはいけないと登場するキャラなどが改めて教えてくれたし、戦争で失ったものはもとに戻ることはないことを映画を通して深く理解した。
迫害の描写が凄まじい。
ナチスが行ったユダヤ人の迫害、ホロコーストがどれだけ酷い事かは知識としては知っていたが、この映画の凄まじい描写を観る前と観てからでは、やはり心に残るものが違う。
車椅子のおじいちゃんをベランダから落とす所とか目に焼き付いて、離れない。
あまりの酷さに、途中から観るのをやめたいくらい辛かった。
人を物のように扱う所業。人の命を軽んじたこの時代を教訓にしていかなくてはいけないのに、今でも世界では戦争が起きていて、人は人を殺さないと生きていけないのかと思うと、本当に悲しくなる。戦争の無い世の中は本当に来るんだろうか。
シュピルマンがなんとしてでも生き延びて、戦争が終わる事への期待を持ち続けた事、そしてそれが身を結び、その後のピアニストとしての人生へ繋げたことがとても感慨深かった。死んでしまったらそれで全て終わりだ。シュピルマンさんの長男の方は日本にお住まいだそうで、綱渡りでもシュピルマンさんが生き延びた事で、こうして未来へと繋げている事は素晴らしいと思う。
芸は身を助けるとは良く言うけど、本当だなぁと思った。
全て実話なのが恐ろしい
ドイツ政権に迫害されるユダヤ人の生活
挨拶をしないと殴る、歩道を歩くな、移住区に隔離する(ゲットー)
1番印象に残っているシーンは
車椅子の男を立てと言って、立たなかったから家から突き落としたシーン
命が軽い、常に銃声が聞こえている居住区、ナチス政権の恐ろしさが伝わってきます
芸は身を助く
シュピルマンというピアニストの体験。
さすがBGMは素晴らしい。
カメラワークも良くて迫力があった。
後半の逃げ隠れ缶詰を開けようとして見つかってからのピアノ演奏シーンは、上手い演出だと思った。ひとときの癒しの空間が確かにそこにあった。
ユダヤ人
ピアニストが戦争に行く映画だとばかり思っていたけど全く違った
ユダヤ人というだけで殺される
罵倒され重労働をさせられ、ただ殺される
とにかく隠れて、逃げて生き延びた。
頑張った。
ドイツ人将校に聞かせたショパンバラード第一番ト短調
素晴らしかった
かけがえのない日常
大戦によって、それまでの暮らしを奪われ迫害されてしまうと人として生きてはいけない。
家があり、仕事があり、人との触れ合い、
花と緑と音楽、ご飯、お風呂…。
人が心身共に健康で暮らす為に必要なもの。
これら全てを失った主人公が、それでも生き延びようとする強さは、誰もが持つ本能なのか、それとも主人公の精神力なのか?
日頃人との関わりで疲れる事があっても、
この映画のように、荒れ果てた街で一人ぼっちを味わうくらいなら、煩わしい人間関係も幸せのうちかな。
戦争になった途端に敵に対して残酷な行動を取るけれど、主人公を救ったピアノの旋律。芸術&才能は時に雄弁に語るよりも人の心を動かすのだと改めて感じました。
元日の地震も思い起こされ、日常のありがたさを実感します。
だいぶつらい
だいぶつらい。
どうしてユダヤ人というだけであのような命令をされるのか。
あちらこちらに死体が放置。
なにかしたわけでもないのに殺される。
車椅子から立てないおじいさんがベランダから落とされる。
地面に落ちた缶詰を食べる。
こんなことが本当にあったんだろうか。
この世の地獄ですわ。
火垂るの墓でも似たようなこといってますが、
戦争が無ければドイツ兵だって人を殺すこともないし、
ユダヤ人が迫害されることだってなかった。
それにしてもユダヤ人の迫害はひどすぎる。
本当に戦争はだめです。
16.12.11
【対比の妙】
久々に鑑賞、まず4Kデジタルリマスター技術が素晴らしい。巨匠ポランスキー監督自身の戦争体験も相まって、生々しい修羅場の描写と、美しい旋律のショパンピアノ独奏曲のコントラストが印象的。
実話ベースとはいえ相当フィクションも入ってるのを差し引いても、地獄絵図の混沌の最中で全く以て無力非力な姿と、絶体絶命の極限状態からピアノの腕一本で“芸は身を助ける“姿の連続性と照応には色々考えさせられる。
ピアニストはウワディスワフ・シュピルマン 音楽は ヴォイチェフ・キラール
戦場のピアニスト
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2024年1月1日
原作本を入手
ちょっと気になったのですが、ショパンはポーランド生まれの作曲家ということです。
ご存知ないかたおられるのではと察しますが
ピアニストの名前はウワディスワフ・シュピルマン
鑑賞しているうちに、あることに気が付いたのです。
クラシック音楽を好む生活40年以上。そのなかで現代音楽を好むようになり
ポーランドの現代音楽に強く関心を抱くようになりました。
ヴォイチェフ・キラールという名の現代音楽作曲家です。映画音楽の作曲も
じつは「戦場のピアニスト」の曲を作曲しておられ、以前からよく聞いていました。
キラール作品集などのCD(海外輸入盤)に入っています。
ファゴットかオーボエのような木管楽器で演奏されるメロディ。あまりもいい曲とは思えないのです。朗らかさなどが足りないような感じです。キラールのほかの作品は素晴らしいのになぜだろうと。映画を鑑賞すればわかるかなと。ただ、そんなにタイミンぐよく上映されているわけがありません。いったん諦めたのですが、今回は再上映となりましたので、理解できたのです。
この映画のストーリーはあまりにも悲しいユダヤ系住民殺害であった。どうりで朗らかなメロディだと合わないんだろうと。
キラールが作曲した作品で好みなのは「orawa」という作品です。どうゆう意味か調べたところ、ポーランドのある田園地帯をさしているんだとか
弦楽器だけで演奏されているもので、同じメロディを繰り返しますが、少しずつ変化しながらおおきくなっていくイメージのもの
演奏時間10分程度。最後に「ヘイ!」とみんなで掛け声を上げるという作品です。とっても楽しい曲
原作本を開いてみたら、ルービンシュタインの名前がよく登場します。おそらくシュピルマンは接点があったのでしょうね。
実は20世紀を代表するピアニストです。
ルービンシュタインシュタインはもちろんショパン演奏家ですが、じつは多方面で実績があります。
わたしは数えきれないほどのCDを所有していて、演奏の素晴らしさに圧倒してます。
例えばロシアのラフマニノフ作曲した「パガニーニラプソディー」のCDです。
余談となってしまいました。映画に戻ります。
この話のなかで、いちばんスゴイシーンは、シュピルマンを救ったドイツ将校の場面
ここが異なっていることに気が付きました。
ショパン作曲 夜想曲嬰ハ短調 原作本にはそう記載されていますが、
映画館で聴いたときには「ショパン作曲 バラード第1番作品23」です。しかも一部短縮演奏
いずれもショパンの名曲として知られますが、けっこう重要なことではないでしょうか、とかんじました。
この時期にリバイバル放映されることに意味がある映画
今年417本目(合計1,067本目/今月(2023年12月度)18本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
実は古い作品であることは知らず見に行って「作品リスト」を見たらそうなっていたのですが、だからといって帰るわけにもいかず見た作品です。結果としては良かったなというところです。
※ ミニシアター中心に4Kリマスター版で放映されていますが、ミニシアター中心の日本では4Kにおいついていないため結局「当館は2Kです」になるので、余り意味はなかったりしますが…。
まず、史実として実在した人物であり歴史上の事実を参照した映画なのであることないこと加えることはできず、良いことも悪いこともありのままに描かれます。ここは好き嫌いあるかなと思いますが、ことこのタイプの映画(ナチスドイツ関係、日本の先の大戦関係)はそうしないと歴史認識がおかしくなるので仕方がないというところです。
いわゆるユダヤ人の迫害事情(ホロコースト関係)を描いたドイツものの映画で、内容の細かい部分はともかくもこの事実自体は小学社会ですら習う内容なので理解がかなり容易である点は好印象です。一方、今回のリマスター版復刻上映はあくまでも「復刻上映」の扱いで「プログラム化されているのではない」ようで(換言すれば、いつからやりますよ、みたいに何か月も前から予告されているのではない、ということ)、私がみたときは「パンフレットの扱いはありません」でした。もっとも、古い時代の映画ですし最悪ヤフオク等でも購入できると思いますが…(あるいは、パンフにこだわらずともこのレベルの映画が述べるドイツの当時の事情ということであれば、どこの本屋にもおいてある)。
採点に関しては特に気になった点まで見当たらないので減点なしフルスコアです。
なお、課金が必要になりますがアマゾンプライム等にあることを確認しています。どうしても当時の事情「すべて」を理解しきることは難しく、復刻上映ということは2週間もすれば消えてしまうと思いますので、字幕で追いきれなかった部分はそちらで補完するという手もあろうと思います。
戦争の悲惨さ、音楽素晴らしさ
私が文にして書くと物凄く薄く軽く感じてしまいます…
ユダヤ人だからという理由だけで簡単に殺してしまうドイツ兵。
家族と離れててしまって隠れながら孤独に生きるシュピルマン。
だが最後のエンドロールの演奏でシュピルマンも観ている私も救われたような気持ちになった。
映画館にも関わらず画面の観客と同じくスタンディングオベーションしそうになった。
平和な国で映画館で映画を観れるような状況の人間なんかになにがわかると当事者の方は思われるでしょうが、この時代の今この瞬間にも戦争が行われているという事実。戦争が無くなる事を願わずにはいられません。
私にはこのくらいの評価が妥当だと感じる。
日本公開時、観ていなかったので鑑賞してみる気になった。ドイツ占領下のポーランドで、ユダヤ人がドイツ軍人により虫けらのように扱われ、虐殺されていく。事実だろうと思うが、私はここ数年ユダヤ人が被った悲劇に同情はするが、関心・感動を持たなくなってきている。逆に虐待するドイツ人に関心を持つようになった。同じ人間なのに、何故差別するのか。戦後、良心の呵責に苦悩することはないのかと。
ポーランド出身の名ピアニストと言えば、アルトゥール・ルービンシュタインだ。この映画の主人公と同じユダヤ人でショパンが十八番だった。
ピシュルツマンの名はこの映画で知った。ポーランド国内では有名であったかもしれないが、国際的には無名だと思う。たまたま、彼の体験が珍しく幸運だったので映画になった。ポーランド出身で同じくユダヤ人の監督が執念で撮ったから、気合が入っていたのだろう。いろいろな映画賞を受賞している。先に書いたようにユダヤ人の悲劇には飽きてしまい、私にはこのぐらいの評価が妥当だ。
マストで観ておくべき映画
4Kデジタルリマスター版リバイバル公開で初観賞。
今の今まで観てなかったのを後悔するぐらい、今まで自分は何してたんだと思うぐらい、名作感あります。
『シンドラーのリスト』みたいに絶対に観ておくべき映画だと思うのと、
『シンドラーのリスト』に空気感が似てて、暗すぎず明るすぎず観やすかった。
また『シンドラーのリスト』が観たくなりました(笑)
『アウシュビッツのチャンピオン』で、ナチスにボクシングの腕前を気に入られ…みたいに、
ナチスにピアノの腕前を気に入られ…みたいな話かと思ったら、
当時のナチス統治下のポーランドの様子に重点を置き、ナチスの迫害を生き延びた、あるピアニストの半生。
この映画は、ピアニストのウワディスワフ・シュピルマンの自伝を映画化したものだそうです(僕は読んでません)
意外な事に、ピアノの演奏シーンは、ほとんどなく、そこが逆に良かった。
映画的にも面白かったけど、当時のポーランドの様子を知る資料として興味深かった。
あと、エイドリアン・ブロディの演技が素晴らしく、苦手な俳優だったけど、かなり見直した(笑)
ポランスキー監督も同じく苦手だったけど、同じく見直した(笑)
観てない方、マストですよ!
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