点子ちゃんとアントン : 映画評論・批評
2001年6月15日更新
2001年6月30日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー
「ふたりのロッテ」原作者の隠れた名作を映画化
お金持ちの娘、点子ちゃんと、母子家庭のアントンの友情物語──あの「点子ちゃんとアントン」が映画になった。原作は「飛ぶ教室」や「ふたりのロッテ」のエーリヒ・ケストナー。点子ちゃんは、生まれたとき“点”みたいに小さかったからそう呼ばれているのだが、その日本名のおかげで(ドイツ語ではピュンクトヒェンという。なんだかヘン)日本での知名度は抜群だ。
でも原作はなんせ70年も前のお話。映画は現代風にアレンジされている。点子ちゃんのママは専業主婦からボランティア好きの行動派に、地味な家庭教師は恋するギャルに、そして何より映画的なのは、ミュージカル化されてること! 点子ちゃんが穴あきタイツのグランジ・ファッションで見せる路上パフォーマンス(原作ではマッチ売り)は、思わず一緒に歌い出したくなる楽しさだ。
監督のカロリーヌ・リンクは「ビヨンド・サイレンス」で注目されたドイツの新鋭。 若い女性のわりには職人肌で、子供の目を通して大人の世界をクールに観察し、“家族の絆”を見つめている点は「ビヨンド~」と同じ。ガキの映画じゃん、と言わずにまあ、見てみて。ほのぼの、あったか~い気持ちになるんだから。
(田畑裕美)